全国自動車交通労働組合連合会はハイタク産業に従事する労働者で構成する労働組合の連合体です。本ホームページは、どなたでも自由に全てご覧いただけます。


ホーム > ニュース > 2024年2月22日掲載



「危険なライドシェアを許さず 安全な公共交通を守る請願」


ハイタクフォーラムより、タクシー政策議連へと署名を託しました(衆議院第一議員会館)

ハイタクフォーラム(全自交労連、交通労連ハイタク部会、私鉄総連ハイタク協議会)は、2月8日に「危険なライドシェアを許さず 安全な公共交通を守る請願」署名の提出行動を実施しました。ライドシェア新法の危機を前に、過去最多となる22万917筆の署名(全自交11万8611筆、交通労連5万5574筆、私鉄総連4万6732筆)が全国から寄せられ、タクシー政策議員連盟に所属する国会議員を通じて衆参両議会へ提出されます。41人の国会議員が駆け付けて全員が発言し、ライドシェア新法阻止の意思を共有しました。
溝上泰央代表幹事は「ライドシェアという雇用によらない働き方は労働者全体に影響すると訴え、これだけの署名を頂いた。しっかり国会に届け、デタラメな政治をぶっ壊してほしい」とあいさつ。議連の辻元清美会長は「この迫力ある署名は、私たちの国会での闘いの後押しとなる。日本の社会を守る闘いです」と語り、様々な場でライドシェア問題を追及するよう議連のメンバーに呼び掛けました。
最後に交通労連の小川敬二部会長は「過去に労働者派遣法が改悪され、労働者が使い捨てにされた。それが今の少子化につながっている。ライドシェアも労働問題です。22万以上の署名は現場の労働者の悲痛な声、皆さんに助けを求める声です」と述べ、議員からは「そうだ」と応じる声が相次ぎました。


労働条件改善で仲間を増やす 運賃改定を賃上げに

全自交労連は1月23日、東京の全日通霞が関ビルで第102回中央委員会を開き、2024春闘方針を全会一致で承認しました。
溝上泰央中央執行委員長は、「今年は間違いなくライドシェア導入勢力との決戦の年となる」と語り、〝ライドシェア新法〞を目指す勢力に対し「労働組合としてそんな暴挙を断じて許すことはできない」と宣言しました。
午後には、国土交通省物流自動車局旅客課の武藤淳一タクシー事業活性化調整官、高畑賢太係長が講演。参加者からはライドシェアをめぐる質問と要望が相次ぎました。

野尻雅人書記長が春闘方針を提案。ハイタクでは、運賃改定による賃金増額分を確実に賃金に反映させた上で、さらに月額1万円の賃上げを要求し、一気に他産業との賃金格差の解消を求めます。賃金・労働条件の改善と働きやすい職場環境の実現によって、働く仲間を増やし、「タクシーが足りない」という声を解消なくてはなりません。今春闘にはライドシェア阻止とハイタク業界の存亡がかかっているのです。
中央委員定数55人中、出席35人委任20人、役員38人中、出席35人委任3人で中央委員会の成立が確認されました。
傍聴45人を含め約120人が参加しています。議長には東京地連の鈴木剛生中央委員が選出され、円滑に議事を進行。書記は東京地連の矢野裕明中央委員が務めました。春闘アピールを愛知地連の上田学さんが提起し、満場の拍手で承認されました。


溝上委員長「ライドシェア決戦の年」


被災地を支援

中央委員会の冒頭、溝上泰央中央執行委員長は次のようにあいさつしました。

令和六年能登半島地震でお亡くなりになられた方には、心よりお悔やみを申し上げるとともに、被災された皆様には心よりお見舞いを申し上げたいと思います。1月3日の夜遅くなって石川ハイタクの仲間すべての安否確認が取れたとのご報告をいただき、安堵したところでありますが、北陸三県と新潟の仲間はいまだ避難所生活を余儀なくされている方もいらっしゃると報告を受けていますので、これにはやはり一日も早い復旧復興のために全自交労連としてもできる限りの応援をしていく所存であります。
さらに1月2日の日に航空機の大きな事故の一報も入ってきました。JALのスタッフの的確な対応が被害を最小限に抑えた要因であることは間違いありません。我々も同じ公共交通に従事するものとして、普段からの備え、これを見習いたいと思います。


敵は誰だ!

