全国自動車交通労働組合連合会はハイタク産業に従事する労働者で構成する労働組合の連合体です。本ホームページは、どなたでも自由に全てご覧いただけます。


ホーム > ニュース > 2022年5月26日掲載



復帰50年も変わらぬ沖縄の痛み

5月14日、県内外から集結した1000人が普天間基地から嘉手納基地へ9キロの道のりを行進。雨にも負けず「基地のない沖縄を」、「日米地位協定を見直せ」と声を上げ、沿道では幾人もの住民が手をふってくれました。
▼写真左下=オスプレイが並ぶ普天間基地。すぐそばに住宅街が広がり、タクシー会社の営業所もあります
50年前の1972年5月15日、沖縄は日本へと復帰しました。しかし、その後も米軍基地は残り続け、日本の国土のわずか0・6%の沖縄に在日米軍基地の71%が集中する理不尽な状況が続いています。5月14、15日には復帰50年とは何だったのかを問う5・15平和行進と県民大会が開催され、コロナ禍でのギリギリの規模として県内外から1000人が集結。全自交労連本部も参加し、「基地のない沖縄」を求め声を上げました。
復帰後も米軍関係者による犯罪は数多く、県警が検挙しただけで6086件、うち582件は、殺人やレイプなどの凶悪犯罪で、実際には不平等な日米地位協定の下、検挙すらされない事件が多くあります。タクシー乗務員が殺された事件もありました。
復帰とほぼ同時期に自主管理のタクシー会社を立ち上げ、全自交の旗を守り続けてきた喜屋武貞夫・共同交通会長(全自交沖縄地連元委員長)は「沖縄では犯人がわかっている迷宮入り事件が多くある」「いまだ沖縄は植民地だ」と、静かに怒りを語ります。
沖縄は人口増加率が47都道府県で最も高く、返還された軍用地はニュータウンとなって大きな経済発展を遂げました。広大な土地を占有する基地の存在は経済面でも大きな妨げになっているのです。今こそ「対話による安全保障」を追求し、沖縄の痛みを終わらせなければなりません。


5月15日の県民大会。「基地のない沖縄」「平和な日本」「戦争のない世界」を求め拳を突き上げました。


歩率2%や定昇増 「コロナ特別手当」も

2022春闘妥結状況パート2(4月13日以降、5月18日までの本部集約分)

【北海道地連】
3.30 朝日交通労組 賃金や手当の基本部分は現状維持だが、350万円以上の高額稼働者に対し、夏期7.8%、冬期10%の一時金を増設。制服・ワイシャツを年2枚支給。
4.8 函館タクシー労組 公休出勤歩率の引き上げ=平日17時~22時55%➡60%、休日(期間限定)55%➡60%。LED前照灯への交換。
4.15 網走市ハイヤー労組 賃金・労働条件は現状維持。組合の「コロナ危険手当」要求に対し、名称を「コロナ対策特別手当」に変更して、1人2万円の支給決定。
4.22 こばとハイヤー労組(釧路) 賃金現状維持、夏期一時金は例年通り年間営収の2%で妥結。事故防止策としてバックモニターを順次取付。
4.23 日北交通労組 現状維持。夏期一時金交渉は分離して6月に再交渉。

【青森地連】
4.26 ポストタクシー支部 賃金現状維持
5.8 青森タクシー支部 賃金現状維持、一時金支給
5.10 マルイタクシー支部 賃金現状維持、マスク支給

【新潟地連】
4.6 しあわせ交通労組 65歳までの正社員に関し、歩率を2%アップ、45%から47%へ。春闘一時金、従業員一律1万円。
4.13 新発田観光タクシー労組 春闘一時金、従業員一律1万円。

【東京地連】
4.22 帝都自動車交通労組 技工・職員・ハイヤーは定昇平均月額1000円(昨年より500円アップ)。年間賞与は技工・職員2.45カ月、ハイヤーは平均50万円。特別一時金=ハイヤー年額1万円(昨年比7000円アップ)、タクシーは前年同基準で平均営収により5000円~7万円(総支給額は前年比600万円アップ)。

