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ホーム > ニュース > 2023年5月22日掲載



火花散る 国会論戦

参議院国土交通委員会で質問に立つ
立憲民主党の森屋隆参議院議員。
維新の会の議員(右端)はライドシェア解禁を求めた。
ライドシェア推進派が再び活発化しています。国会でも「ライドシェアを認めろ」という声が上がる中、立憲民主党の議員は厳しくライドシェアの問題点を指摘。国土交通省から「特区でも、ライドシェアは認めない」との答弁を引き出しました。ライドシェアが合法化されれば、日本の公共交通の安全と雇用は完全に破壊されます。今こそ、ライドシェア阻止の運動を貫徹しなくてはなりません。
3月には、橋下徹氏が著書でライドシェア合法化を強く主張。それ以降、衆参両院の国会審議で、日本維新の会がライドシェア合法化を迫る場面が再三、見られるようになりました。
この動きに対し、立憲民主党の森屋隆参議院議員(私鉄総連組織内、タク議連事務局長)は、4月20日、参院の国土交通委員会で質問に立ち、「改めて大臣の口から「ライドシェアは認めない」という言葉をいただきたい」と求め、斉藤鉄夫国交大臣から「今までと考え方はまったく変わらない」、「ライドシェアは安全の確保、利用者の保護等の観点から問題がある」と答弁を受けました。森屋議員はさらに「今は、色んなことを特区の実証実験としてやるケースが多く危惧している。特区でも認めることはないか」と質問し、堀内丈太郎自動車局長から「特区としても認めることはない」との答弁を引き出しています。大阪万博を控え、維新の会の動きに最大限の警戒が必要な中、この答弁は重い意味を持ちます。
また4月26日には立憲民主党・小宮山泰子衆議院議員(タク議連幹事長)も衆院の国交委員会でライドシェア阻止の質疑を行いました。


辻元さんが帰ってきた

議員連盟の新会長として、あいさつする
辻元清美参議院議員
4月28日、立憲民主党・国民民主党の国会議員を主体とした「タクシー政策議員連盟」の総会が開催され、新会長に立憲民主党の辻元清美参議院議員が就任し、近藤昭一会長が顧問となる役員変更が承認されました。辻元氏は衆議院議員時代にも議連会長を務めており、参議院議員として、国会に戻り再びハイタク労働者のために重責を担っていただきます。
総会の冒頭、近藤会長は「大阪、関西を中心にライドシェアの問題等々が大きく前面に出てきている中で、また辻元さんに会長を引き受けていただきたい」とあいさつ。
辻元新会長は「しっかりがんばっていきたい」とし、ライドシェア阻止の姿勢を強調。また「タクシー業界に女性が参入していけるかどうかが、すごく大きなポイント。女性の立場からも業界の発展に努め、働く人たちの労働条件の改善に務めてまいりたい」とあいさつしました。


「我々こそ持続可能な交通だ」

議員の質問に答える溝上委員長
4月28日のタクシー政策議連総会には、国会議員46人と秘書43人が参加。交運労協の住野敏彦議長やハイタクフォラームの溝上泰央代表幹事(全自交労連委員長)、全タク連の神谷俊広理事長ら業界労使と意見交換しました。特にライドシェアについては、「海外でライドシェアに乗った時は(変動運賃のせいで)値段が上がるまで配車を取らずに待っている車両が多く非常に問題だった」(海江田万里議員)、「ライドシェアになったらすぐ呼べると、利用者は捉えるかもしれませんが、十分にタクシーの配車アプリでカバーできるはず」(岡本あきこ議員)、「(タクシーの配車だとしても)ウーバーアプリがアリの一穴にならないか。業界で結束してほしい」(逢坂誠二議員)など多くの発言がありました。
溝上委員長は「われわれは安全・安心をきちっと担保し、持続可能な交通手段としてがんばっていきます」と力強く応じました。