何とも腹立たしいことは、たった2ヶ月3回の議論で、タクシー事業者が運行管理を行う自家用有償運送の方針を固められてしまったことです。報道では「ライドシェア一部解禁」など間違った情報も飛び交っているところでありますが、なし崩しに導入されることのないように、昨年末に全タク連は、地域ごとにタクシー事業者による運行管理を行った上での対策を実施するよう、全国の事業者に通達したと聞いています。
そして、いち早く東京のタクシー協会が1月10日に東京特別区・武三地区での対応を発表しました。各地連本の皆様におかれましても、自分たちの地域に即した供給不足の解決方法を、事業者としっかり取り組んでいただくことをお願いします。
今年は間違いなくこのライドシェア導入勢力との決戦の年となると思います。
小泉進次郎議員などは、タクシー事業者が行う日本版ライドシェアに対して「別個に考えてほしい」などと、ライドシェア導入ありきの姿勢を崩していません。〝ライドシェア新法〞なるものをつくる、労働組合としてそんな暴挙を断じて許すことはできません。
我々は長引くコロナ禍においても政府の稼働要請に応え、患者の輸送にまで携わってきましたし、ここ数年はそんな業界の苦労に国土交通省の皆さんも寄り添っていただき、全国的な運賃改定を行うこともできました。
敵は事業者でも国土交通省でもなく、業界の努力や取り組みを全く分かっておらず、自分たちの金儲けだけを企み海外のライドシェアに多額の投資をしてきた連中と、それに迎合する政府であります。
そんな厳しい年となりますが、我々は2002年の規制緩和も直近のコロナも団結で乗り越えてきました。全自交労連本部としても皆様の英知を結集しながらしっかりとこの難題を乗り越えていく所存であることをお約束します。
ライドシェアにはできない公共交通に従事する者として、使命と矜持を持って共に頑張りましょう。



2024春闘アピール

アピール案を読み上げた
愛知地連の上田学さん
本日、我々は第102回中央委員会を開き、賃金・労働条件の改善で仲間を増やしライドシェア合法化を阻止するための春闘方針を決定した。
ライドシェア合法化の危機が迫り、我々はいま歴史的な危機にさらされている。これはコロナ禍でエッセンシャルワーカーとしての社会的責務を果たしてきたハイタク・自教労働者に対する裏切り行為にほかならず、断じて認めることはできない。
雇用によらず運行管理も車両管理もされない危険なライドシェアを認めることは、地域公共交通を破壊し、我々の生活をどん底に叩き落すだけでなく、利用者の生命・財産を危険にさらし、この国で働く労働者全ての待遇悪化へとつながる愚策である。
「タクシーが不足している」と言うならば、その解決策は、魅力的な賃金・労働条件と働きやすい職場環境を早急に実現し、ハイタク乗務員を増やすこと以外にない。
我々は2024春闘で飛躍的な賃金・労働条件の向上を求める。運賃改定の増収分を確実に賃金に反映させ、さらに1万円以上の賃上げを実現し、全国各地で他産業との賃金格差を解消しなくてはならない。そして、長時間労働を是正し若者や女性にとっても働きやすい職場を実現すること、二度と大量離職の悲劇を繰り返さないためにも安定した固定給主体の賃金体系を実現すること、これらの課題に労使で取り組むことこそが、ハイタク産業を将来に残すための条件だ。
同時に、供給不足の解消や、利用者の利便向上は、労使で取り組むべき重要な課題である。地域公共交通を自らの手で守り抜く覚悟を胸に、我々は困難を乗り越えながら前進をつづけなくてはならない。
また、ほとんど議論すらなく強引にライドシェア導入を進め、国民の安全をないがしろにし、二種免許を持つプロドライバーの尊厳を踏みにじった現在の政治体制を許すことはできない。大きな怒りをもって、一刻も早く政権交代を目指すことが必要だ。
2024春闘では、我々自身の手で地域公共交通を守り、利用者を守り、自らの家族と生活を守るため、全ての職場が賃上げとライドシェア合法化阻止を求めて立ち上がる。我々は、全自交の旗の下で団結を強化し、闘い抜くことをここに宣言する。

