全国自動車交通労働組合連合会はハイタク産業に従事する労働者で構成する労働組合の連合体です。本ホームページは、どなたでも自由に全てご覧いただけます。


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危機突破2022春闘で未来への一歩を〜タクシーこそ地域交通の主役に〜

はじめに

コロナ禍でいまだ交通崩壊の危機が続き、燃料費高騰や雇用調整助成金の先行き不透明感など、春闘を取り巻く情勢は厳しいと言わざるをえません。しかし、だからこそ2022春闘では賃金・労働条件の改善を勝ち取らねばなりません。コロナ危機で歩合給主体のハイタク労働者は一般労働者よりはるかに大きな打撃を受け、多くの仲間が職場を去りました。ハイタクと全産業の男性労働者の年収格差は1年間で44万円も拡大し、250万円近い格差となっています。いま労働条件を向上させなければ、ハイタク産業で働く人はますます減り、産業全体の地盤沈下を招くことは確実です。格差を是正し社会を前進させるためには賃上げこそ唯一の解決策です。
営収回復と賃上げには需給調整こそ必要です。タクシー事業法(仮称)を成立させて改正タクシー特措法の限界を乗り越え、実効性のある需給調整と悪質事業者の追放を実現しましょう。
また「ライドシェア合法化」を掲げる日本維新の会の勢力拡大を止めなければなりません。彼らは零細なハイタク産業に「既得権益」のレッテルを貼り、大阪で格安のAIオンデマンドバスを走らせ、ハイタク産業を破壊しようとしています。大阪のオンデマンドや、定額乗り放題のmobiは利用者の多い都市部において採算性度外視の低運賃で運行し、既存の公共交通を脅威にさらしています。厳しく批判し、必ず実証実験で終わらせる必要があります。国土交通省が認めたタクシー相乗りや、実験中の事前確定変動運賃も、安売りにつながる懸念があり警戒が必要です。
プラットフォーマーに手数料を搾取され「下請け」の地位にタクシーが落ちる前に、率先してタクシー業界こそ自治体に地域交通の課題を解決する提案や相談を行う必要があります。「タクシーこそ地域交通の主役」という気概を持ち前進しましょう。
世界では「大きな政府」への方向転換が進んでいます。日本でも岸田新政権は、分配強化の方針を掲げましたが実効性に疑問があり、労働者の立場に立つ政党を支援して政治の方向転換を進めなければなりません。立憲民主党は泉健太新代表の下、再スタートを切りました。流れを変える第一歩として今夏の参議院選挙の勝利を目指します。
ハイタク業界は危機的状況にありますが、この危機を突破し未来への一歩を踏み出すために、今春闘は重要な意味を持ちます。「明けない夜」はなく「やまない雨」もありません。希望をもって団結を強化し、今こそ労働組合の底力を示しましょう。


Ⅰ.春闘を取り巻く情勢と課題

1.世界情勢
新型コロナウイルスの延べ感染者数は、全世界で2億6000万人超、死者数も520万人を超えました。新たな変異株も登場し、終息は見通せません。しかし経済は回復基調にあり、国際通貨基金は、世界経済が2021年に5・9%、22年に4・9%成長すると予測しています。
アメリカでは約136兆円のインフラ投資法案が成立。世界各国は大胆な財政支出を行って雇用や社会保障を支える「大きな政府」の路線へかじを切っています。
一方、世界的な原油価格上昇でLPガス価格も高騰。主要消費国による石油備蓄放出の効果が注目されます。

2.国内情勢
国内の2021年のコロナ感染状況は、11月末時点で、前年と比べ感染者6・3倍、死者4・3倍に達しました。現在は小康状態ですが、予断を許さない状況です。
景気には持ち直しの基調が見られるものの、個人消費は6か月連続で「弱い動き」。飲食・宿泊・交通などの業種は特に大きな損失を受けており、雇用維持のために「事業復活支援金」制度(売上減少事業主に最大250万円)などの支援策をフル活用する必要があります。
原油価格の高騰によりLPガスも値上がりし、オートガスの店頭価格は2021年11月に1リッター当たり112・3円に達し、2000年以降の最高値を記録しました。
安倍路線を踏襲した菅首相は、最悪の政権運営を行い、自民党内から引きずり降ろされる形で9月に辞任。党内の権力闘争の結果、岸田新政権が誕生し、賃金など「分配」の強化や、「人」への投資といった目標を掲げました。そんな中で10月31日に投開票された衆議院選挙は、立憲民主党などが議席を減らす結果に終わりました。野党共闘への批判もありますが、小選挙区制で政権交代を実現するために候補者調整は不可欠です。
11月30日の立憲民主党代表選挙では、泉健太新代表が誕生しています。
そして最大の懸念は「ライドシェア推進」を打ち出す日本維新の会です。自民党内の新自由主義勢力と維新が手を結び、規制緩和路線への回帰や、改憲を目指す動きを阻止しなければなりません。

