全国自動車交通労働組合連合会はハイタク産業に従事する労働者で構成する労働組合の連合体です。本ホームページは、どなたでも自由に全てご覧いただけます。


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2020年度運動方針(案)

はじめに

 新型コロナウイルスの感染拡大が全世界で急速に進み、感染者数2,769万人超・死者数90万203人(9月9日現在・米ジョンズ・ホプキンス大学集計)に達しています。日本国内においても1月16日に初の感染者が確認されて以来、感染者数は7万3,242人、死者数1,411人(9月10日現在・JX通信社)を数えました。安倍政権は4月7日に戦後初めて東京・埼玉・大阪・兵庫・福岡の7都府県に緊急事態宣言を発し、外出や飲食関係等の営業自粛を要請し、施設の使用禁止、イベントの中止要請を始めました。2019年12月に中国の武漢市で最初の感染が確認され、3月11日にはWHOが遅きながらもパンデミック宣言を発したにもかかわらず、安倍首相も小池東京都知事も2020年7月に予定されていた東京オリンピック開催を最優先させ、3月24日に延期が発表されるまで、まともな検査も注意喚起も怠るどころか中国を主力とする訪日観光客を受け入れ続け、市中感染を拡大させてきたことは厳しく批判されなければなりません。

 緊急事態宣言後も国民の命を守る施策や生活を保障する施策を取らず、諸外国が都市封鎖に踏み切り、手厚い営業補償・賃金保障を大胆に素早く実施する中、迷走した挙句に決まったことは、いつ届くかわからない「1世帯に布マスク2枚」と「定額給付金1人10万円」だけでした。また、中小企業向け支援においても、「持続化給付金」や「雇用調整助成金の特例」を決めたとは言え、煩雑な申請・給付手続と支給実行の遅さから、有効に機能していないのが実態です。「素早く・現金で・弱った人から・大胆に」という危機対応の原則からかけ離れたこれらの政策は、国民の不信感を増幅させるとともに、諸外国の政治リーダーが支持率を上げる中、安倍政権だけが支持率の急落を招いたことは当然の結果だと言わなければなりません。また、新型コロナで国民の命と生活が脅かされているまさにその時、安倍首相は「緊急事態宣言」条項を盛り込む憲法改悪に動くとともに、森友・加計学園問題や「桜を見る会」問題を乗り切るために必要な黒川検事長(当時)の定年延長に固執する醜態をさらしてきたことは許されないことです。また、沖縄県議会選挙(6月7日投・開票)で新基地建設反対の玉城デニー知事を支える県政与党が過半数を占めた5日後に新型コロナで2か月中断していた沖縄の辺野古埋め立て工事を再開し、反発を高めています。

 今回のコロナ危機をより深刻にしてきたことは、安倍政権がこれまで大企業・富裕層を優遇し、「命より金」の政策で貧困層を拡大させ続け、医療や社会福祉をないがしろにし、非正規労働の拡大・年金減額による貧困や長時間労働・過労死を強要して健康を奪い、地方切り捨て政策の下で極端な都市部への一極集中を作り、病院や大都市でクラスター感染・市中感染を引き起こしやすい社会に作り変えてきたからに他なりません。

 今後も渡航制限を徐々に解除するに従い、また、感染のリスクを知りながら毎日、満員電車で通勤せざるを得ない都市部の状況が続く限り、第2波、第3波の感染拡大は避けられません。検査体制の強化と医療・福祉分野の充実、安定雇用と生活保障、人口と都市機能の分散を目指して全力で動き出さなければ、コロナ危機はますます長期化・深刻化することとなってしまいます。

 新型コロナウイルスの感染拡大は、国民に「集まるな」「移動するな」を要求し、飲食・宿泊・観光のみならず、交通産業にも「交通崩壊」が叫ばれるほどに甚大な影響を与えています。タクシーの売上は、対前年比で3月67%、4月38%、5月37%まで落ち込んでいます(全タク連・サンプル調査)。