2024年1月23日
全自交労連第102回中央委員会


指揮命令があれば「雇用契約」
国交省旅客課 武藤調整官が講演

中央委員会では、国土交通省自動車局旅客課の武藤淳一タクシー事業活性化調整官、高畑賢太係長の講演を聞きました。
武藤調整官は、ライドシェア問題について、昨年12月20日にデジタル行財政改革会議で示された政府の方針を説明。
タクシーが不足する地域・時間帯・時期を配車アプリなどのデータから確定し、そこでタクシー会社が管理する形で一種免許のドライバーと自家用車を使った有償輸送を可能とする新たな仕組み(道路運送法78条3号に基づく通達改正)や、交通空白地有償運送(道路運送法78条2号)の規制緩和について説明しました。
ライドシェア推進派は、この仕組みで、雇用契約に限らず、ドライバーを個人事業主あつかいで働かせられるよう求めていますが、武藤調整官は「過去の判例などを見ても指揮命令系統や、管理の事実があれば、業務委託で契約していても『雇用契約である』と判断されている」と指摘。新たな仕組みで働くドライバーに関しても「結果的には『雇用契約である』ということになると考えている」と述べました。
全自交の仲間からは多くの質問・意見が飛びました。
運賃改定時の賃下げの実情を説明し是正を求める声、迎車料金の値上げを認めてほしいという意見、乗合タクシーへの公費補助を求める声が上がっています。
そしてライドシェアに関し、最優先すべきはタクシー乗務員の賃金向上であって、定期的な運賃改定に協力してほしいという意見▽「タクシー不足」は一部地域のみの印象論に過ぎないとの批判▽ライドシェア推進派は供給不足が解消してもライドシェア新法を目指すという指摘▽タクシー会社の管理する『ライドシェア』の赤字を、正規のタクシー乗務員の売上で支えることにもなりかねないとの懸念などが相次ぎました。
旅客課でタクシー班長を務める武藤調整官


石川ハイタク連合会 市野委員長
「復興へ 希望をもちたい」

震災の影響が特に大きかった石川ハイタク連合会から、市野晃司委員長(石川交通労組委員長)と、岩田昭彦副委員長(石川近鉄タクシー労組委員長)が中央委員会に参加し、市野委員長が被害を報告し、支援への感謝を述べました。
市野委員長は「金沢で務めている人には能登地方から通っている人もおり、元旦で能登に帰省している人も多かった。組合員全員の安否は確認できたが、石川交通の七尾営業所では家族を亡くされた方もいる。自宅の倒壊や断水・停電により避難するしかない状況もあるが、少しづつライフラインが復旧し、昨日(1月22日)、組合員から『水道が通った』という報告も受けた。復興に向けて希望をもっていきたい」と述べました。
石川ハイタク連合会では1月10日に石川交通七尾営業所まで支援物資を輸送。1月25日にも物資輸送を行いました。
石川交通七尾営業所は1月4日から営業を再開し、出勤可能な5、6人の乗務員で朝7時から夜7時までの営業を行ってきましたが、電車の再開を受け1月22日より、朝5時半から夜10時までの営業が可能となり、ほぼ全乗務員が勤務する状態に戻っています。
中央委員会で発言する、石川ハイタク連合会の
市野晃司委員長

全国の支援に感謝

市野委員長は「全国の皆さまから義援金をいただき、全自交の、組合のありがたさが身に沁みました。ありがとうございます」と感謝しました。
全自交労連では、まず1月9日に本部より10万円、昨年7月の豪雨災害を経験した秋田地連より18万3158円が石川ハイタクに送られ、全国からのカンパの第一次集約分として1月23日に100万円が石川ハイタクに振り込まれました。さらにカンパの二次集約分として約257万円が中部地連を通じ、被災地連本に分配される予定です。
また中部地連では独自に石川へ50万円、富山、新潟に5万円のカンパを送るなど、本部経由以外の支援も多く行われています。


