全国自動車交通労働組合連合会はハイタク産業に従事する労働者で構成する労働組合の連合体です。本ホームページは、どなたでも自由に全てご覧いただけます。


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Ⅲ.2020春闘、取り組みの基調


1.公共交通の労働者の誇りを持てる賃金に改善しよう!
安倍政権下の富裕層・大企業優遇政策で労働者の可処分所得と実質賃金は低下し、労働者の生活は困難さを増しています。労働力不足が叫ばれ、労働市場は「売り手市場」であるにもかかわらず、非正規雇用の拡大が続き、労働条件の改善が進んでいません。2020春闘こそ、全ての職場で要求を掲げ、積極的交渉で大幅な賃上げを実現しなければなりません。タクシー産業が歩合給制度に依存し、「長時間労働で低賃金」と言われる状況を打破しなければ、タクシー産業の未来は語れません。乗客の命を預かり、市民生活に欠かせない公共交通機関として、タクシーの社会的使命を果たすためには、そこで働く労働者が誇りを持てる労働条件を確立することが必要です。公共交通労働者にふさわしい賃金水準を求めて取り組みを進めます。

2.他産業との格差を是正し、若者にも魅力のある労働条件を!
2020春闘は、他産業との格差を是正し、魅力ある賃金・労働条件を確立するために全力を上げる春闘です。需要が大幅に低迷しつつも、台数の減少が進み、9年連続で日車営収や賃金改善が進んでいると言われていますが、全産業男性との年収格差は未だに200万円を超えています。また、タクシー産業の地域間格差も拡大してきました。地方のタクシー職場では、多くの会社が存続を危ぶまれ、悪質企業の最低賃金違反、労基法違反も根絶されていません。長時間労働にさらされていながら生活が維持できない労働条件を背負わされているタクシー労働者の厳しい現状を全力で突破し、乗務員をしっかり確保できる、魅力ある労働条件を確立する必要があります。

3.違法白タク排除!白タク・「ライドシェア」合法化阻止!
地域住民の生活を支えるタクシーに生まれ変わろう!
東京五輪を前に「中国式白タク」が主要空港等で拡大するとともに、ウーバーや滴滴(ディディ)が日本でタクシー配車事業に乗り出してきました。また、安倍政権は「国家戦略特区」などを活用してライドシェアを導入しようとしています。2020春闘は、賃金改善とともに、白タクを確実に排除し、タクシーの存立基盤を破壊する白タク合法化を絶対に阻止する闘いを車の両輪として進めなければなりません。また、ライドシェア不要の地域公共交通網を形成し、地域住民の生活を支える移動手段の主役としてタクシーがしっかりとその役割を担っていくことが求められています。
さらに、ライドシェア導入に反対する地方議会の意見書採択を進めるとともに、予想される衆議院の解散総選挙に勝ち抜き、安全・安心を確保するための規制を崩し、労働者をないがしろにする政治の転換を実現しなければなりません。安倍政権打倒の闘いに全力を上げるとともに、ライドシェア導入反対の広範な世論形成に奮闘していきます。

4.「ブラック企業」を追い出し、適正需給・適正運賃の確立へ
改正タクシー特措法が施行されましたが、低運賃競争や供給過剰に苦しみ、労働者の賃金が低下している多くの地域が放置されています。また、指定基準に抵触し、特定地域・準特定地域の指定解除も拡大してきました。タクシー特措法の実効性を確保するためには、指定基準の見直しは喫緊の課題です。さらに、供給過剰を認めながらも減車を拒む事業者や低運賃を採用して法令違反を繰り返す悪質な「ブラック企業」の存在を許さず、適正需給と適正運賃の確立に向けた取り組みを全力で進めます。とりわけ、法令無視の悪質な「ブラック企業」に対する監視・摘発を強化し、市場から合いだすために全力をあげます。
また、全タク連・11項目に9項目が追加され、ライドシェアへの対抗とともに、タクシー活性化=労働条件改善策として次々実行されていますが、この新たな取り組みが労働条件にしわ寄せされたり、安全・信頼を損なったりすることのないよう、しっかりチェックしていかなければなりません。

