神戸市
苦境に理解を示すも支援には難色
兵庫県交運労協ハイタク部会は4月12日、神戸市に対し、コロナ禍で壊滅的被害を受けているタクシーの窮状と産業維持のための支援を要請しました。
北坂隆生ハイタク部会長、成田次雄・同部会事務長、田中滋修・私鉄関西ハイタク労連委員長、板橋一信・ポートグループ労組委員長の4名は、神戸市役所を訪れ、池田林太郎市議をはじめ神戸市議会立憲民主党議員団6名全員が同席する中、久元喜造市長に要望書を手交しました。
要望書の主な内容は、①乗客と運転者への更なる感染防止対策強化の支援(高効率空気清浄機、空気清浄モニターの設置費用の国との協調支援)、②公共交通事業継続のための支援、③ワクチン輸送におけるタクシーの積極的活用等6項目。
久元市長は、「タクシー事業が非常に苦しい状況にあることはよく知っている。空気清浄機の設置については県がどのように捉えるかである」と述べるとともに、ワクチン接種のタクシー活用については、「財源の問題もあり、不公平にならないようにしなければならない」と述べるに留まりました。
神戸市長への要請行動の様子
堀越市長(1番左)に要請書を手交
川西市
持続的にタクシーの利用を増やす施策を
4月22日、成田ハイタク部会事務長、田中ハイタク労連委員長、大南同労連書記長、森田貫二・全自交大阪地連委員長の4名は、川西市役所市長室を訪れ、越田謙治郎市長に会い、要望書を直接手渡しました。要請の場には、岡留美市会議員が同席し、川西市は越田市長と五島孝裕・土木部長、富本幸二郎・ワクチン接種対策本部事務局責任者3名が応対しました。
要望の概要説明を受けた越田市長は、「昨年10月に、市内に事業場があるタクシー会社への事業支援として、1台当たり2万円を上限に、消毒液や隔壁シートの設置などの費用を助成した」と述べるとともに、公共交通機関への新たな支援策が必要であるという認識を示しました。「財政難のため、タクシーに限っての支援策はなかなか難しい。県の動きを見ながら判断したい」と述べました。
コロナワクチン接種については、「高齢者の60%は市内2か所に設けている会場に来てもらおうと思っている。約2万7千人になるが、その場合の移動手段は、路線バスや市の用意したバスで移動してもらう計画。タクシーの活用は今のところ考えていない」という回答でした。
その後、部会の方から、「川西市は山を削って造成した居住地が多く、街には坂が多い。高齢者にとって家からバス停に行くのも困難な所が多いのでは。そういう人達がワクチン接種を受けられなくなってしまう。是非、タクシーを活用してもらいたい」と訴えました。これに対して、「場合によっては、タクシーや福祉タクシーを活用することもあり得る」と回答しました。
最後に、部会の方から、「公共交通のタクシーが疲弊してしまって、維持できなくなれば、高齢化が進んでいる住民の足を奪いかねない。
タクシー産業への支援をお願いしたい。その場合、支給金という形より、持続的にタクシーの利用を増やす観点から検討して欲しい」と再度訴えました。
兵庫県への要請行動の様子
兵庫県
タクシーは重要な交通機関、支援も検討
兵庫県交運労協ハイタク部会は4月21日、兵庫県に対して、コロナ禍で壊滅的被害を受けているタクシーの窮状と産業維持のための支援を要請しました。
北坂ハイタク部会長、成田次雄・同部会事務長ら6名は、黒田一美県会議員と共に、神戸市中央区にある兵庫県庁を訪れ、応対した成田徹一・県土整備部県土企画局長、尾西照法・健康福祉部ワクチン対策班長ら5名に井戸敏三知事宛の要望書を提出しました。
北坂部会長は「コロナ禍でタクシー産業は本当に窮状に陥っており、タクシー労働者は生活できないほどの困窮状態に陥っている。自治体の支援をお願いしたい。高齢者等の移動困難者がワクチン接種会場への足として、ドア・ツー・ドアのタクシーを活用してもらいたい」と支援を要請しました。
県側は「公共交通機関が厳しい状況にあると認識している。感染防止対策に予算措置ができるかどうかは今後の検討課題だ」と述べました。
成田事務長が要望書の趣旨を説明し、「国交省がタクシー事業者への支援を検討するようにと各自治体に連絡しているはず。県の公共交通機関への支援策でタクシーだけ除外されているのでは?このままでは、住民の足としてのタクシー産業が崩壊してしまう」と強く訴えました。
これに対して、県の担当者は「タクシーを重要な公共交通機関としてしっかりと位置づけでいる。国の令和2年度補正予算での感染防止対策への補助制度を踏まえながら新たな支援方策を検討してまいりたい」と答えました。
伊丹市
バスの支援は継続、タクシーは難しい
4月23日、成田次雄・兵庫県交運労協ハイタク部会事務長、田中滋修・私鉄関西ハイタク労連委員長、堀内隆彦同労連書記次長、青木静夫・全自交兵庫地連執行委員の4名は、伊丹市役所の市長室を訪れ、藤原保幸市長に要望書を直接手渡しました。
要請書を手交する場には、保田けんじ市会議員が同席し、伊丹市は藤原市長と今村勉・都市交通部長ら4名が応対しました。