能登地震 組合員の被害


石川県七尾市内の被害状況。塀や建物の倒壊が
あちこちで発生し、神社の鳥居や灯篭も倒壊。マ
ンホールの隆起が地震の激しさを物語っています。
【人的被害】
石川ハイタク組合員1名が割れたガラスで手を負傷。

【自宅被害】
石川ハイタクで組合員の自宅51件が被害を受けました。
全壊2件、一部損壊22件、詳細は不明ながら居住できない状態が5件、詳細は不明ながら居住できる状態が22件です。
さらに新潟地連でも液状化現象により、新潟市内在住組合員の自宅が居住不可能となり、富山地連でも自宅の塀や墓石、灯篭の倒壊、瓦の損壊などの被害多数が生じました。
休会中の福井地連でも組合員の自宅1件の損壊が生じたとのことです。



全自交労連が中央委員会で示した見解

海外の一部で行われているようなライドシェア=安全管理がなされず、雇用によらないドライバーが不安定な待遇で働く輸送手段について、我々は一貫して日本には必要ないと訴えてきた。日本のタクシー乗務員は二種免許という国家資格をもって、誇りを胸に利用者の安全な輸送に務めてきたのであり、交通弱者の移動する権利を守り、コロナ禍でもエッセンシャルワーカーとしての使命を果たしてきた。ライドシェアなど不要だとの思いは今でも全く変わらない。
しかし政府のデジタル行財政改革会議はたった2 カ月の議論で、2023年12 月に「現状のタクシー事業では不足している移動の足を、地域の自家用車や一般ドライバーを活かしたライドシェアにより補うこととし、すみやかにタクシー事業者の運行管理の下での新たな仕組みを創設する」との方針を決定した。さらに「タクシー事業者以外の者がライドシェア事業を行うことを位置付ける法律制度について、2024 年6月に向けて議論を進めていく」としている。
利用者の安全や地域公共交通の存続に関わる重大な問題について、ほとんど議論がないまま、政府がこのような決定を下したことに、我々は怒りを持って強く抗議する。利用者の安全を守るため、有償で旅客を運ぶドライバーには二種免許が必要であるとの全自交労連の方針は一切変わっていない。
一方で、政府方針の背景には一部の利用者からの厳しい声があった事実を無視することはできない。
タクシー業界は政府の方針を受け、全国各地の地域事情に合わせた供給不足対策について検討を始めた。東京ハイヤー・タクシー協会では、道路運送法78 条3 号に基づき「日本型ライドシェア」を4 月に開始することを発表し、併せてタクシー乗務員の勤務シフト変更や乗り場の改善を行って供給不足対策に取り組む方針を示した。
様々な懸念はあるが、我々は、まず全国で移動困難者の解消に取り組まなくてはならない。全国でハイヤー・タクシー産業の労使が、果たすべき使命を真剣に議論し即座に実行する時が来ていることを理解しなければ、ハイタク産業は持続不可能となり崩壊することとなりかねない。そうなれば、誰が移動困難者を救うのか。
本来あるべき、持続可能で安全・安心な地域公共交通を取り戻すため、我々は様々な思いや困難を乗り越え、前進を続けなくてはならない。


2024春闘標語

【公募選考作品】

安全輸送はプロの仕事!ライドシェア導入断固阻止!
●東京地連・帝都自動車交通労働組合(団体応募)

勝ち取ろう!時代に合った生活向上!
●赤間浩昭さん 東京地連・大和自動車交通労働組合

交渉を続ける力で労働者の理想を勝ち取れ!
●向澤慶介さん 東京地連

日交労立ち向かえ雇用と生活 希望のために
●渥見信二さん 東京地連

日交労中小の底上げしてこそ、真の春闘
●四童子徹さん 東京地連

日交労RSには屈しない 守るぞ!我らの生活を
●酒巻仁子さん 東京地連

日交労労働条件の向上無くしてハイタク業界の未来無し
●本間彬彦さん 東京地連日交労

【本部選定標語】
エッセンシャルワーカーの地位確立 タクシーを地域交通の主役に大軍拡・大増税に大反対 ストップ改憲・原発・基地・格差万博より被災地の復興! 政治を変えて暮らしを守ろう