 タクシー等の交通機関はコロナ禍の長期化が懸念される中で、患者輸送、医療機関関係者の輸送のみならず、日常的な通勤・通学、通院・買い物等の生活交通を日々支えている市民生活に欠かせない公共インフラにほかなりません。タクシーはこれまでも災害発生時に「移動における最後の拠り所」として存在してきました。また、近年、バス路線の縮小でデマンド交通が過疎地等の輸送を担い、その期待も高まっています。さらに、高齢化社会の中で交通弱者や運転免許返納者の生活交通を担ってきたのがタクシーであることは周知の事実です。

 国は、飲食業等に営業の自粛を要請する中、公共交通事業者には事業継続を要請しました。不採算を覚悟して事業継続した交通機関に対し国を挙げて支援することは当然です。また、感染リスクを抱えながら新型コロナ禍の最前線で働くタクシー乗務員の命と生活を守る施策をしっかり実行させるためには、労働組合の団結した行動が必要です。「明けない夜はない」。長期化が予想されるコロナ危機に諦めることなく立ち向かい、労働組合の団結した力と行動で戦後最大の危機を乗り越え行くことが求められています。

 コロナ禍は、これまでの生活様式の変化を求めるほどの力を持って社会を揺さぶっており、「コロナ後の世界は決してコロナ前には戻らない」と言われるような、大きな変革期を迎えています。タクシーの産別組織として組織力・行動力を強化し、この新時代に立ち向かい、自治体との連携を一層強化し、地域に欠くことのできない公共インフラとしてタクシーを社会的に認知させるとともに、公共交通を担う労働者にふさわしい労働条件を確立するために全国で活動を展開していきます。タクシーが生活に溶け込んだ重要な公共交通機関であることが社会的に認知され、若年者や女性にとってもやりがいと誇りが持て、生活できるタクシー産業に生まれ変わるために力を注ぎ、コロナ後の社会で重要な公共インフラを担うタクシーとして未来を切り開いていかなければなりません。

Ⅰ.内外情勢の特徴

1.世界情勢

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)は、人・モノの動きが世界的に遮断され、国内では感染防止のための「都市封鎖」で需要の蒸発を生み、倒産多発による失業者の急増が引き起こされるとともに、国際金融市場も企業業績や景気悪化から一気に不安定化し、世界経済を悪化させています。
IMF(国際通貨基金)は2020年6月24日に「世界経済見通し」を発表し、新型コロナの世界的大流行を受けて、2020年の世界経済成長率を▲4.9%(1月予想は+3.3%)となる見通しを示しました。10年前の世界金融危機のときを凌駕する、1929年大恐慌以来最悪の景気後退となり、今後の持続期間や深刻さが予想できない点でも不安を増幅しています。2020年後半に世界的流行が収束した場合には、2021年の世界経済は+5.4%成長すると予想されていますが、第2波の感染拡大の懸念もあり予断を許しません。
また、世界銀行は6月8日に2020年の世界経済成長率を▲5.2%と予想するとともに、OECDは6月10日に▲6%(第2波があれば▲7.6%)とさらに厳しい予想を出しています。実際、4~6月期の実質GDP成長率は米・欧・日でリーマンショック時をしのぐ記録的なマイナス成長となっています。新型コロナ危機で貿易の制限も増大し、都市封鎖(ロックダウン)は国内の格差を拡大させ、サービス関連や若年層の雇用を奪うなど深刻な影響を与え、体力のない中小企業を中心に倒産の増加と失業の長期化が懸念されます。飲食・宿泊・旅行・交通等の産業が長期的な影響に直面している中、企業や個人を守る支援を各国政府が大胆に実施していくことが求められます。