3.雇用情勢
特例融資などの影響で企業の倒産・休廃業件数は大幅に減っていますが、運輸業の休廃業数は増加。雇用調整助成金の特例措置が終了すれば、「雇用崩壊」を招く危険があります。一方で、全体の有効求人倍率は上昇しつつあり、ハイタク産業は労働条件を改善しない限り、さらなる労働力不足に陥ることでしょう。

4.賃金の低下
月間の賃金額は回復傾向にありますが、パートタイムの賃金は前年より悪化。業種間格差も拡大しています。国際的な実収賃金の前年同月比較では、米英独がコロナ禍でもプラスを維持した一方、日本はマイナスが長く続きました。内需を拡大し、日本経済の停滞を打破するためには賃上げこそ唯一の道です。2022春闘での積極的な賃金闘争の展開と社会的波及が求められます。


燃料高騰は労使共通の課題。トラック、タクシー、バスの業界団体が主催した「燃料価格高騰危機突破総決起大会」には、連合や全自交、私鉄総連、交通労連など労働側も協力し、政府に対策を求めました(12 月2 日)

全自交岩手地本は11 月29、30 日に盛岡、花巻、北上のでチラシ配布活動を実施。「情報提供ありがとう」の声とともに「まだ夜の繁華街に人が出てこず厳しい」と訴える声も聞かれました。


Ⅱ.ハイタク産業の動向

●タクシー営業収入の全国平均は2021年1〜9月までコロナ前の50〜60%台で推移。10月は73・5%と少し上向いてきましたが、多額の融資や雇用調整助成金でしのいでいる事業者も多く倒産や廃業が全国で頻発、乗務員の離職も進みました。運賃改定を望む声も高まっています。

●公共交通機関は緊急事態宣言中も運行を継続し、ワクチンの接種にも貢献。地方自治体も、市の負担でタクシー・バス共通クーポン6000円分を3000円で販売(室蘭市)▽タクシー・バス乗務員に1人2万円の慰労金(旭川市)▽タクシー1台につき5万円(岩手県)▽ワクチン接種者へのタクシー券配布(各地)など、多様な支援を実施しました。財源となる地方創生臨時交付金は約6兆円上積みされる方向です。コロナ禍で生まれた自治体や議員とのパイプを切らさず定期的に相談や提案を行い、公助獲得の道筋をつけることが重要です。MaaS(マース)などの新分野については、地域に根ざしたタクシー会社こそ主体的に取り組む姿勢が必要です。

●11月17日現在、特定地域はわずか3地域にまで減少しています。改正タクシー特措法の限界を乗り越えるため、ハイタクフォーラムは「タクシー事業法(仮称)」の制定を要求していきます。

●厚生労働省の2020年賃金構造基本統計調査によれば、男性タクシー乗務員の推計年収は301万8500円となり、前年より約59万円も減少。全産業・男性との格差は1年間で44万円も拡大し244万円に達しています。女性タクシー乗務員の推計年収も大幅に悪化し前年より51万円減の255万3000円。全産業・女性との格差は45万円ひろがって127万円でした。
この労働条件の劣悪さを放置する限り、タクシー業界に人は戻ってきません。業界の未来のためにも、今春闘で賃上げを勝ち取らなければなりません。また、極端な労働時間短縮による悪質事業者の最賃逃れなどを許さず「ブラック企業」には退出を求めます。

新たな脅威

◆ライドシェア
ライドシェア合法化を掲げる日本維新の会や竹中平蔵氏が入った「デジタル田園都市国家構想実現会議」などの動きを最大限警戒し、合法化阻止の闘いを継続します。
 
◆事前確定型変動運賃
事前確定型変動運賃の実証実験が都内で行われ、「GO」と「Uber」アプリが参加しました。変動運賃は利用者の困惑や苦情をまねくうえ、結局は安い時にしか使われず、さらにライドシェアへ道を開く懸念もあるため引き続き反対していきます。また運賃はタクシー事業にとっての根幹であり、配車アプリを介せば割引も割増も自由に行える最近の流れに歯止めをかける必要があります。