地域公共交通・法改正タクシー安売りに懸念

国会で地域公共交通活性化再生法の改正法が成立しました。タクシー運賃に関し、地域の協議会で合意すれば、認可運賃より安く設定できる協議運賃制度が導入されます。
4月20日、参議院の国土交通委員会では同法案の審議が行われ、立憲民主党・森屋隆議員が「認可運賃よりもはるかに安い運賃が可能になってしまうのではないか」と質問。国交省は「協議には国も参加して、過当競争を誘発するような(=安すぎる)運賃にならないよう対応していく」と答弁しました。
森屋議員はさらに、下限割れ運賃の問題について「ルールがあるのに、無視して良いなら意味がない。貸切バスでも同じことが起きた。決まった幅の中で競争するルールを守れるよう適切な対応を」と求めています。
同委員会では、立憲民主党・鬼木誠議員も発言。「公共交通が衰退すれば、地域経済の衰退や、医療費の増大、地価の下落といった多くのデメリットがある」と指摘し、公共交通の維持には掛けた費用以上の効果があること(クロスセクター効果)を強調。国の支援の拡大を求め、単年度や一つの路線に限定せず、長期的に事業全体の収支バランスを改善できるような支援の仕組みを求めています。
また、自治体職員に交通政策の専門人材がほとんどいない問題を指摘し、国交省に人材育成を求めました。
コロナ対策を求めた東北地方運輸行政懇談会


「公共交通の権利守れ」

タクシー政策議連幹事長の小宮山泰子衆議院議員は、4月26日の衆院国土交通委員会で発言。「新しい資本主義実現会議」でライドシェアの推進意見が出たことについて「なし崩しで政策に位置づけられることのないように」と釘をさし、「きちんと公共交通の権利が守られるように」と求めました。
小宮山議員


活発化するライドシェア推進派

◆ 維新議員が国会でライドシェア解禁要求 国交省答弁で交通事故死、暴行死、性犯罪の多さが明らかに

日本維新の会の、一谷勇一郎衆議院議員は3月14日の衆議院本会議、3月22日の衆議院国土交通委員会の質疑で、繰り返しライドシェアの解禁を要求。特に国交委員会では高齢タクシードライバーによる事故を強調し、「ライドシェアは危険というが、タクシーの事故や犯罪と比べてどの程度多いのか。データがあるのか」と質問した。
国土交通省の堀内丈太郎自動車局長は「日本にライドシェアはないので、アメリカの主要ライドシェア企業との比較をさせていただきます」とし「輸送回数は日本のタクシー約5.6億回、米国の主要ライドシェア企業が約6.5億回とおおむね似た数字になっていますが、例えば令和2年(2020年)における交通事故死者数は、日本のタクシーで16人、米国主要ライドシェア企業では42人。身体的暴行による死者数は、日本のタクシーはゼロ、米国主要ライドシェア企業は11名。性的暴行件数は日本のタクシーでは19件、米国ライドシェア企業では998件となっている」と答弁。企業名は明示しなかったが、事故や犯罪の件数はアメリカでウーバー自身が公表したセーフティレポートに記載されたものだ。
一谷議員はこの答弁を受けた後も「タクシードライバーの最賃割れが問題になっていると聞いた。タクシー会社の負担も大きいだろう」、「思い切った改革が必要」などと発言。仮にライドシェアが解禁され、ドライバーが個人事業主扱いとなれば、最低賃金は適用されない。安く働かせることが目的なのか。
また参議院の国土交通委員会でも、維新の石井苗子参議院議員が「ライドシェアについて、もしも安全が確保できれば、将来はライドシェアの導入を検討していただけるのか」と質問し、しつこくライドシェア解禁にこだわった。

◆橋下徹がソフトバンク系列出版社から著書出版

日本維新の会元代表の橋下徹氏がSB新書から「日本再起動」と名付けた著書を3月15日付で出版。「日本の経済成長を阻む既得権益の典型」としてタクシー会社とドライバーを槍玉にあげ、ライドシェアさえ導入すれば経済が成長するという主張を展開。海外でライドシェアをめぐる訴訟が相次ぎ、見直しが進んでいる事実を無視し「先進国で導入していないのは日本だけ」、「相互に評価するので悪いドライバーも乗客も淘汰される」など、数年前から全くアップデートされていない古い情報で、都合の良い部分だけを強調する稚拙な内容だ。

◆「新しい資本主義実現会議」でソフトバンク子会社が意見書

岸田首相の肝いりで設置された「新しい資本主義実現会議」の第15回会合が3月29日に開かれ、川邊健太郎委員(Zホールディングス会長)が、「郊外・過疎地域における自動運転の導入が話題であるが、一般道での完全自動運転の実現はかなり先のことであり、現実的ではない。それよりも、ライドシェアサービスの拡充に努めるべき。一部の業界のためだけに、都市部も含めて数千万人が文字通り足止めを食っている現状は、完全に移動後進国。既存の事業者に対しては政治が補償し、圧倒的大多数の国民に、ライドシェアのメリットを提供すべき」との意見書を提出。Zホールディングスはソフトバンクの子会社で、ヤフーやライン、ペイペイ、アスクルなどを傘下に抱えている会社だ。現状は一委員の意見に止まっているが、全自交労連は今後に備え、連合に海外のライドシェアの状況や問題点に関する資料を提供。連合の芳野友子会長も同会議で委員を務めている。