この間、米中「貿易戦争」が激しく展開されてきましたが、コロナ後の世界をめぐって米中対立が一層深刻化し、世界情勢の最大の不安要因となっています。
コロナ危機は11月の米国大統領選挙でのトランプ再選に大きな影を落としています。トランプ大統領は初動の段階で感染を軽視し対策が遅れたことで米国は世界一の感染国となり、リーマンショックを超える経済成長率の落ち込みと14.7%という戦後最悪の失業率(4月末時点)をもたらすとともに、白人警官による黒人への暴行・殺害への不満が爆発し、人種差別撤廃のデモが米国全土で沸き起こり、国内の分断がますますトランプ大統領の再選の見通しを暗くしています。こうした状況を打開するためにトランプ大統領は中国への批判を強め、「真珠湾よりも、世界貿易センターよりもひどい攻撃だ」とまで発言し、「発生源の中国で止められたはずだ」として中国政府に損害賠償を請求する可能性も示唆しています。
一方、中国は欧米に先駆けてコロナ感染を収束させ、経済を軌道に乗せ、マスクや医療支援を展開しました。国際協力を前面に出して影響力の拡大を狙っていますが、香港の民主化デモへの弾圧や台湾の独立志向の強まり、南シナ海をめぐる近隣諸国との対立は中国への反発を国際的に作り出す要因になっています。
国際社会は、コロナ禍によって「国内の分断」と「世界の分断」が高まるリスクに晒されており、保護主義や自国第一主義を強める可能性があります。特定の国に依存するサプライチェーン(供給連鎖)を見直し、国内回帰を検討する企業が増え、医薬品やインフラへの外国投資の管理が進み、地産地消型サプライチェーンや経済のブロック化が進む可能性が高まっています。世界経済のブロック化から第二次世界大戦に流れ込んだ1930年代を繰り返さないために、国際的協調が必要です。第2波のパンデミックを防ぐためにも共同のワクチン開発を急ぎ、衛生状態が悪く財政に余裕のない途上国への支援を強め、新型コロナという「共通の敵」と闘うための協力体制を築くことこそ喫緊の課題です。また、感染拡大は各国で社会的格差・分断を増幅させており、医療体制強化と失業・貧困対策を強力に推進し、社会が軌道に乗るまでの移行期をしっかり支え抜くことが求められます。


2.国内情勢

日本経済は、昨年10月から実施された消費税増税で個人消費が落ち込み、昨年の10~12月期で実質GDPがマイナス(年率換算▲6.3%)に転落する中、新型コロナの感染拡大が社会を襲い、大きなダメージを受けました。東京オリンピックの開催を最優先させ、訪日中国人観光客の渡航を止めることなく感染を拡大させた安倍政権の初動の失敗が危機を増幅させました。命を守る政策が後手後手に回り、検査体制も不十分なまま大都市では市中感染が把握できないまでに拡散し、「クラスター対策」で集団感染を抑え込む方策しか取れなくなりました。4月7日に政府は緊急事態宣言を発し、営業・外出の自粛を要請しましたが、「補償なき自粛要請」となり、飲食・宿泊・観光・交通等で収入が激減し、雇用を失うことによる困窮化が進みました。

7月末に総務省が発表した6月の完全失業率は2.8%、完全失業者数は195万人(対前年比33万人増加)となりました。また、就業者数も前年同月から77万人減少するとともに、就業者の内の休業者が236万人で90万人も増えている現状にあります。休業者の雇用がほころび失業者に移行してしまえば失業率6%を超え、リーマンショック時の5.1%を上回る「雇用の危機」が懸念されます。また、雇用者報酬も国内で10兆円減少すると予想され、終息後の消費回復を遅らせる要因となっています。第2波の爆発的な感染拡大が起きればダメージは倍増することは明らかであり、医療体制を強化することはもちろん、需要の減少が雇用や賃金の減少に波及しないよう、大胆な財政出動で雇用を守る対策が求められています。

8月17日に内閣府は4~6月期の国内総生産(GDP)が前年比の年率換算で27.8%縮小したと発表しました。新型コロナの感染拡大で日本経済の半分以上を占める国内消費が大幅に減少するとともに、輸出量も激減しており、「内需・外需総崩れ」の様相を呈しています。リーマンショック時の▲17.8%をしのぐGDPの落ち込みとなった今回のコロナ不況による倒産・失業・貧困の連鎖を阻止し、中小企業支援・雇用維持・需要回復の軌道を何としても作り出し、コロナ危機を乗り越えて行かなければなりません。とりわけ、コロナ禍で大きな影響を受けた医療・公共交通等の業種やインバウンド需要が消滅して苦境に立たされる地域への「復興支援」も感染収束後に実施されなければなりません。