◆定額乗り放題モビ 
WILLER(ウィラー)は、東京都渋谷区、名古屋市千種区など都市部を中心に月額5000円の定額乗り放題の実証実験mobi(モビ)を運行。豊島区や大阪市でも始めようとしています。採算性を考慮しない低運賃の乗り放題は、既存の公共交通の存続を危うくさせます。地域住民のためにも実証実験で終わらせなければなりません。 
ただ、定額制や乗り合いは、過疎地や災害時などでは有効に活用できる可能性があり。都市部でも適切な運賃設定であれば検討に値する手段です。既存のタクシー業界が持続可能な方法を提案し、自治体と二人三脚で実現していく姿勢も重要です。

◆大阪のAIオンデマンド
大阪市は実証実験として生野区、平野区で、AIオンデマンドバスを運行。大阪メトロが8人乗りのワンボックス車を使い、210円の低運賃で運行しています。大阪のタクシー業界労使は猛反発しましたが阻止できず、大阪市はさらに来年3月から北区、福島区での運行も予定。大阪メトロと、ウィラーが手を挙げており、どちらも乗車運賃300円と、月額5000円の定額プランを準備。定額乗り放題が大阪でも始まる可能性が高まっています。

◆相乗りタクシー(略)


Ⅲ.春闘の取り組みの基調

1.労組の力で危機突破 未来への一歩を! 
春闘を取り巻く情勢は厳しいものですが、経営者以上に大きな打撃を受けたのは歩合給で働くハイタク労働者です。エッセンシャルワーカーの待遇がこれほど低いままで良いはずがありません。全ての職場で要求を掲げて交渉を重ね、あらゆる角度から賃上げや待遇の改善を勝ち取りましょう。

2.他産業との格差を是正し、魅力のある労働条件を!
他産業との年収格差を縮めない限り、将来を担う人材の確保など不可能です。悪質企業の最低賃金法、労働基準法違反を根絶し、魅力ある労働条件の確立に全力をあげます。

3.なくすな公共交通 存続には公助が必要!
公共交通が存続の危機に立っており、政府や自治体に必要な公助を求めます。地域の移動を支えるのは、目新しいサービスを提案する横文字の企業ではなく、その土地に根付いた公共交通事業者だと強く訴えなければなりません。

4.ライドシェア、低価格競争の阻止
ライドシェア導入をあきらめない勢力に立ち向かい、合法化絶対阻止の闘いを継続します。また事前確定型変動運賃、相乗り、定額乗り放題などの新たな動きは、結局「安く利用できる」点を売りにしています。「安くすれば利用者は増え、産業も成長する」という発想が、公共交通において大きな間違いであることは歴史的に証明された事実。低価格競争は必ず阻止しなければなりません。

5.タクシー事業法を制定し、適正需給・適正運賃の確立
適正需給と適正運賃を確立するためタクシー事業法(仮称)の制定を求めます。

6.全ての職場で積極交渉!その成果を組織拡大に!
「要求しないものは実現しない」ことを肝に銘じ、あきらめずに交渉して勝ち取った成果を社会に波及させ、組織拡大に繋げます。


Ⅳ.賃金労働条件改善の要求

【コロナ関連要求】
1労働日・1万円の危険手当支給、車内感染防止対策、乗務により感染した場合の賃金全額補償、休業手当の「平均賃金100%」支給などを求め、雇用調整助成金の特例措置が終了した場合も、解雇や雇い止めを行わないよう求めます。

【賃金要求】
1.①累進歩合の廃止②固定給と歩合給のバランスの取れた給与体系の再構築③運転者負担の見直し④過度な遠距離割引の是正⑤過労防止対策の推進
2.賃金の統一要求は、賃金体系にかかわらず生活維持分と賃金回復分として組合員1人当たり月額1万円。
3.年次有給休暇の確実な 取得
4.「時間額1200円」以上または「地域最低賃金時間額+200円」以上の企業内最低賃金協定の締結。 
5.雇用形態の違いによる差別の撤廃。
6.ハイタクA型賃金と観光バスの一時金獲得目標は年間100万円。
7.退職金の要求基準額は5年=50万円以上、10年=100万円以上。また、中退共への加入を促進。
8.長時間労働の是正に向け、時間外労働の上限は「月45時間かつ年360時間」とすること。同時に、給与総額の低下を招かないよう、効率的な勤務時間と休日の設定及び所定内賃金の時間単価(歩合給については支給歩合率)の引き上げを行うこと。また、改善基準告示を見直す議論が進んでいることを踏まえ、タクシーの月間総拘束時間を日勤で275時間以内、隔勤で250時間以内に収めること、休息期間(勤務間インターバル)は日勤で11時間以上、隔勤で24時間以上確保すること。
9.事業の休止・廃止や譲渡など、雇用・労働条件にかかわる経営方針の変更は、労働組合と協議し、同意を得てから実行するよう協定を結ぶこと。(その他略)