※3地連本6単組の35名+1団体より87作品の応募がありました。応募数は昨年の倍以上に増加しています。本部として7作品を選考し、受賞者には3000円分のクオカードを贈呈しました。


運改後の賃下げ許すな! 未払い賃金求め会社提訴

全自交東京地連の飛鳥交通ファミリー労組(林徹執行委員長)に所属する全組合員45人は1月22日、東京地裁に対し、未払い賃金の請求訴訟を起こし、所属する飛鳥交通第六株式会社を訴えました。
東京共同法律事務所の弁護士4人が訴訟代理人を務め、第1回口頭弁論は3月22日に予定されています。
東京特別区・武三地区では2022年11月14日に運賃改定が行われましたが、同社は運賃改定に合わせて賃金規程の不利益変更を行おうとし、労組が求めた説明にも誠実な回答を行わず、労組が合意していないまま、2023年7月に賃金の不利益変更を強行しました。
不利益変更の内容は、歩合給を計算する時に、売上金額を4・15%減らして計算するというものです。賃金規程上の歩合率は変わっていませんが、売上額そのものを実際より減らされるので賃金支給額は大きく下がり、組合員の中には月額7万円近く賃金の下がった人もいます。
団体交渉でも不誠実な回答が続いたため、組合は2023年6月2日、東京労働委員会に不誠実団交であるとして不当労働行為の救済を申し立てましたが、会社は7月から賃下げを強行。そのため、組合員45人は7〜12月分の賃金から不当に減額された合計566万9992円の支払いを求め今回、会社を訴えました。
東京地連では、飛鳥交通ファミリー労組の闘いを全面的に支援する方針を固めています。地連の久我恒夫書記次長は、訴訟の意義について「まず第一に不当に賃金を引き下げる行為は断じて認められない。そして、全国の9割以上の地域で運賃改定が行われているなか、このような不当な賃下げを認めれば、それが全国に波及してしまう。全国の仲間のためにも重要な闘いになる」と語っています。

国も認めぬ賃下げ

運賃改定の最大の目的は乗務員の賃金向上です。運賃改定をするたびに労働分配率を改悪していては、ハイタク乗務員の待遇改善は永遠に果たすことができず、乗務員不足も解消しません。そしてライドシェアを阻止することもできなくなります。
今回のケースで、会社は賃下げの理由として「運賃改定による増収分を適正に分配する」と主張し、「国が示した割合に基づき分配率を計算した」との主旨の説明をしました。
しかし、これは全くの誤りです。国は、東京特別区で運賃を14%値上げする際の根拠として労働環境改善分8%という説明をしましたが、これは労使の分配率を定めたものではありません。そのことは全自交本部と東京地連が2022年12月に関東運輸局を訪問し確認をしています。
逆に国土交通省は2019年に「運賃改定実施後において、各事業者は、適切に運転者の労働条件の改善措置を講ずること」を求める通達を出しています。さらに関東運輸局の内田忠宏自動車交通部長は2023年11月に記者会見で「改定分を労働条件改善の原資にしてもらいタクシー乗務員不足の解消につなげるのが一番の目的だ」と発言。さらに小泉伸介旅客二課長は「行政からは『営業収入に対する賃金支給率の割合を維持して』と話している」と説明しています。