安倍政権はコロナ対応でスピード感も実効性もないまま「無能さをさらけ出すだけでなく、給付金の委託問題でも金権腐敗の疑惑を深めるとともに、感染防止で命を守るべき時に、黒川検事長(当時)の定年延長を優先させた行為は国民の怒りに触れ、支持率を大きく低下させました。イージスミサイル基地を白紙撤回しながら、辺野古新基地建設を継続している沖縄の世論調査(6月13~14日実施・琉球新報他2社)では、内閣支持率は18.7%、不支持率は66.3%となっているのが現状です。また、NHKの世論調査(8月8~10日実施)においても内閣支持率は34%、不支持率は47%の結果となっています。コロナ対策に「無能をさらけ出し、金権腐敗を深める安倍政権の求心力は急激に低下していますが、次期衆議院総選挙で政権交代を実現し、命と生活を守る政策で戦後最大の危機となったコロナ危機を乗り越える政治選択が国民に求められています。

Ⅰ.内外情勢の特徴

1.新型コロナ感染拡大によるタクシーの営業収入への影響
新型コロナの感染拡大の影響によるタクシーの営業収入の推移



※北海道、青森、埼玉、千葉、長野、静岡、三重、滋賀、大阪、和歌山、島根、岡山、広島、山口、高知、佐賀、長崎、大分、宮崎、鹿児島は2月に運賃改定。神奈川、新潟は5社中4社、京都は6社中2社、兵庫は11社中9社が運賃改定。
※北海道知事が2月28日、緊急事態宣言。3月19日まで。
※政府が4月7日、埼玉、千葉、東京、神奈川、大阪、兵庫、福岡の7都府県に緊急事態宣言。
(4月16日から全国に拡大。北海道、茨城、石川、岐阜、愛知、京都の6府県を7都府県に加え「特定警戒都道府県」に)。
※5月14日、北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川、大阪、兵庫、京都の8都道府県を除く39県で緊急事態宣言を解除。
※5月21日、大阪、兵庫、京都の3府県で緊急事態宣言を解除。
※5月25日、北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川で緊急事態宣言を解除。

新型コロナ感染症の拡大は、飲食店の営業自粛や不要不急の外出自粛を伴う感染拡大防止策が全国で実施され、タクシー産業に甚大な影響を与えています。
2月1日、全国48地域で運賃改定が実施され、2月段階では、運賃改定実施地域のうち、青森、埼玉、千葉、神奈川、新潟、滋賀、岡山、山口、高知、佐賀、長崎、宮崎、鹿児島で営業収入が対前年でプラスに転じました。しかし、2月28日に北海道知事が道内に緊急事態宣言を発するなど新型コロナの感染が大きな問題となり、3月前半にはタクシーの営業収入は全国で急激に落ち込み、山梨、京都、大分で対前年比60%を割り込み、全国平均で68.8%と3割を超える営業収入が失われました。3月後半には京都で半減以下の営収となり、全国平均でも65.8%となり、さらに悪化しました。
4月7日に政府は、埼玉、千葉、東京、神奈川、大阪、京都、福岡の7都府県に緊急事態宣言を発するとともに、4月16日にはそれを全国に拡大しました。これにより、飲酒店等の営業自粛や外出自粛が一気に強まり、4月前半には営収が全国平均で対前年比46.1%となり、半減以下に急落しました。ほとんどのタクシー会社は休業に踏み込まざるを得ない状況に陥り、4月後半には全国平均で29.7%まで低下する事態となりました。京都(13.5%)、福岡(18.8%)、石川(16.1%)、福井(19.3%)、山梨(19.8%)、栃木(20.0%)の6府県では対前年比で80%の営収が蒸発しました。会社の存続が危ぶまれる程の深刻な非常事態がタクシー産業を襲いました。
5月上旬には「ゴールデンウイーク」の帰省客や観光需要が完全に吹き飛び、京都(13.4%)、山梨(19.3%)、石川(19.3%)の1府2県はこの期間も対前年比2割を割り込みました。5月7日に全国39県で政府の緊急事態宣言が解除されましたが、その後も外出自粛が続き、タクシー需要は戻らず、5月前半では対前年比33.8%に落ち込んだままとなりました。新型コロナの感染拡大による影響での需要喪失の長期化により、大阪の「ふれ愛交通」が5月13日に破産申請を行い倒産するなど、事業継続が困難な状況が全国を覆い尽くしました。5月後半も全国平均で対前年比40.6%の営収で推移し、タクシー危機を深刻なものにしています。
また、4月の訪日外国人観光客(インバウンド)は2,900人、5月は1,700人となりました(日本政府観光局発表)。昨年5月の277万3千人と比較して99.9%の減少となり、今年の1~5月の累計でも71.3%の減少となっています。この現象は観光需要の高かった地域に深刻な影響を与えており、今後インバウンドに頼らない観光の在り方を真剣に検討していかなければなりません。
5月25日に政府は緊急事態宣言を全面解除しましたが、新規感染者は東京都を中心に生み出され続けており、第2波の感染爆発も予断を許さない状況にあります。タクシー業界は大都市圏を中心に6月中旬をめどに休業を解除し、通常営業に戻す会社が現れていますが、都市間の移動は今もなお自粛がつづき需要の回復にはまだまだ時間がかかる状況にあります。全国平均で3月に3割以上の営収を失い、4月・5月の2か月にわたり約62%の営収を失うという、かつて経験したことのない事態は、タクシーの今後の在り方を根本から問い直すことを求めています。