※新規 【女性や若者が働きやすい職場に 男女のワークライフバランス実現】
具体的要求事項
①「育児・介護休業法」を遵守して、女性の出産休暇、男女の育児休暇・介護休暇などの申請・取得を後押しし、取得やその後の職場復帰に際して不利益な扱いを行わないこと。
②男女雇用機会均等法の趣旨を理解し、女性であることを理由に、昇進や昇格に差をつけないこと。
③ハラスメント対策関連法に基づき、セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティハラスメントなど、あらゆるハラスメント
行為の防止に努めること
④子どもや親の急病、学校行事、育児などの必要に応じ、勤務時間・休憩時間の柔軟な運用、所定外労働の免除、短時間勤務などに応じること。
⑤事業所内保育施設(認可施設)や、認可保育所と同等の質が確保された企業主導型保育施設設置を検討すること。
⑥生理休暇を申請・取得しやすい環境を整備すること。
⑦女性用の更衣室や仮眠室、衛生的なトイレなど、可能な限り女性が働きやすい職場環境を整備すること。
⑧土日に休める勤務シフトなど、若者の求める労働環境を整備すること。


Ⅴ.ハイタク産業の政策要求

1.新型コロナ感染拡大による「交通崩壊」を防ぎ、公共交通を守る取り組み

(1)感染防止と乗務員支援
雇用調整助成金の特例期間延長や乗務員の感染防止対策費用の補助、危険手当の支給や、賃金減額分の補填、乗務により感染した場合の賃金保証を求めます。
(2)事業支援と利用者支援
①タクシー事業継続への支援金や運行経費の支援制度確立を要求します。
②交通弱者が安心して移動できるよう、タクシー利用券などの配布を要求します。
③感染状況を見つつ、効果的な経済対策を要求します。
(3)適正化・活性化の推進
①労働条件が大幅に低下した地域を特定・準特定地域に指定し、コロナ禍における適正台数と運賃の適正化及び感染防止策、活性化策を協議・実行するよう求めます。
②適正な運賃への改定を要求します。
③新たな運賃制度について運送収入の低下や労働者負担の増加が懸念される場合は導入しないことを求めます。また実証実験段階から労働組合との協議機関を設置し、検証作業にも労働組合を参加させるよう要求します。

2.ライドシェア導入を許さず、タクシーを公共交通の主役に

(1)「スーパーシティ構想」の悪用反対 (略)
(2)ライドシェア不要の地域公共交通計画推進 (略)
(3)交通課題の解決には、地元のタクシーを
①自治体が交通空白地や移動困難者の問題を解決しようとする際、その地域で営業し
ている優良なタクシー事業者の活用を最優先に考えるよう求めます。外資系やIT系企業は提案力に優れる反面、撤退時は地域の事情を考慮しないなど持続可能性に欠けることを周知します。さらにプラットフォーマーに対しては、運行主体となる公共交通事業者に十分な対価を支払うよう求めます。
②地域の交通課題を解決するため、タクシー業界からも自治体への提案や相談を積極的に行うよう要求します。




Ⅵ.闘いの進め方

1 春闘体制の強化

1.各地連・地本及び各単組・支部においては春闘討論集会や学習会、決起集会等の職場集会を開催し、春闘情勢、方針、要求事項について意思統一をはかります。また、ストライキ権を確立し、組合員が一体となった闘争体制を築きます。
2.団体交渉の内容を広く伝えるための「春闘ニュース」等を各職場で発行するよう努力します。