【千葉地連】
3.17 京成タクシー佐倉八街労組 春闘解決金正社員・嘱託社員6000円、定時制3000円。
4.14 姉ヶ崎タクシー労組 賃金等は現状維持。有給休暇の消化状況を給与明細に明記。

【兵庫地連】
5.9 ポートグループ労組 賃金現状維持



立憲民主党の次期参院選公認予定者で、全自交労連が推薦する鬼木まこと氏(自治労本部前書記長)の後援会事務所開きが5月9日、東京の自治労会館で開催されました。全自交労連の溝上泰央中央執行委員長や、交運労協の住野敏彦議長ら、鬼木氏を支持する団体・産別の代表者が集結。溝上委員長は「労働者が安心してくらせる社会をつくっていただけるよう、全自交はしっかり応援していくことをお約束し、ともにがんばります」と語りました。
鬼木氏は「(コロナ禍で)労働環境はギリギリの状況に追い込まれているが、組合の皆さんは誇りと信念を持ち、踏ん張って、地域住民の命と暮らしを支えている。この状態をなんとかしたい」、「エッセンシャルワークの職場を細く弱いものにしたのは、長く続いた自民党政権です」と述べ、「社会、政治、公共サービスの状況を変え、何より私たちの職場を変えていくために最大の努力を行ってまいります」と誓いました。
鬼木氏は「力を合わせ職場を変えよう」と訴えました


乗ってわかったモビ・AIオンデマンドの問題点

大阪のAIオンデマンド交通。休み無く走りまわり、
健康被害や事故が懸念されます。
都市部での定額乗り放題サービスは、やはり問題だらけでした。大阪市北区でAIオンデマンド交通、東京都豊島区でmobi(モビ)に乗車してみたところ、AIの指示で休憩も取れない過酷な労働実態や、全く採算が取れない状況が明らかとなりました。

◆休めない
まず驚かされたのは、その労働環境です。大阪で乗車した際の乗務員さんは午前7時から午後10時の15時間拘束。
うち3時間は休憩するよう会社は指示しているものの、配車が停止するのは1日30分のみ。それ以外は、常に配車が入ってキャンセルも認められないため、食事中もトイレ中もタブレットが手放せず、ろくに休めないということです。
余裕をもてるよう、早めに目的地に向かうと、AI(人工知能)が別のお客さんを乗せる余裕があると判断して、別の配車をはさんでくるため常に追い立てられるような労働です。乗務員さんは「夕方ぐらいにはボーッとなることがあります。連続で運転していると集中できなくなり、大きな事故を起こさないか不安。タクシーで同じ時間働くより、はるかに疲れます」と話していました。しかも日勤扱いなので、2日連続で15時間拘束のオンデマンドに乗務したり、タクシー乗務の翌日にオンデマンドということもあるよう。体調を壊さないか心配ですが「大阪で固定売上4万円(給料は掛ける歩率で1日約2万円)は魅力」ということでした。
東京でモビを運行していた乗務員さんは1日2交代制ということでしたが、「休憩がとれないのは、こちらも似たような状況です」と語り、AIの指示で常に走り回る仕事の疲れを語っていました。
◆安すぎる
また採算性のなさも大きな問題です。1人1回300円(小児や障害者は150円)、月額乗り放題5000円は安すぎます。
モビや大阪メトロがタクシー会社に補償しているので、乗務員さんの給料は固定ですが、どちらも「行政の補助がなければ絶対に黒字にならない」と実際に仕事をした上での感想を話していました。1日中AIに追われて走り回り、30分待ちもザラという忙しさで働いていてこの感想になるわけですから、最初から行政の補助を見込んだ無理な運賃設定であることは明らかです。
利用者目線だけで見れば、安くて便利で、子連れの母親などの利用が多いようです。実際にバス路線も、タクシーの営業所もないような地域で行うならば、住民の足を守る価値あるサービスになるでしょう。
しかし、人口密集地において、採算性の全くない低運賃で既存の公共交通の需要を奪い、安全性を脅かす過酷な労働で働く人間を追い詰めることは断じて許容できません。採算性を追求すれば、「白ナンバーのドライバー、つまりはライドシェアで」という発想にもつながるでしょう。モビは全国展開を目指していますが、各地域でしっかりとその実態を問う必要があります。