2.深刻化する「交通崩壊」の危機

5月27日に実施された、バス・タクシー・船舶事業者を対象に「現在の状況が続いた場合に事業継続が難しくなるタイミング」についての緊急アンケート(日本モビリティ・マネジメント会議調べ)では、6月中旬頃が10%、7月中旬頃が15%、8月中旬頃が24%を占め、8月までに約半数の交通事業者が倒産する危機に直面しているという衝撃的な実態が示されました。事実、タクシー業界では雇用維持の努力もなく全員解雇を突然通告した「ロイヤルリムジン」のような悪質事業者や減収による経営難でやむなく倒産する会社も出始めています。また、企業買収・統合も加速しています。どの会社も新型コロナ関連融資による多額の借入れで辛うじてしのいでいる状況にあり、第2波の感染爆発が懸念され、長期化するコロナ禍の中で今後ますます事業継続が困難になるタクシー会社が出現することが予想されます。


3.感染リスクが高いハイタク労働者

ハイタク労働者は都市部で「市中感染」も拡大する中、新型コロナの感染リスクと闘いながら重要な公共交通の最前線で働いています。
5月1~2日に厚生労働省とLINEが行った「新型コロナ対策のための全国調査」では、「身体・健康について心配している」と答えた労働者は、職業別でタクシードライバーが32.7%(ヘルパー・介護31.9%、運送30.1%、小売り29.7%、医療29.7%)で最も多い結果となりました。
また、イギリス統計局が公表したイギリス国内における20歳から64歳までの死亡記録においても、新型コロナによる職種別の死亡者割合が高い職種は、ヘルパー・介護5.3%、タクシードライバー4.2%、警備員3.5%、店員2.8%、清掃員2.1%、看護師2.1%の順となっており、タクシードライバーは感染リスク・死亡リスクがヘルパー・介護に次いで2番目に高い職業となっています。生活に欠かせない公共交通を現場で担うハイタク労働者の命と生活を守る施策は何よりも重要です。



4.新型コロナ感染症対策で地方自治体によるタクシー支援の拡大

4月7日、7都府県に非常事態宣言が出され、4月16日には全国に拡大されることで、「補償なき自粛要請」が一気に拡大し、地方都市でも飲食、宿泊、旅行、交通をはじめ、地域産業が大きなダメージを受ける事態となり、国や自治体への支援要請が強まりました。全自交労連も全国各地で連合や事業者団体と連携しながら自治体要請を活発化させていきました。多くの自治体で市長の専決処分等によって、休業を強いられた業種や甚大な影響を受けた業種への独自支援も決定され、実行されて行きました。「公共交通は市民生活の移動に欠かせない分野(盛岡市長)」として多くの自治体でタクシーへの支援が決定されて行きました。
6月22日現在の地方自治体によるタクシーへの独自支援は、以下の通りとなっています。

自治体によるタクシーへの独自支援(6月22日)
(くらしの足をなくさない!交通崩壊を止める緊急フォーラム運営委員会まとめ)