2 要求提出

1.第100回中央委員会において2022春闘方針を決定し、それ以降は中央執行委員会のメンバーで中央闘争委員会を立ち上げ、春闘の情報交換と指導を強化します。
2.すべての地連・地本及び各単組・支部・分会は、要求提出日までにストライキ権(組合員の無記名投票による過半数の賛同)を確立します。
3.要求提出は2月末日までとします。回答指定日は3月●●日とします。(第100回中央委員会で決定)
4.闘いのヤマ場には、ストライキを含む「統一行動日」「統一行動ゾーン」を設定して交渉を集中させ、解決を促進します。その日程は中央闘争委員会で決定します。

3 組織拡大の展開

1.各単組・支部は、職場の未加入者に対し、春闘期間中に組合加入の働きかけを強化します。執行委員会等で具体的な加入拡大目標とオルグ担当を決め正社員全員加入と嘱託・定時制の加入促進をめざし全力で取り組みます。
 (中略)
4.新型コロナウイルス感染拡大の可能性を考慮し、オンライン会議での意見交換や、春闘の妥結状況をインターネット上で見られる仕組みなどを検討します。


Ⅶ.自教労働者の春闘要求

【統一要求】

自教労組の統一要求は以下の通りとします。
1.賃上げ要求額は、月例1万500円とします。なお、連合加盟中小組合の定期昇給相当分4500円に、加算分として6000円(連合加盟組合の平均賃金約30万円の2%相当)を積み上げたものが要求額の根拠です。待機時間も労働時間として適正な賃金支払いを要求します。時間額1500円以上の企業内最低賃金協定の締結を求めます。
2.一時金要求は、年間80万円以上とし、各単組・支部・分会が自主的に決定することとします。
3.退職金は、10年=200万円以上、20年=500万円以上、30年=1000万円以上のポイント要求基準をもとに増額を要求します。また、中退共への加入を促進し、月額掛金1万円以上を求めます。
4.定年年齢を65歳とするよう求めます。
5.嘱託・パート指導員などの不安定雇用を排除し、正社員化を進めます。また、「同一労働・同一賃金」の原則の下、正社員と同じ業務内容である場合は、雇用形態にかかわらず、正社員と同一の賃金(手当・慶弔規程・有給休暇・休職規定等を含む)を求めます。有期雇用労働者の労働条件が、無期契約労働(正社員)の労働条件と不合理に相違する場合は是正を求めます。
6.年10日以上の有給休暇が付与されている労働者に対し、年5日以上有給休暇を取得させます。また有給休暇が取得しやすい環境を整備し、定年退職後に継続雇用となった場合、勤続年数を通算させ、年次有給休暇を付与することを徹底させます。
7.労働災害補償は、企業上積み保障3000万円以上を要求します。
8.5年を超えて有期雇用契約が繰り返し更新された労働者が無期転換を申込んだ場合、確実に無期雇用に転換させます。
9.時間外労働に関わる労使協定(36協定)の締結に当たっては、時間外労働時間の目安(月間45時間、3ヶ月120時間、年間360時間)を遵守させ、割増賃金は、 時間外割増率50%、休日割増率100%の支払を要求します。
10.「事業の休止、企業閉鎖などの重大な経営方針の変更や、労働者の身分変更に関しては、労働組合と事前に協議し、合意を得てから実行する」という事前協議制と合意協定の締結を求めます。

【政策課題】

政策課題として以下のことを要求します。
1.指導員の感染防止のためあらゆる対策を講じること。
2.新型コロナの拡大により休業する場合は賃金を全額補償し、勤務により新型コロナに感染した場合は完治するまで賃金を全額保証すること。
3.教習の質がしっかり確保されるよう、教習料金のダンピングや規定時間内卒業をうたう誇大広告などに対して規制・指導すること。
4.自教を地域の「交通安全教育センター」として位置づけ、違反者講習、処分者講習、 更新時講習など、免許関連業務を指定教習所に委託すること。
 (中略)
6.高齢者講習、講習予備検査などの料金を適正化するとともに、受講者(受験者)の負担 軽減のための公的補助制度を導入すること。さらには認知症の予防や早期発見のために自動車教習所の活用を検討すること。
 (中略) 
9.教習と教習のインターバル(10分間)については実態として引き継ぎや原簿の押印、本人確認、消毒作業などに充てられていることが多いため、休憩時間ではなく労働時間として算定すること。