5.全ての職場で積極交渉!その成果を組織拡大につなげよう!
春闘は、労働者が団結し賃上げを求めて一斉に起ちあがり、成果を社会的に波及させる闘いです。労働分配率が低下し、可処分所得と実質賃金が低下している現在、労働組合の春闘の役割は、貧困の根絶と日本経済の再生のためにも重要性を増しています。2020春闘は「みんなの要求」で団結し、交渉力を発揮して、闘うことがこれまで以上に求められます。「要求しないものは実現しない」のであり、具体的成果を獲得するまであきらめずに交渉を積み上げ、勝ち取った成果を組織拡大に繋げるために全力を上げます。
また、東京五輪前にライドシェアを解禁する動きも加速しており、タクシー産業の存立を脅かすこうした攻撃に対し、全自交に結集した組合の団結強化と組織拡大が欠かせません。
全ての加盟組合が過半数組合となるために、職場の未加入者との対話を活発に行いながら、①新入社員に対する加入の働きかけ、②嘱託・定時制乗務員の組織化について力を入れます。全ての仲間の愚痴や不満を組合の要求に高め、正社員主義に陥ることなく、職場全体を代表する組合として行動します。また、「賃金底上げ」を最大限重視し、職場で最も低賃金を強いられている仲間の賃金を引き上げるとともに、タクシー運転者最賃の実現に向けて、企業内最低賃金協定の締結に奮闘します。さらに、「働き方改革」に合わせ、長時間労働の是正や有給休暇の改善のために奮闘します。
また、健全な労使関係と真摯な団体交渉を保障させる上で、ユニオン・ショップ協定の重要性を確認し、積極的に推進していきます。
また、地域においても広く労働相談を募り、未組織職場における労基法・最賃法・改善基準違反などを摘発し、労働者の権利を守る活動を展開し、全自交の組織拡大に繋げていきます。


Ⅳ.賃金・労働条件改善の要求

乗務員賃金の特徴は、賃金体系が歩合給(出来高給)に過度に依存し、不安定な賃金体系の下で安全運転を最優先としつつ、売り上げの確保に対する多大なストレス(労働者同士の競争)を受けることにあります。経営者は歩合制賃金のもとで、累進性を持たせることに力を注ぎ、運送収入が低下するリスクを労働者に負わせ(運収の減少率以上に賃率が減少)、安定した収益を求めてきました。これによって規制緩和による熾烈な増車・低運賃競争の展開を可能にしてきたのです。こうしたあり方は、事業者の経営モラルを低下させ、本来は事業者責任で負担すべき設備費用を運転者に負担させることも全国で拡大してきました。同時に法令遵守の精神が蝕まれ、労基法違反、最低賃金法違反、改善基準違反が後を絶たない状況です。こうしたタクシー産業の体質が乗務員不足に拍車をかけ、年金受給者の増加にみられる乗務員の高齢化を生み出してきました。
私たちは、こうした状況を早急に改善し、固定給中心で家族を養い生計を立てられる賃金水準を実現するとともに、若年者や女性に魅力ある労働条件を創り出し、重要な公共交通を担う労働者としての誇りを取り戻せる状況を作り出すために努力します。また、労働条件の向上を通して、利用者にとっても「安全・信頼のタクシー」として再生させなければなりません。

1.2020春闘の賃金要求(労働時間含む)