立憲は全国で5議席増


写真左から、選挙活動中の山名氏
▽全自交労連の溝上泰央中央執行委員長(左)が激励
▽当選後、全自交青森地連の後藤勝執行委員長(右)とだるまに目を入れる

全国の全自交の仲間の皆さま、統一地方選挙への取り組み大変お疲れさまでした。
八戸市議会議員選挙では、全自交青森地連・三八五交通労組出身の山名文世氏(立憲民主党)が全国唯一の全自交組織内議員として奮闘。1859票を集め、見事に6期目の当選を果たしました。
また、全自交が支援する立憲民主党は、国政選挙の補選では大分での吉田忠智氏の惜敗など課題を残しましたが、自治体議員選挙では、改選前の768議席を773議席に、5議席増やす結果となりました。


山名氏からのメッセージ

6期目の当選は単に私個人ではなく、心をひとつにして闘って下さった皆様お一人お一人の栄誉であり力です。心より感謝申し上げます。
選対委員長をはじめ幹事長や事務所で頑張って下さった皆さん、疲れをものともせず声を出し続けてくれたウグイスの皆さん、陰に徹して下さったスタッフー人一人の奮闘に、感謝の気持ちでいっぱいです。そして、これまで活動してきた実績を、市民の皆様が評価し、期待をしていただいている証しであると自負しております。
議員は名誉でもなく飾りでもありません。
私は、市民のみなさんと市政の「架け橋」です。困りごとがあれば、1人で悩まずにご相談ください。地道に動き、ダッシュして、「山名議員は他の議員と違うな」と言われるように頑張って行きたいと思っています。
これからも、5期20年の経験と実績を生かし、汗して働く人々や弱者の声を議会に届け、市政進展のため自治体議員の責務を果たしていく所存です。変わらぬご支援と、ご協力を賜りますよう願い申し上げ、御礼の言葉とさせていただきます。



大阪・日本城タクシーの坂本篤紀社長が「維新断罪」という著書を刊行しました。坂本社長はテレビで橋下徹と激論するなど活躍。昨年4月には「交通の安全と労働を考える市民会議」にも登壇いただきました。
ライドシェア、万博、カジノに共通する「お友達利権」の構造などがとても明快に書かれています。1︐200円(税別)で、せせらぎ出版より。ネットからも注文できます。
コロナ対策を求めた東北地方運輸行政懇談会


あらたな戦前にさせない!守ろう平和と命と暮らし

全自交の旗を掲げる野尻雅人書記次長。
ほか本田有書記次長、津田光太郎書記次長
が参加しました
5月3日の憲法記念日に、東京・有明防災公園で「2023憲法大集会」が開催され、市民や労働者2万5000人が集結しました。
今国会でも、敵基地攻撃能力の獲得や防衛予算倍増の議論と同時に改憲の議論が進んでいます。
タモリさんの言葉「新たな戦前」が近づく中、いまの憲法を生かし、一人一人の命と暮らしと人権、そして平和を大切にする政治を求めました。


あらたな戦前にさせない!守ろう平和と命と暮らし


4年ぶりに参加制限のない中央メーデー。全自交の仲間は約250人が参加しました

首相や都知事が来たために厳重な警戒。
演壇の周囲はSPと報道陣だけで、
労働者は近寄ることができませんでした
連合は4月29日、東京の代々木公園で第94回メーデー中央大会を開催しました。2万8500人が参加。全自交の仲間は溝上泰央中央執行委員長をはじめ約250人が参加しました。
連合の芳野友子会長は、2023春闘で30年ぶりの高水準での賃金改善が行われたことに触れ、「世の中全体で「給料があがった」、「生活が楽になった」と感じるためには、労働者の7割が働く中小企業で賃上げが行われなければならない。現在も交渉中の組合の皆さんには、最後の最後まで賃上げにこだわった交渉をお願いする」と述べました。岸田文雄首相、加藤勝信厚生労働相、小池百合子都知事らが来賓参加しました。