自主経営で再スタート

愛媛地本新居浜支部の駅前タクシー分会は11月15日、駅前タクシー営業所で自主経営の出発式を行い、組合員と地域の仲間が参加し、自主経営の成功を誓い合いました=写真。全自交労連からはオルグを担当した高橋副委員長と野尻書記次長が出席しました。
松下委員長(副所長)が司会を担当し、愛媛地本の宮岡委員長が祝辞を述べ、組合結成から労働審判の闘いを経て自主経営に至るこの間の経過を報告するとともに、「みんなで頑張ってみんなで分け合う会社であり搾取する者がいない。力を合わせて成功させよう」と訴えました。全自交労連の高橋副委員長と野尻書記次長は困難を乗り越え、全株式を取得した仲間の奮闘をたたえるとともに、「地域に愛されるタクシーとなり、地域一番の労働条件を築こう」と激励しました。支援頂いた地元の石川県議会議員と新居浜支部の徳永支部長は「同じ地域の仲間として自主経営を歓迎する。門出を祝いともに頑張っていこう」と挨拶しました。
その後、渡邊社長は全自交労連の仲間から寄せられた全国的な支援に感謝を述べるとともに、従業員の皆さんと一緒になって会社を再生する決意を述べました。そして、従業員を代表して橋本さんが決意表明し全員で奮闘する思いを伝え、最後に永易所長が元気よくガンバロウを三唱して終了しました。



全自交自動車教習所部会(本田有部会長)は、11月7日、東京市ヶ谷の自治労会館で、自治労全国一般自教労協と共に第50回自教全国交流集会を開催しました。ウェブ会議併用で、全国の自教職場が感染対策や教習生の状況、来年5月から始まる75歳以上免許更新者への技能試験などについて情報交換しました。また同日に第1回の全自交自教部会を開き、春闘の賃上げ要求額を月額1万500円とすることを決めました。
事前に合同で行われた賃金労働条件調査では、57職場中22職場が「教習生増加で多忙」と答え、「教習生減」との回答は2職場にとどまりました。コロナによる学校休校や授業のオンライン化などで教習生・合宿生が増えた教習所が多く2022春闘ではしっかりと分配を求める必要があります。一方、岡山県の運営する教習所が「AT限定19万9500円」という格安料金を導入するなど深刻なダンピングの実態や、組合や組合役員に対する会社側の攻撃の実態も共有されました。
交流会には全自交から本田部会長、高橋学副委員長、愛知県自動車学校労働組合の加藤禎之委員長、広島地本自動車学校支部の東真太郎委員長ら7人が参加。全国一般からは、12道府県の24人が主にウェブで参加しました。最後に本田部会長の団結ガンバロウで閉会しました。


市や金融機関から債務の大幅免除を勝ち取る

勝利に沸くニューヨークのタクシー労働者たち。
3年間にわたって闘い続け、
橋の封鎖やハンストなども行ってきました。
ニューヨークタクシー労働者連盟(NYTWA)が11月3日、大きな勝利を収めました。多くの組合員が「メダリオン」のローン返済に苦しむ中、支払いの上限を一株20万ドルとし、このうち3万ドルを市が負担することを市長と金融機関に認めさせたのです。米国では東海岸を中心に、メダリオンと呼ばれるタクシー営業許可証を各市が発効しています。数を限定している上、売買が認められているため、近年は投機目的で価格が吊り上げられ、100万ドルで取り引きされるバブルの状態でした。 そこへライドシェアが台頭し、ウーバー・リフトが客を奪ったため、ハイタク運転手の水揚げはガタ減り。メダリオン相場も大暴落しました。このため、ニューヨークでは8人の自殺者が出ています。
NYTWAは、こうした悲劇にストップをかけるため、3年にわたり債務免除を訴えてきました。今秋からは運動を強化し、車両デモでブルックリン橋を封鎖したり、市庁舎前でハンストを2週間敢行。市はメダリオンの取引で巨額の収入を得ているため、世論は組合に同情的で、議員らの激励が連日続きました。こうして市側が当初示した2万ドルの新規融資という救済案を大きく書き換えたのです。
闘ってこそ勝利を手にすることができる。ニューヨークの仲間はそう教えてくれています。(国際運輸労連・浦田誠)