●都道府県(感染防止策への助成や事業維持の支援金給付)
北海道、秋田県、福島県、茨城県、東京都、静岡県、愛知県、新潟県、富山県、長野県、大阪府、鳥取県、島根県、香川県、愛媛県、徳島県、福岡県、佐賀県、長崎県、宮崎県、沖縄県
※大阪府:複数事業所を有する事業所・100万円
※秋田県:タクシー車両1台・5万円
※東京都・愛知県:感染防止策に対し、タクシー1台・8000円

●市町村(感染防止策への助成や事業維持の支援金給付)
網走市、旭川市、根室市、留萌市、函館市、岩見沢市、江別市、帯広市、北見市、名寄市、千歳市、石狩市、長沼町、洞爺湖町、新得町、釧路町、白老町、美瑛町、遠軽町、中標津町、新十津川町、下川町、月形町、八戸市、黒石市、鹿角市、むつ市、つがる市、青森市、弘前市、五所川原市、十和田市、三沢市、三戸町、平内町、六戸町、中泊町、大槌町、軽米町、釜石市、大船渡市、宮古市、盛岡市、雫石町、洋野町、北上市、栗原市、石巻市、男鹿市、鹿角市、北秋田市、山形市、酒田市、尾花沢市、米沢市、鶴岡市、新庄市、寒河江市、南陽市、長井市、山辺町、高畠町、福島市、南相馬市、二本松市、伊達市、本宮市、日立市、龍ヶ崎市、ひたちなか市、鹿嶋市、さくら市、つくば市、小山市、安中市、飯能市、三郷市、吉川市、松伏町、四街道市、多摩市、厚木市、秦野市、糸魚川市、長岡市、上越市、伊那市、七尾市、金沢市、小松市、諏訪市、佐久市、下諏訪町、都留市、甲府市、佐久市、郡上市、富士市、沼津市、三島市、富士宮市、名古屋市、牧方市、奈良市、生駒市、王寺町、寝屋川市、豊岡市、朝来市、たつの市、姫路市、出雲市、岡山市、津山市、浜田市、大竹市、周南市、周防大島町、山口市、防府市、美祢市、和木町、吉野川市、新居浜市、奈半利町、福岡市、柳川市、北九州市、長崎市、大村市、五島市、平戸市、諫早市、新上五島町、時津町、川棚町、鹿島市、有田町、菊池市、時津町、新上五島町、八代市、阿蘇市、日南市、南島原市、霧島市、鹿児島市、南さつま市、志布志市、沖縄市、石垣市、宜野湾市、宮古島市
※三郷市:タクシー事業者1社・200万
※岩見沢市:タクシー事業者1社・150万円
※竜ヶ崎市:タクシー車両1台・10万円

【外出支援】
北斗市、大仙市、尾花沢市、塩釜市、野田市、三芳市、東京都、東京都中央区、八王子市、多摩市、松田町、開成町、北斗市、明石市、名護市
※野田市:妊婦のタクシー利用(タクシー運賃の半額補助・上限2000円×40回)
※明石市:高齢者・障がい者向けタクシー券(500円×20枚)
※名護市:交通弱者買物支援(タクシーの初乗り料金を市が負担)