1.改正タクシー特措法の施行時の国会附帯決議である、①累進歩合の廃止、②固定給 と歩合給のバランスの取れた給与体系の再構築、③運転者負担の見直し、④過度な遠 距離割引の是正、⑤過労防止対策の推進、を完全に履行させ、公共交通を担う労働者 にふさわしい労働条件を築くために全力をあげます。
その際、経理資料、輸送実績資料等々の公開を求めながら取り組みます。
2.賃金の統一要求は賃金体系にかかわらず、生活維持分と賃金回復分として組合員  1人当たり月額10,000円を要求します。国会附帯決議に盛り込まれた「固定給と  歩合給のバランスの取れた賃金体系の再構築」に向けて、固定給部分の新設・拡充に  よる賃金改善を柱に要求します。
また、他産業との格差是正分として、賃金要求とは別に一時金の改善や退職金制度 の新設・改善等を各職場の状況に即して要求します。
3.年10日以上の有給休暇が付与されている労働者に対し、年5日以上有給休暇を取 得させます。また、使用者には各労働者ごとに「年次有給休暇管理簿」を作成する義 務があり、これを確実に実施させます。あわせて、有給休暇の手当改善(仮想営収方 式の導入等)と特別有給休暇の改善を要求し、有給休暇が取得しやすい環境を整備し ます。
また、定年退職後に継続雇用となった場合、勤続年数を通算させ、年次有給休暇を 付与することを徹底させます。
4.運転者最低賃金の創設に向けて、「地域最低賃金時間額+200円」以上の企業内 最低賃金協定の締結を要求します。
5.雇用形態の違いによる差別がないよう、「同一労働・同一賃金」の原則の下、正社 員と同じ業務内容である場合は、嘱託等の雇用形態にかかわらず、正社員と同一の賃 金(手当・慶弔規程・有給休暇・休職規定等を含む)とすることを求めます。
6.ハイタクA型賃金と観光バスの一時金獲得目標は年間100万円とします。
7.退職金は、現行の退職金制度を維持し、支給額の上積みを要求します。また、退職 金制度が無い職場では新たな退職金制度の創設をはかり、要求基準額は5年=50万 円、10年=100万円以上とします。また、中退共への加入を促進します。
8.長時間労働の是正に向けて、「働き方改革」関連法にある時間外労働の上限規制(一 般側)の原則である「月45時間かつ年360時間」を求めます。同時に、時間外労 働の削減により給与総額の低下を招かないよう、効率的な勤務時間と休日の設定及び 所定内賃金の時間単価(歩合給については支給歩合率)の引き上げを求めます。
ハイヤー等において、長時間労働が常態化しないよう、労働時間の把握に努め、過 労死ラインの月80時間を超えないとともに、上限規制(一般則)の年720時間以 内を求めます。また、時間外労働の削減により賃金の総支給額が低下しないよう、効 率的な勤務時間と休日の設定及び所定内賃金の時間単価(歩合給については支給歩合 率)の引き上げを求めます。
また、「改善基準告示」の改正で月間総拘束時間の短縮が検討されていることから、 日勤勤務や隔日勤務にかかわらず、月間総拘束時間の短縮を求めます。
また、連続勤務(日勤勤務)の勤務間インターバルについて、11時間を求めます。
9.「無期転換ルール」を遵守させ、有期雇用契約が通算5年を超えて反復更新された 有期雇用の乗務員及び職員が無期転換を申込んだ場合、トラブルなく無期雇用に転換 される様、雇用の安定を図ります。
また、定年後に引き続き雇用される有期雇用契約社員については、適切な雇用管理 計画を作成し、労働局長の認定を受けた場合に限り、特例として無期転換申込権が発 生しませんが、この認定を受けていない事業者が無期転換を拒む事を許しません。
10.事業の休止・廃止や譲渡など、雇用・労働条件にかかわる経営方針の変更について は、労働組合と事前に協議し、同意を得てから実行するよう協定します。

(参考資料)

<<交運労協の2020春闘要求とミニマム賃金水準>>

具体的な賃金要求項目
(1)賃上げ要求
すべての構成組織は、定期昇給相当分(一人平均基本給の2%)を確保したうえで、2%度の賃上げを求めます。とりわけ、「働き方改革関連法」の成立に伴う長時間労働の是正取り組みと一体のものとして、削減された超勤手当の原資を生産性向上分として基本給に組み込んでいく取り組みを展開していくこととします。
(2)ミニマム賃金水準
わが国の基幹インフラでありながら、社会的に低位に置かれている交通運輸産業労働者の労働条件向上を図るために、「最低限確保すべき賃金水準=ミニマム賃金水準」に基づき、「賃金水準の絶対値」にこだわる取り組みを進めます。