全自交関東地連(水野潔委員長)は11月11日、東京の板橋文化会館で第8回定期大会を開き、2021年度の運動方針案や予算案を承認しました。運動方針では「適正化・活性化の推進」を重視。需給調整や適正な運賃の実現、乗務員負担の撤廃、地域の特性を活かした活性化のためMaaS(マース)の協議に積極的に参加していくこと、などを方針としました。
また、政策面ではライドシェア合法化阻止、運転代行業や自家用有償運送の規制強化、乗り放題サービスmobi(モビ)の排除などを掲げ、政党や交運労協と連携していきます。現場ドライバーの品質向上や新型コロナ対策にも取り組みます。
役員改選では水野委員長や直井幸男書記長を再任。副委員長は9人中7人が再任となり、森合剛、掛川正一の両氏が新副委員長となっています。規約を改定し書記次長の定数を1名から2名に増員。坂本良介氏(再任)、本田明広氏(新任)の2人体制となり、本田氏は財政部長も兼務することとなりました。顧問には新たに溝上泰央全自交労連中央執行委員長が選ばれています。


「青山待機所存続を」清掃活動

全自交東京地連の連絡委員会は11月24日、青山公園タクシー待機所の清掃活動を行いました。同所は都内のタクシードライバーにとって数少ない公認の休憩場所ですが、ごみの問題で廃止論も起きており、自らの手で職場を守る活動です。連絡委員会に所属する中小労組の役員ら約20人が、20袋近いごみを拾い集めました。


櫻井委員長「現場の問題が第一」

伊藤実前全自交委員長も見守る中、
櫻井委員長を中心に団結を固めた関西地連
全自交関西地連(櫻井邦広委員長)は、11月7日に大阪市中央区のエルおおさかで、第9回定期大会を開催しました。長期化するコロナ危機での交通崩壊阻止、雇用の安定と生活できる賃金の確保、国や自治体へのタクシー支援の要請行動の継続・強化、ライドシェア絶対阻止、変動運賃制反対、組織の強化・拡大などの2022年度運動方針を全会一致で決定しました。また、任期満了に伴う役員選出では、櫻井委員長、橋口学副委員長、成田次雄書記長、加藤直人書記次長はじめ執行部全員が再任されました。
冒頭、7月10日に病気で逝去された森田貫二・前副委員長に対し全員で黙とう。櫻井委員長が主催者あいさつで、「経験が浅く不安だが一生懸命がんばります」と決意を述べ、「日ごろ乗務しており現場の声は分かっている。現場の乗務員さんの労働問題を第一の基本と考えている。コロナ禍で前途が見えない中で一生懸命頑張って、やっと灯りが見えてきたと思ったら、大阪メトロのAIオンデマンド交通、変動運賃制など様々な問題が起きてきた。ライドシェア問題を運動の力で瀬戸際でくい止めている経験を生かし、今抱えている問題も全自交の団結の力で闘っていきたい」と訴えました。
来賓の伊藤実・前全自交労連中央執行委員長は、早急な5・5割引運賃の是正やライドシェア阻止運動の継続を訴え、最後に「コロナ禍で、今後、事業者からは労働者に対する厳しい姿勢が予想される。労働組合は労働者の最後の砦。団結しか武器はない。団結を固めることによって産業の未
来を切り開くことができる」と述べました。翌日、主な役員と伊藤氏は兵庫県丹波篠山市を訪れ、故待鳥康博・元全自交労連副執行委員長の墓参りをしました。


「被災地の今と人権」テーマにシンポ

憲法理念の実現をめざす第58回大会(第58回護憲大会)が10月30、31日に仙台国際センターで開かれました。大会の動画はyoutubeにアップされていて誰でも視聴することができます。
初日には「震災から10年 被災地の今と基本的人権」と題したシンポジウムが行われ、避難所における女性や外国人、他県からの来訪者などの人権が必ずしも守られなかった実態や、課題解消に向けた取り組みが報告されました。また農地復興において、国が市場原理・競争力重視の大規模経営を重視したために継続を希望した中小農家が休廃業を余儀なくされた問題、沿岸部での住宅再建の課題なども報告されました。
続いて、今年6月に成立した改正改憲手続法についての報告があり、テレビやインターネットでの有料広告の制限や資金に関する規制など、「附則4条」に明記された課題への対応が取られない限り、改憲はできないという理解が共有されました。
2日目はアメリカの軍事戦略に沿って、南西諸島の軍事基地化が進んでいる現状などが報告されました。また旧優生保護法の国賠訴訟についても報告があり、非行少年の更生施設に入れられていた際に、同意なく精管切除手術をされ、その事実を妻にも言えず苦しんできた原告男性の悲痛な思いが紹介されました。
東日本大震災当時の避難所。
運営は男性中心で女性への配慮に欠ける
課題がありました。



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