23春闘妥結状況第2弾


「業界を守るために組合へ」

全自交石川ハイタク連合会(畠下幹男執行委員長)は、4月13日に石川県全域をまわる恒例の組織拡大行動に取り組みました。市野晃司書記長から寄せられた報告をご紹介します。
また5月5日に石川県能登地方で発生した最大震度6強の地震の影響について、5月8日時点では全自交の組合員・家族の身体や建物への被害は確認されていません。

◆ 感染拡大防止策を講じながら能登地区の和倉温泉駅からスタートし、七尾駅・羽咋駅・宇野気駅、金沢地区では津幡駅・森本駅・金沢駅東口・西口の両タクシー乗り場、加賀地区では小松空港・小松駅・加賀温泉駅を順次めぐり、全自交労連のチラシを配布しながら、職場での賃金・労働条件などに対する理不尽な話や悩み事等を聞き労働組合の必要性を訴え、労働組合の作り方や全自交への加盟を勧めながら現場の声を聞いてきました。
そして「ライドシェア」導入によって起こりうる危険性を改めて説明し、業界を守る為の取り組みの必要性を訴え、コロナ禍前から現在に至るまでの働き方の変化や会社側の対応について聞いてきました。
駅で待機するタクシー労働者に話しかける
畠下委員長。働き手不足を背景に、
待機車両が1台もない駅も多くありました

能登地区では、昨年では見られなかった光景ですが待機している車両が見受けられない待機場がいくつかありました。それぞれ10分ほど待ってみましたが待機するために戻ってくる車両が無く、これは新型コロナウイルスの感染者数が減少したためにタクシーの動きが活発になってきたのか、乗務員が不足しているため動いているように見えるのかは不明ですが、この3年間のコロナ禍とはまた違った状況になっているのではないかと思われます。
ほぼすべての方にチラシを配布しましたが、受け取りを拒否する乗務員の方は見受けられず、車内でチラシを読んでいる方ばかりだったと思います。写真は顔が映らない様に気を付けながら撮ってはいたのですが、中には「人にカメラを向けるな」と一喝される方もいらして、気を付けなければと思いました。
今後、全自交石川ハイタク連合会は、行政に対し、問題が一つでも解消できるよう投げかけ、また地域公共交通としての役割をしっかりと果たしていけるよう組織拡大行動を続けていかなければならないと思います。


いずれも10%超


全国各地で、順調にタクシーの運賃改定が進んでいます。全自交労連が5月2日時点でまとめた状況では、今年に入って7ブロックで運賃改定が実施され、5月31日付でも10ブロックの改定が確定しています。
3年前に運賃改定したばかりの地域を含め、軒並み10%を超える高い改定率となっており、これから改定される地域でも大幅な運賃値上げの実現が期待できる状況です。
全国には101の運賃ブロックがありますが、2020年3月以降、すでに21ブロックで改定が実現し、70ブロックで改定に向けた手続きが進んでいます。島や過疎地を除く主要なエリアのほぼ全てが運賃改定に向かっている状況であり、都道府県別でも島根県を除く46都道府県に広がりました。まさに全国一斉改定と呼べる状況です。
昨年以降の運賃改定手続きの中で、改定に必要な申請率70%のハードルを超えられなかったブロックは、香川県の小豆島と、北海道の旭川A地区のみ。安売り傾向が強かった地域でも順調に運賃値上げが進んでいる点が特徴です。
また小豆島では2022年5月の申請が7割未達でしたが、今年3月に再挑戦で申請を出し直しています。
タクシー労働者の低すぎる賃金を改善して、物価高の中でもまっとうに生活できるようにするためには、まず運賃改定が必要です。エッセンシャルワーカーに相応しい待遇を実現し、職業としての魅力を高め、公共交通を守るために、全自交労連は今後も適正な運賃改定を求めていきます。




コロナ禍ではバス・タクシー会社に対し、県や市町村が支援金・交付金を支給する事例が相次ぎましたが、2023年に入っても、公共交通に対する支援の動きが続いています。山形県は「令和4年度第4回地域公共交通事業者原油価格高騰等支援金」を3月に実施し、タクシー1台当たり5万円を支援。岩手県も令和5年度の一般会計補正予算案にタクシー1台3万5千円を盛り込みました。また岩手県盛岡市で1台当たり2万5千円、同二戸市で1台当たり10 万円など市町村単位の支援も継続。
公共交通を守り抜くため、公的支援をコロナ禍で終わらせず、継続するための取り組みが重要です。



47万2726円の募金を、ITF連帯基金へ届けました。全国の仲間のご厚意に感謝します。


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