「交運労協ミニマム賃金水準」
30歳:175,000円、 35歳:234,400円、 40歳:268,900円、45歳:311,700円、 50歳:382,000円
注1)人事院「標準生計費」をベースに労務行政研究所が試算した「年齢別標準生計費(全国・2018年4月・子供2人)」の負担費修正値(消費支出+税金・社会保険料)。100円未満は四捨五入
注2)「標準生計費」とは、①夏・冬の一時金支給時の支出を含まない②有業人員1人③各世帯の並数(最も多くの世帯が分布している)値 
注3)“子供2人”世帯とは、「全期間、各年齢にわたって子供が2人いる世帯」ではなく、生涯を通して「独身→結婚→第1子誕生→第2子誕生という過程を経て、最終的に子供が2人いる世帯」を意味 
注4)「標準生計費」に対応する賃金は、一時金を含まない月例所定内賃金とする

(3)賃金制度
・賃金制度が未整備な組合については、現行の賃金水準を基本にして、定期昇給制度の確立を図ります。
・歩合制度が採用されている自動車運転業務においては、各運転者の労働時間に応じ、各人の通常の賃金の6割以上の賃金保障を求めていきます。

2.A型賃金の再確立と法違反の一掃

(1)固定給中心の生活安定型賃金の追求
全自交労連の賃金方針の基本である生活安定型賃金を目指して、産業実態(流し営業・非流し営業の実態)を踏まえ、歩合給割合を抑えた固定給を中心とする、いわゆる「A型賃金」制度の再確立を追求していきます。
全自交労連が歴史的に築いてきた「固定給中心の賃金体系」(A型賃金)は、基本給(勤続給を含む)に諸手当を付加した固定部分に、稼働額の一定額(足切り額以上の営収部分)に対して歩合給を加算する形です。歩合給部分については、労働者同士の熾烈な競争を和らげるとともに、労働意欲を維持する観点から、適正な「足切り額」や歩合給支給率を設定します。
その他に、生活設計を考慮して夏季・冬季一時金と退職金制度が設けられています。
改正タクシー特措法の施行以来、累進歩合やオール歩合の賃金体系からA型賃金に変更する動きも各地で出てきています。「固定給部分の水準は、ハイタク産業で働き家族を養い、最低限の生計を維持できる額(労働力の再生産費)であるべき」という考え方に立って、地域最賃+200円以上の時間額となる基本給を目指し、さらに1,000円以上の定昇制度の導入・改善や諸手当の充実を求めながら、「固定給中心の生活安定型賃金」を追求していきます。

●目指すべき賃金体系(A型賃金)
・基本給 生活が維持できる水準。最低でも時間単価で地域最低賃金+200円以上。
・勤続給 定期昇給(月額)1,000円以上(最低でも勤続20年まで確保)
・諸手当 通勤手当・家族手当等
・歩合給 足きり額は乗務員の8割以上がクリアできる水準。
歩合率は稼働意欲を維持できる水準
※賃金総額に占める固定給割合が6割以上。
※年2回の一時金と退職金の整備する。
※総費用に占める乗務員・人件費率(賃金・退職金・法定福利費等)平均70%をめざす。

(2)累進歩合制の排除
営収額によって階段式に非連続的に歩合率が変動するのが累進歩合制です。ここ数年の春闘で累進歩合制の廃止を実現した組合も多くありますが、全ての職場から一掃するよう闘います。また、一時金における累進歩合も排除するために奮闘します。

(3)不当な運転者負担や賃金カットの排除
カードリーダー等の機器使用料、無線配車料、チケット手数料など設備投資費用や営業費用などを運転者負担させることは許されません。これらの経費を会社経費として扱うことは社会常識上当然のことです。不当な運転者負担をハイタク産業から早期に一掃する取り組みに全力をあげます。