要望の概要説明を受けた藤原市長は、「70歳以上を対象にしたバス代の無料化、市内を路線で網羅した市営バス事業。どちらも助成額が大きいが、市民の移動する権利を守るうえで重要な施策で。今後もどちらも継続していく」と述べました。
ワクチン接種会場までの接種者の輸送にタクシーを活用することやタクシーの感染防止強化、タクシー事業継続に関する支援については、「財政難の折、なかなか難しい」と返答しました。
藤原市長(左3番目)に要請書を手交
京都市
退職者の増加で産業の維持が困難
修学旅行のキャンセルが痛手、呼び戻しに努力
京都交運労協ハイタク部会(部会長=櫻井邦広・全自交京都地連委員長)は、4月15日、京都市中京区にある京都市役所の市長室を訪れ、門川大作市長に直接要望書を提出して、コロナ禍で壊滅的被害を受けているタクシーの窮状と産業維持のための財政支援を要請しました。
要請行動には、櫻井ハイタク部会長、長澤義和・全自交京都地連副委員長、成田次雄・全自交関西地連書記長の3名が出席し、立憲民主党の安井勉市議会議員が同席しました。京都市は、門川市長以下5名が応対しました。
櫻井部会長は「京都市のタクシー売上は前年比で50%以下で全国の中でも最悪の落ち込みだ。タクシーの賃金は売上が半分になったからと言って半分になるわけではない。それ以下に下がってしまう賃金体系だ。私の職場でもどんどん退職者が出ている。このままでは、産業として維持できなくなってしまう」とタクシーの窮状を訴えました。
要請書を受け取る門川市長(右2人目)
門川市長は「市民の足として、また、観光客の足としてタクシーは非常に重要な公共交通機関であると思っている。コロナ禍で京都の打撃が大きい。関西では京都が一番厳しい。大きなしわ寄せで、ぎりぎりの生活を強いられている働き手がタクシー業界からいなくなれば、コロナを乗り越えた時、人手不足になって大変な厳しい状況になってしまう」と懸念を示し、「市民の大切な足を守るためにも、前向きに検討したい」と回答しました。
コロナ以前は京都への修学旅行生は非常に多く、タクシーで観光地を回り、一番の顧客でした。市長は「修学旅行生は今年の3月にはちょっとは来てくれたが、コロナの感染拡大で4月以降のキャンセルが続いている。何とか京都に呼び戻したいと努力している。京都市としては責任を持って対応するから安心してきてくださいと、今まで京都に来てくれた学校には全部直接行って要請した」と述べました。
櫻井部会長から、「修学旅行が他に回ったらそれが帰ってくるのは数年かかる。タクシーで感染しないように空気清浄機の設置等の支援をしてほしい。コロナで公共交通全般で利用客が激減しているが、落ち込んで即給料に反映するのはタクシーだけ」と財政支援を要請しました。
最後に、市長は、「第4波が懸念される。京都市としては財政難で、ここまでの感染拡大を想定していない。国は相当な予備費を使えるので、国へ要請をしっかり行ってタクシーへの支援策を検討したい」と結びました。
要請書を受け取る岡田市長(右2人目)
兵庫県加古川市
接種会場まで往復タクシー券を配布
兵庫県交運労協ハイタク部会(部会長=北坂隆生・全自交兵庫地連委員長)は、4月14日、加古川市に対して、コロナ禍で苦境に立つタクシーの現状を伝え、支援を要請しました。
成田次雄・ハイタク部会事務長、林英雄・加古川タクシー労組委員長、松本幸照・同労組書記長の3名は、加古川市役所を訪れ、岡田康裕市長に要望書を直接手渡しました。稲次誠市議会議員をはじめ連合系労組出身の議員4名が同席しました。
要望の概要説明を受けた岡田市長は、「市内の数か所にワクチン接種会場を設けているが、高齢者の方々が会場に行くためにタクシーを活用する。
全員に、500円のタクシー利用券4枚配布して、2回接種の会場までの往復の運賃の一部に利用してもらう。交通の不便な地域は市でタクシーを貸し切って、高齢者に利用してもらう。5月から、80歳以上から順次接種を行うことになっているのでタクシー業界の方々の協力が必要だ」と述べました。
また、市長はタクシー車内への空気清浄機の設置の要望に対して関心を示しました。
その後、部会の出席者から、「コロナ禍でタクシーの売上が激減している。タクシーは歩合給のため賃金がガタ落ちである。経営者もコロナ特別融資を目一杯借りている。このままでは労使とも死んでしまう」と窮状を訴えました。市長は、「バス路線が縮小している中でタクシーは重要な住民の足であるのでなくなるのは大変困る。加古川市では、今年1月から市内の公共交通不便地域のうちの一部地域で、予約型乗り合いタクシーの社会実験を行っている。デマンドタクシーを市の補助で始めていきたい。タクシーのことはずっと気にかけていたが、働いている方々から厳しい現状を直に聞くことが出来たことで、今後の市政に活かしていきたい」と述べました。
岩手県
会場への高齢者輸送を補助
タクシー活用経費に1億円超
岩手県の達増知事は5月14日の記者会見で新たなコロナ対策で41億円超の補正予算を発表。市町村に医師や看護師を派遣してワクチン接種を支援する経費の他、タクシーを活用した高齢者の接種会場への輸送経費を補助する「新型コロナウイルスワクチン接種市町村輸送機能強化事業費補助」を新規に設け1億円超の予算を盛り込みました。