5.「改正地域公共交通活性化・再生法」の成立

5月27日、持続可能な運送サービスの提供を確保するための「改正地域公共交通活性化・再生法」が参議院本会議で成立しました。人口減少や運転者不足が深刻になり、地域公共交通の維持・確保が厳しさを増している中、高齢者の免許返納が年々増加する等、地域の暮らしと産業を支える移動手段の確保は重要な課題となっています。また、交通インフラの整備は地域経済を支える上で欠かせないものです。自治体が交通事業者と連携し、地域の輸送資源を総動員する交通計画を作成し、既存の公共交通サービスの改善・充実を徹底するとともに、国が予算面とノウハウ面から支援することで、持続可能な地域公共交通を実現していかなければなりません。
今回の改正では、①自治体に「地域公共交通計画」作成の努力義務化、②乗合バスの新規参入等の申請があれば国交大臣が自治体に通知し、協議を促す、③過疎地等での市町村等が行う自家用有償運送の円滑化のために、事業者が協力する制度の創設、④自家用有償運送について住民だけでなく観光客等の来訪者も輸送対象とする、⑤貨客混載の手続の円滑化、⑥MaaSに参加する交通事業者の運賃設定手続きのワンストップ化とMaaS協議会制度の創設、等が盛り込まれました。
自家用有償運送に関して、輸送対象が来訪者まで拡大・緩和されたことについては、国家戦略特区の全国化の流れとして今後の動向には注意が必要です。また、過疎地輸送やMaaSでのライドシェア導入に対する懸念もあり、注視していかなければなりません。参議院において「ライドシェアの導入は引き続き認めない」とする付帯決議が採択されました。
また、同じ5月27日に新型コロナの感染拡大防止対策として2020年度の第2次補正予算案で138億円が計上され、バスと乗合タクシーの飛沫感染防止対策や車内の密度を上げないために運行本数を増やす費用を賄うとしています。


6.「スーパーシティ法案」(国家戦略特区改正法案)の成立

5月27日、「スーパーシティ法案」(国家戦略特区法改正案)が参議院で自民・公明・維新の賛成により、コロナ禍で社会が混乱しているどさくさに紛れる形で成立しました。自動運転、ドローン配送、遠隔医療、遠隔教育等、AI(人工知能)やビッグデータ等の最先端技術を活かした都市づくりを可能にする法律ですが、便利さの一方でプラットホームビジネスでは公平な配分ができず、利権のための情報独占が進み「超監視社会」に繋がる危険をはらんでいます。また、海外での自動運転の実証実験で重大事故も多発しており安全確保の面でも問題が顕著化しています。
実際、カナダの最大の都市トロントにおいてグーグル関連会社が名乗りを上げ自動運転を前提とした街づくりを進め、公共交通やライドシェアなどの移動サービスを定額制で乗り放題とする未来都市の構想のプロジェクトは5月7日に突如として中止されました。街中にセンサーを設置し、行動データを収集することに対して住民から「プライバシーの侵害」として抗議が高まったことも中止の理由となっています。
また、中国・アリババ集団の本社がある杭州市でも行政と連携して監視カメラのライブ映像をAIで分析し、交通違反取り締まりに役立てられたり、無人コンビニを設置し決済時の顔認証によるキャッシュレスを実現しようとしており、恐ろしい超監視社会を創ろうとしています。
こうした動きを注視し、安全性がしっかり確保されない安易な自動運転の導入やプライバシー侵害について反対していかなければなりません。


7.「改正道路交通法」の成立(二種免許緩和や「あおり運転」の罰則新設等)

6月2日、「改正道路交通法」が成立し、①二種免許の取得要件緩和、②市町村営の白ナンバーバスの路線バス停留所乗り入れ、③高齢運転者の「安全運転サポート車」に限る条件付き免許の創設、④「あおり運転」の罰則の新設、がなされました。
二種免許の取得要件緩和では、特別な教習を終了した場合、受験資格を現行の「21歳以上、普通免許経験3年以上」から「19歳以上、普通免許経験1年以上」に引き下げられました。2年後の2022年をめどに施行されます。この二種免許の取得要件緩和に対しては、「安全確保に問題あり」として全自交は反対してきました。施行後の事故発生状況等を注視する必要があります。
また、「あおり運転」については、施行日は6月30日です。「あおり運転」=妨害運転違反を新設し、①車間距離を詰める、②急ブレーキをかける、③不必要なクラクションを鳴らす、④急な進路変更、⑤ハイビーム威嚇の継続、⑥乱暴な追越し、左からの危険な追越し、⑦幅寄せや蛇行運転、⑧高速道路での最低速度違反、⑨高速道路で駐停車、等を通行妨害目的で行った場合「3年以下の懲役、または50万円以下の罰金」となり、著しい危険を生じさせた場合は「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」が課されることとなりました。