(4)過度な遠距離割引の是正
改正タクシー特措法成立時の国会附帯決議で「過度な遠距離割引の是正」が賃金制度の改善の一つとして謳われました。公定幅運賃の導入を機に遠距離割引が消滅した地域もありますが、大阪を中心に拡大した「5千円超5割引」は未だに継続されています。会社が営業上の理由で大幅な割引を導入しておきながら、その割引分を営収額に加算せず、結果的に歩合給賃金の運転者に負担させることは許されません。「5千円超5割引」の即時・一斉廃止又は全額会社負担を求めて闘いを進めます。また、公定幅運賃の下限引き下げ措置により、新たな運賃競争が勃発する事態が起きています。引き下げられた下限運賃を選択した上、初乗り距離短縮運賃を導入し、さらに高齢者割引等の各種割引運賃を設定しながら安売り競争にのめり込む事業者を許さず、「安全輸送が確保できる地域統一運賃」の実現を求めて運動を強化します。
なお、身障者割引など社会政策的な公共的割引については、それらが導入された際の国会審議や国交省通達によって経営者負担とすべきことが確認されており、経営者が割引き分の営収を補償し、賃金が下がらないようにしなければなりません。同様に公共性が高い高齢者割引や免許返納者割引についても公共的割引として位置づけさせ、経営者が割引分の負担を行うよう求めます。経営判断で運賃を割り引きながら、減収した分は運転者の賃金にしわ寄せすることは許されません。

(5)過労防止対策の推進
改正タクシー特措法成立時の国会附帯決議で、過労防止対策が盛り込まれ「タクシーの供給過剰対策、運転者の健康を守る観点からの過労防止対策などの推進を図る」としています。1回の勤務が長時間の拘束を伴うタクシー運転業務にとって休日の確保は重要な問題です。また、明らかに稼働が見込めない日に通常通り出庫させ、供給過剰状態を作っていることに対して対策が必要なことも明白です。年間の日曜・祝日はあらかじめ決まっており、需要の少ない日には必要最低限の車両数で対応しながら乗務員の休日を確保し、需要が見込まれる日に効率よく勤務する方策を労使で検討することが求められています。勤務交番や労働時間の変更を伴う交渉においては、組合員の合意形成を重視しながら賃金の総支給額が減額される不利益を伴わない形で協議を進めます。
また、改善基準告示違反は行政処分の対象であり、全ての職場で改善基準が遵守されるよう監視を日常的に強化します。さらに、年次有給休暇は労働者の権利であり、消化しやすい環境整備を求めます。冠婚葬祭などの特別休暇の拡充にも力をいれます。

(6)適正な賃金計算、最低賃金の確保
最低賃金が引き上げられるにつれて、経営側の最賃違反逃れの策動が露骨になっています。客待ちや待機時間を不就労とする違法な労働時間カウントや3時間を超える休憩時間の設定は改善基準通達に違反します。また、経営者が一方的に勤務シフトの変更や残業時間の短縮を押し付け、賃金を削減する動きが出ています。労働者の生活困難を顧みず、安易に労働時間削減で最賃違反をかわそうとする経営姿勢は断じて容認することはできません。また、割増賃金や有給休暇等の労基法違反、改善基準違反、最低賃金違反については絶対に見逃すことなく全ての職場で点検・摘発を行うとともに、職場の違法行為を一掃するために闘います。

<自動車運転者を使用する事業場に対する監督指導、送検等の状況>
(2018年・ハイヤータクシー)