LPガスの高騰に対するタクシー事業者向けの補助金の申請が始まりました。インターネットの専用サイトから申請ができます。現在申請を受け付けているのは、今年1月27日から3月31日までに稼働していたLPガス車両の分で、締め切りは6月24日。
4月以降分も補助が出る予定で、国交省は令和4年度補正予算案に84億円の経費を計上しました。5月分以降は補助金の上限も上がります。
一方、全国一律でLPガス使用量を1日10・7㍑に設定したことは疑問です。走行距離の長い沖縄では今年3月にタクシー1台が月間711㍑のガスを消費。地域事情にも配慮した制度改善を望む声が出ています。


2021年賃金構造基本統計調査




連合は4月29日に東京の代々木公園で第93回メーデー中央大会を開き、全自交労連本部と全自交東京地連の役員が参加しました=写真。人を集めての開催は3年ぶりですが、感染防止のため人数を制限。約4800人が参加しました。
芳野友子連合会長は新型コロナや物価上昇の影響に触れ、「今こそ雇用とくらしを守り、将来の希望につなげることが重要」と語りました。

ウクライナ出身で一橋大大学院に留学中の、ドゥブニコバ・ヤンナさんが演壇に立ち=写真、「権力やお金など、命に比べれば何の価値もないもののために戦争があってはなりません」「戦争反対」と訴えました。
働く者のアピールでは正規、非正規、フリーランスの労働者代表が発言。来賓として官房長官、厚生労働大臣、東京都知事が発言した一方、労働者の側に立つ政党の発言機会はありませんでした。


平和フォーラム・原水禁も総会

今国会では毎週のように憲法審査会が開かれ、いよいよ改憲発議が行われる可能性が高まっています。平和フォーラムと原水爆禁止日本国民会議は4月25日に総会を開催し、戦争放棄や基本的人権の保障といった憲法理念の実現と、改憲阻止を柱とする運動方針を決定しました。

憲法大集会。東京有明に1万5000人が集結しました
また5月3日の憲法記念日に開かれた憲法大集会には1万5000人もの市民・労働者が集結し、平和憲法を守る決意を固めました。


遠割是正へ 小委員会開催求める

大阪タクシー協会側の出席者。坂本会長(中央)ら、
正副会長が対応しました。
大阪タクシー協会と在阪労働4団体の労使懇談会が、3月30日に開催され、運賃改定、大幅な遠距離割引是正、AIオンデマンド交通問題、UD車両導入、コロナ対策等について意見を交わしました。
 労働側は全自交大阪地連から橋口学委員長、加藤直人書記長、私鉄関西ハイタク労連から田中滋修委員長、大南昌彦書記長、交通労連関西地方総支部から小川敬二ハイタク部会長、松田和也ハイタク部会書記長、自交総連大阪地連から福井勇委員長、庭和田裕之書記長の8名が出席し、協会からは坂本栄二会長、古知愛一郎、坂本篤紀、高士雅次副会長らが出席しました。
労働側は「運賃改定を大阪でも視野に入れているならば、まず大幅な遠割りの是正が必要である」と主張。前回懇談会で設置が決まった「労使懇小委員会」が全く開催されていない現状を問題視しました。経営側は、「コロナ禍で日程調整がつかなかった」と釈明し、今後の開催について労働側と調整すると回答しています。運賃改定に関しては「配車アプリの使用料が運賃の原価計算に入っていない問題を事業者側にも共有してもらう必要がある」と労働側が問題提起し、事業者側からも「ウーバーイーツや出前館の手数料を考えると大きな問題だ」との回答がありました。
また「大阪は運賃ブロックが一つのため、前回改定の際に都市部と郡部で考え方に違いが出て、爾後(加算運賃)の前倒しという形になった。ブロック分割を行う考えはないのか」という質問には、「駅の表と裏で運賃が異なるという事例が発生し一つになった経緯があり、分けることは考えていない」と回答。
AIオンデマンド交通に関しては、維新が首長であり、万博に向け推進している状況を考えると、反対一辺倒では利用者の理解が得られず、参画しながら問題点を修正させる方向で行くのが良いとの考えで労使が一致しています。
UD車両に関しては、労使の陳情でようやく大阪府から1両30万円の補助が認められたものの、東京の3割でしかないため、市町村にも補助を求める方向が確認されました。