8.ライドシェア導入に向けた動き

1月22日、経済同友会は「日本版ライドシェア」の速やかな実現を求める~タクシー事業者による一般ドライバーの限定活用~と称して自家用車を使った有償運送の「白タク」を都市部の通勤時間帯などに限って解禁すべきとの提言を公表しました。タクシー会社が配車アプリを使い、運行管理することで安全安心を担保できるとも指摘しています。訪日客の増加や運転免許返納者の増加を取り上げ「白タクの部分解禁で供給を増やすべき」と主張し、タクシーの供給不足が生じる都市部の時間帯や路線バスが乏しい地域に限定した「白タク解禁」を提案していますが、こうした唐突な提案は、新型コロナの感染拡大と東京五輪の延期決定でインバウンド需要の蒸発が起き、意味をなさなくなっています。しかし、コロナ危機の深刻化・長期化で「交通崩壊」進めば、過疎地での「白タク」活用=ライドシェア合法化の主張が強まっていくこともしっかり確認して警戒しなければなりません。


Ⅲ.今後の運動の基調

1.命と雇用と生活を守り、働き続けられる労働条件の確立

新型コロナ感染症の収束が見えない中、ハイタク労働者を感染から守る対策は事業者の義務であり、国や自治体が全面的に支援すべき施策です。マスク・消毒液・感染防止の車内仕切り等への対策や乗客のマスク着用義務について事業者や行政機関に強く要求するとともに「危険手当」の支給を国や自治体に強く求めます。 
また、売上が激減した4月から、多くのタクシー会社が全面的・部分的な休業に追い込まれました。中には雇用維持の努力なしに、大量解雇に走る悪質事業者も現れましたが、絶対に許すわけにはいきません。今解雇され路頭に投げ出されたらタクシーへの再就職はもちろん「コロナ失業」が拡大する社会で生活を維持するのは困難であり、雇用を守る闘いは最重要の闘いとして取り組んでいかなければなりません。
また、休業した場合でも休業補償は平均賃金の100%を実現しなければ収入は大きく低下してしまいます。雇用調整助成金の特例措置を活用させ、「生活できる=収入が減らない休業手当」を勝ち取るために労働組合として全力をあげます。
コロナ禍における営業収入の低下は、最低賃金違反や有給休暇所得に関する違反を拡大させる要因となっています。賃金の遅配・欠配を含め、法律違反に対しては徹底した戦いが必要です。

2.生活に欠かせない公共インフラとしてのタクシーを守り、ライドシェアの導入を阻止する

新型コロナ禍により交通産業は甚大なダメージを受け、「交通崩壊」が叫ばれる事態となっています。バス・タクシーが再起できない程のダメージを受けてしまえば、「コロナ後」に地域交通は「焼け野原」となり、その再生・復興は白ナンバーによる有償運送やライドシェアの導入に頼らざるを得ない程に困難を極めることになってしまいます。地域社会と市民生活に欠かせない移動を担っている交通機関を守ることは国と自治体の最重要の責務です。重要な公共インフラとしてタクシーを認識させ、事業継続と持続可能な輸送サービスの提供を可能とする施策を国や自治体に強く求めます。
人口減少と高齢化が進む地方部で運転者不足も深刻となる中、ライドシェア不要の公共交通のネットワークを構築し、生活交通を確保することが国や自治体の使命であることを訴えます。

3.組織の拡大・強化を進め、力強い全自交の運動を展開しよう

新型コロナ禍の最前線で働くタクシー乗務員の命と生活を守る施策をしっかり実行させるためには、労働組合の団結した行動が必要です。第2波・第3波の感染爆発が懸念され、戦いの長期化が予想されるコロナ危機に諦めることなく立ち向かい、労働組合の団結した力と行動で戦後最大の危機を乗り越えて行かなければなりません。
職場での「仲間の命と生活を守る闘い」とともに、国や自治体への要請行動を積極的に展開し、その成果の積み重ねを職場と地域に宣伝しながら、ハイタク労働者の信頼を勝ち取り、全自交労連への結集を実現していきましょう。私たちは、新型コロナ禍の危機に抗して、タクシー労働者の労働条件改善と社会的地位の向上を実現するためにタクシー労働者の人間らしい労働環境の確立を全力で追求します。また、幅広い共闘を組織して闘いながら、地域運動や平和運動など社会的労働運動の発展のために奮闘します。


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