(7)雇用形態の違いによる差別禁止と「同一労働・同一賃金」の推進
正社員と有期雇用契約社員(定年後の再雇用者含む)との不合理な差別は禁止されています。正社員と同じ業務内容でありながら雇用形態の違いだけで不当な差別的賃金が支払われることがないよう労働組合としてしっかり点検し、「同一労働・同一賃金」の原則に照らして改善しなければなりません。「正社員と同じ業務内容」とは、職務内容と責任の程度に差異がないと言うことであり、タクシー職場で乗務員として勤務する場合、労働時間、出勤日数、勤務シフトにおいて明確な差異がなければ「同じ業務内容」として扱う以外にありません。嘱託・契約社員等の雇用形態にかかわらず、働く仲間全員を労働組合に組織し、団結の強化・拡大を図るためにも、全自交労連として「同一労
働・同一賃金」の推進に全力をあげます。
また、いわゆる「団塊世代」(1947~49年に生まれた世代)が70歳に到達する中で、乗務員の高齢化も年々進み、平均年齢も全国平均で60歳を超える状況にあります。年金を満額受給できる年齢である65歳を超えて働く乗務員の比率が確実に上がっているのが現状です。定時制・嘱託乗務員の比率も高まっており、以下の点について交渉します。
①65歳までの定年延長(職場や地域の事情によっては70歳定年等も検討)
②有期雇用で正社員と同一シフトで働く場合の「同一労働・同一賃金」の実現
③高齢乗務員の健康状態に配慮した勤務シフト作り(特に深夜勤務の削減)
④健康診断及び日常的な健康管理体制の充実
⑤乗務員の適正な雇用年齢上限の検討(75歳まで等)

<短時間・有期雇用者の雇用管理改善法での不合理な待遇の禁止>
この法改正の施行日は2020年4月1日。中小企業への適用は1年遅れ。
「短時間・有期雇用者の雇用管理改善法」第8条(不合理な待遇の禁止)
【第8条】
事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度( 以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。

(8)長時間労働の是正
「働き方改革」関連法が成立し、罰則規定付きで時間外労働の上限規制(一般則)が2019年4月1日から導入されます(自動車運転業務は猶予期間あり)。

<時間外労働の上限規制(一般則)>
1.時間外労働の限度を原則「月45時間、かつ、年360時間」
2.特例として労使合意があっても「年720時間」に制限
3.「年720時間」以内においても、
 ①2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月の平均でいずれも休日労働を含んで80時間以内。
 ②単月では、休日労働を含んで100時間未満。
 ③原則を上回る特例の適用は、年6回を上限とする。

さらに、自動車運転業務については、改正法の施行から5年後に年960時間(=月平均80時間)以内の規制を適用することとし、かつ、将来的には一般則の適用を目指すとされています。これでは、5年の準備期間を設けても一般則より年240時間(=月平均20時間)長い時間外労働が認められ、将来にわたって一般則が努力目標にとどまってしまいます。
私たちは、2020春闘において、タクシー労働者の時間外労働が、上限規制(一般則)の時間外労働の限度の原則である「月45時間かつ年360時間」以内となるよう取り組みを進めます。同時に、時間外労働の削減により賃金の総支給額が低下(割増賃金の減額と稼働額の低下)することを鑑み、それに見合った所定内賃金の時間単価引き上げ(歩合給においては支給率の引き上げ)を求めます。また、歩合給部分を考慮し、需要が見込めない日時の労働時間を削減し、需要が見込める日時にその一部を振り分ける等、効率的な勤務シフトや休日の設定を求めます。
また、ハイヤー等において、長時間労働が常態化しないよう、労働時間の把握に努め、過労死ラインと言われる月80時間を超えないとともに、上限規制(一般則)の特例制限である年720時間以内を求めます。また、「改善基準告示」(ハイヤー運転手)の時間外労働の努力目標である、1カ月50時間、3カ月140時間、1年450時間の実現に力を入れます。
また、連続勤務(日勤勤務)の勤務間インターバル(休息期間)について、11時間(最低でも9時間)を求めます。
また、「改善基準告示」の改正による月間総拘束時間の短縮が検討されていることから、日勤勤務や隔日勤務にかかわらず、月間総拘束時間の短縮を求めます。

<改善基準告示の概要>
●労働時間等の時間構成


[タクシー運転手]