「ひますぎる」「飼い殺し」現場の悩み聞く

全自交石川ハイタク連合会(畠下幹男執行委員長)は4月14日、石川県全域を対象に、全自交労連の組織拡大行動を行いました。感染拡大防止策を講じつつ、能登地区からスタートし、金沢地区、加賀地区までの駅や空港などをまわりました。全自交のチラシを配布しながら、職場での賃金・労働条件に対する理不尽な話や悩み事など現場の声を聞き、労働組合の必要性や作り方を伝え、全自交への加盟を勧めました。そしてライドシェア導入によって起こりうる危険性を説明し、業界を守る取り組みの必要性を訴えました。
ある駅では、客待ちタクシーが多数待機しており「ご苦労さま、お疲れさま」と声をかけると「ひますぎて全然疲れてないけどね、この状況を見てよ」と言われる始末。まん延防止等重点措置が解除されても、まだまだ出控え状態が続いており、「年金をもらいながら会社に言われるがまま長時間労働を強いられている」、「最低賃金ももらえず会社に飼い殺しにされている」等、現状を訴える方もいました。
石川ハイタクの市野晃司書記長は「毎年同じ事を乗務員の方から当たり前のように聞きますが、一向に改善されない事にがくぜんとします。行政に対し、問題が一つでも解消できるよう投げかけ、また地域公共交通としての役割を果たしていけるよう組織拡大行動を続けていきます」と、決意を新たにしています。
畠下委員長(右)ら執行部が現場の悩みを聞き、
労働組合の必要性を訴えました
(4月14日、能登地区の七尾駅前タクシー乗り場)


バス・タク乗務員への直接支援を

岩手県交運労協(山岸伸行議長)は4月27日、達増拓也県知事に「新型コロナウイルス感染拡大によるタクシー乗務員の生活と地域公共交通を守るための要請」を行い、森茂副議長(全自交岩手地本委員長)が達増知事に要請書を手渡しました=写真。
5項目の要望事項では、筆頭に「タクシー乗務員への直接的な支援」を掲げ、エッセンシャルワーカーとして地域交通を担うバス・タクシー乗務員への危険手当や慰労金の支給を求めました。さらに、事業継続支援、燃料費高騰支援、タクシー乗務員の感染防止への支援を要請。タクシー需要の創設と交通弱者に対して、タクシー利用券の支給や、自治体支援による深夜時間帯の運行車両確保などの対策も求めています。
達増知事は「業界の大変さはよく知っている。2年続けて支援を行ってきたが、今後も支援を継続していきたい。コロナ禍の大変な状況の中で、ドライバーの皆さんが、がんばっていただいていることに改めて感謝申し上げたい」と述べました。森副議長は「労働者にとっても使用者にとっても、今一番必要なものはお金。今はとにかく金銭的支援が必要。多くの乗務員が辞めてしまっている」と話し、直接支援の重要性を訴えています。



左から北都交通の千葉社長、奥州市の小野寺副市長、岩手地本北都支部の戸来委員長
岩手県タクシー協会胆江支部の千葉真紀子副支部長(北都交通社長)と、全自交岩手地本北都支部の戸来忠志委員長は、5月に奥州市への要請を実施。労使一体で、乗務員への直接支援や、事業者への事業継続、燃料費高騰、感染防止、需要喚起の支援を求め、小野寺隆夫副市長に要請書を手渡しました。



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