課題は「分かりやすく世論に伝える」


交通の安全と労働を考える市民会議は1月16日に、横浜市の県立かながわ労働プラザで「ライドシェア解禁の問題を考える」を開催しました。立憲民主党神奈川県連の議員多数や、全自交神奈川地連の仲間をはじめとした神奈川のハイタク労働者ら約120人が参加しました。
多くの専門家が様々な側面から、ライドシェアの問題点を追及。桜美林大学の戸崎肇教授は「これまで築き上げてきたタクシーの制度を一瞬で無駄にして、新しい制度(ライドシェア)に賭けるという行為が如何にリスクがあるか。しかし、世の中は全てをビジネスで判断する風潮に溢れている。これから大事なことは専門用語を使わず、いかに世論に分かりやすく問題を伝えられるかだ」と述べました。
同時に、利用者の立場で参加した主婦連合会の河村真紀子会長からは「議論もないまま決められることは非常に問題。
利用者団体として、安全性、プライバシー、価格の不透明さ、労働者の権利、あらゆる角度から見て今のライドシェア解禁には反対します。タクシーは命を乗せる乗り物」と非常に心強いエールをいただきました。ライドシェア新法を阻止するためには、利用者・世論への働きかけがさらに重要な局面となっています。
ITFの浦田誠政策部長は海外の事例を基に「ライドシェアのウソ・ホント」を講演。ライドシェア企業がどれだけの資金を使って各国で政治に働きかけてきたかなどを示しました。
ウーバーイーツやアマゾンで働く〝個人事業主〞の労働問題に携わってきた菅俊治弁護士は「はじめは赤字覚悟で、5年経ったら牙を剥く」「労働条件はブラックボックス」「究極の細切れ労働」「団体交渉は無視。質問に答えるのは機械」と雇用されない働き方の問題を糾弾。共に日本労働弁護団で活躍する嶋﨑量弁護士は「既成事実を作られたら終わりだ」と強く警鐘を鳴らしました。
神奈川県タクシー協会の三上弘良専務理事も参加し、三浦市を対象に開始されようとしている神奈川版ライドシェアについて内容を報告しました。


RS「共存はありえない」

あいさつする櫻井委員長。
「ライドシェアは外来種の魚が在来種の
魚を全滅させてしまうブラックバスみたいなもの。
排除するしかない」と猛批判
全自交関西地方連合会(櫻井邦広委員長)と全自交兵庫地方連合会(北坂隆生委員長)は、1月15日に、神戸市中央区の神戸ホテルジュラクで、合同で2024新春旗開きを開催し、ライドシェア絶対阻止と労働条件改善の闘いへの決意と団結を誓いあいました。旗開きには、全自交大阪・京都・兵庫の各地連と全自交関西ユニオンの役員等19名、来賓として全自交労連・溝上泰央中央執行委員長ら35名が出席しました。
櫻井委員長は「ライドシェアは我々だけの問題ではない。ライドシェアは一つの産業構造をつぶし、非正規雇用、ギグ労働に頼り、交通だけではなく、日本の経済構造をも破壊してしまう恐ろしいシステムである。我々は労働組合である。いかなる場合でも、どんな産業でも非正規雇用、ギグ労働を容認することはできない」と述べ「共存はありえない。排除するしかない。我々はライドシェアに対して絶対拒否の姿勢で闘っていく」と述べました。



組合員に語りかける森委員長。
「春闘で交渉するからこそ、毎年賃金を見直す
ことができる」と交渉の大切さを説きました。
全自交岩手地本は1月28日、盛岡市で第59回中央委員会と団結旗開きを開催しました。森茂委員長は中央委員会の冒頭「ライドシェア問題と春闘は別だ」とし、まず春闘で賃上げを勝ち取ることの重要性を強調。さらに能登地震に対し「3・11の悲惨さが思い起こされる。仲間が同じ辛い思いをしている」と語り、カンパへの協力に感謝しました。
中央委員会では、東北地連の高橋学委員長と全自交本部の津田光太郎書記次長が講師となり、格差是正を最重要課題とする2024春闘の闘いやライドシェア問題の情勢について講演しました。
旗開きには、連合岩手の伊藤裕一会長をはじめ、約20人の来賓が参加。連帯の強さを示しました。




全国自動車交通労働組合連合会
〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-7-9
TEL:03-3408-0875 / FAX:03-3497-0107
E-MAIL:zenjiko-roren@zenjiko.or.jp
Copyright(c) Zenjiko-roren.National Federations of Automobile Transport workers Unions.ALL RIGHTS RESERVED.