[ハイヤー運転手]


(9)無期転換ルールの遵守
有期雇用契約の乱用的な利用を抑制し、労働者の雇用の安定を図ることを目的に労働契約法が改正されました。このことにより、2013年4月1日から「無期転換ルール」が導入され、2018年3月31日で5年が経過しました。同法の施行から5年を超えて有期雇用契約が繰り返し更新された場合に、労働者の申し込みにより、無期雇用に転換することとなります(この申し込みを事業者は拒めません)。1年契約を繰り返し更新してきた乗務員や職員が、この無期転換の申し込みによりトラブルなく無期雇用に転換されるよう、労働組合としてしっかりとチェックし、雇用の安定を図ります。
また、定年後に引き続き雇用される有期雇用契約社員については、「適切な雇用管理計画を作成し、労働局長の認定を受けた場合」に限り、特例として、無期転換申込権が発生しませんが、この認定を受けていない事業者が無期転換の申し込みを拒む事は許されません。

<働き方改革関連法の施行に伴う対応>
①運転業務以外の労働者(事務・配車・整備等):必要に応じた36協定の見直し。
②月60時間超の時間外労働に対する割増率50%以上の協定化と就業規則の変更。
 ※中小企業への猶予は、2023年4月1日より撤廃。
③有給休暇の確実な取得に関する協定化(時季指定)と就業規則の変更。
 ※使用者は、年次有給休暇を10日以上付与される労働者について、5日分を付与日から1年以内に取得させることが2019年4月1日より義務化。
④勤務間インターバルの協定化と就業規則の変更。
 ※日勤者の勤務間インターバルについて11時間(最低でも9時間)の協定化をめざす。
⑤短時間及び有期雇用者(短時間・嘱託乗務員)に対する不合理な格差の是正を求める団体交渉を推進するとともに、本人の求めによる正規雇用労働者との待遇差の内   容・理由・決定に関する使用者の説明義務についての協定化と就業規則の変更。
 ※法改正の施行日は2020年4月1日(中小企業は2021年4月1日)


Ⅴ.ハイタク産業の政策要求

1.訪日客の白タクとCREWの摘発とライドシェア導入阻止
タクシーを活用した地域公共交通の再生と活性化


1.訪日中国人観光客が増加する中、在日中国人等がスマートフォンアプリを使用し、 無許可で有償送迎する「中国式白タク」が国内の港や主要空港で横行しています。
訪日観光客に対し、許可を得ない自家用車による有償運送が「白タク」として禁止 されていることを周知徹底するとともに、関係機関による対策会議の設置や実態調査 の実施を全国的に行うとともに、監視・摘発・取り締まりを強化し、違法な白タク行 為を一掃すること。
レンタカーを使用した運転を兼務するガイド事業についても対策を講じること。
また、東京都内で「任意の謝礼」を求め、事実上、違法な白タクの疑いがある事業 を展開するCREWについての監視を強め、違法性が確認された場合は、営業を認めな いこと。
さらに、歓楽街で常態化している白タクや運転代行によるタクシー類似行為を確実 に排除すること。
2.いわゆる「ライドシェア」は二種免許や運行管理、車両管理を不要とし、事故のリ スクも運転者個人に負わせることから、輸送の安全と利用者の保護を著しく低下させ ることは明らかです。また、運転者は請負業とされ雇用関係が認められないことから 労働者の基本的権利をはく奪されて働くこととなり、労働の面からも問題です。さら に、公共交通のような持続可能性のある輸送サービスを安定的に提供することが困難 であることから、こうした「ライドシェア」の合法化を国家戦略特区や「規制のサンドボックス制度」の実証としても認めないこと。
また、新たな移動サービスとして「MaaS」(マース)=(Mobirity as a Service) の取り組みを進めるにあたって、行政主導が主導する取り組みとするとともに、違法 な「ライドシェア」を移動手段から除外すること。
3.地域公共交通の活性化と再生は、住民の生活を支える上で重要な課題となっており、 国及び自治体は、輸送の安全と雇用や労働を破壊する「ライドシェア」の活用ではな く、自治体・事業者・住民が連携し、地域住民の生活を支える地域公共交通のネット ワークを作るための支援を強化すること。
また、地方議会においてライドシェア導入反対の意見書が多数採択されており、そ の自治体の意向を最大限尊重すること。

2.タクシー適正化・活性化の推進と悪質事業者への処分強化
タクシー産業の再生と労働条件の向上を目的に改正タクシー特措法が施行されましたが、規制改革会議や公正取引委員会が特定地域の指定と適正車両数実現の計画に対し異を唱えるとともに、悪質な低運賃事業者が運賃裁判に訴えたことにより、台数・運賃の適正化が不十分なものとなってしまいました。公定幅運賃の下限見直し措置が取られた地域では新たな低運賃競争が勃発し経営基盤と労働環境を悪化させていますし、特定・準特定地域の解除も徐々に進んでおり、台数と運賃の両面で適正化対策の限界が露呈しています。
しかし、自治体・労働局・警察等も参加する「地域協議会」を設置し、台数・運賃の適正化や産業の活性化策を協議しているのは、あらゆる産業の中でタクシー産業だけです。「地域協議会」に積極的に参加し、働く環境の改善のために精一杯努力していかなければなりません。

1.消費税の増税と合わせて運賃改定を予定した地域について、国土交通省は増税分の転 嫁しか認めず、継続審査とした48地区について、国交省が発した12月10日付け通 達の趣旨通り、運転者の労働条件の改善状況を点検し、運賃改定の趣旨を逸脱する事業 者については厳しく指導すること。
2.特定地域及び準特定地域の指定基準を見直し、労働条件が低下し対策が必要な地域 が特定地域に指定され適正需給の確立等の必要な対策がとれるようにすること。
また、特定・準特定地域でとられた対策の効果を総合的に検証し、労働環境の改善 に向けた取り組みの現状を調査・報告すること。
3.公定幅運賃制度を全ての地域にも適用するとともに、適正な人件費が確保でき、利 用者にも分りやすい地域統一の運賃となるよう、その下限運賃や運賃幅について適正 化を図ること。また、過度な遠距離割引の是正に尽力すること。
4.タクシー事業場の法令違反を一掃するために、関係省庁連携の下、監査・指導体制 の充実強化をはかること。また、法令違反を繰り返す事業者については、厳正に処分 すること。

3.労働条件改善、労基法違反の一掃に向けた政策要求
1.改正タクシー特措法成立時の国会附帯決議の通り、固定給と歩合給のバランスの  取れた賃金体系の再構築、累進歩合制度の廃止、運転者負担の見直し、過度な遠距離  割引運賃の是正等、賃金制度を改善するよう、全事業者を強力に指導すること。
2.他産業と比較して長時間労働にあるタクシー労働者の働き方について見直しを指導 し、長時間労働の是正や休日の増加がはかられるよう働きかけを強めること。
また、長時間労働是正の観点から「改善基準告示」を見直すこと。
3.労働行政は、労働基準法・最低賃金法や改善基準告示の違反をタクシー職場から確 実に一掃するために尽力すること。

4.初乗り距離短縮運賃、事前確定運賃、相乗りタクシー、定期券タクシー、変動 迎車料金等の検証と労働組合との協議機関の設置
1.初乗り距離短縮運賃、事前確定運賃、相乗りタクシー、定期券タクシー、変動迎車 料金、が実証実験を経て導入されようとしていますが、その新たな運賃制度の導入が 運送収入を低下させ、また、労働者にリスクを負わせることのないよう、しっかりと 検証し、運送収入の低下や労働者負担の増加が懸念される場合は導入しないこと。
2.新たな運賃制度の導入に当たっては、実証実験段階から労働組合との協議機関を設 置し、労働者の声が反映される取り組みとするとともに、検証作業においても労働組 合を参加させること。


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