労働条件改悪や不当解雇は絶対に許さない ~全自交労連副執行委員長(東北地連) 江良 實
2021年はコロナの感染拡大が続き、また、大雪が相まってタクシー労働者にとって営業収入の減少で極めて困難な生活を強いられています。
このような状況の中での2021春闘は、我々ハイタク労働者の労働条件を改善する春闘にしなければなりません。まず、東北地連のすべての単組で要求書を事業者に提出します。要求なくして労働条件の改善はありません。
各単組・支部においては、職場集会開催し、組合員の声を聞き、その声を要求に反映させることで全組合員の意思統一を図ります。組合執行部は要求内容をしっかりと把握したうえで、事業者との団体交渉に臨みます。まず、時間をかけて要求書の趣旨説明をします。団体交渉の内容は組合員にわかりやすく伝えることが重要になります。さらに、非組合員に対しても交渉の内容を語りかけながら、組合加入の働きかけをしていきます。
また、東北には自主経営の職場が秋田地連、岩手地本、山形地本、青森地連にあります。自主経営の職場でも要求書を出し、事業者と組合がしっかりとした意思疎通を図ること、今の事業所の状況どういう現状なのかを認識して組合員にもその現状を職場集会で報告することが大事です。さらに大事なのは、事業所の立ち上げからの経過を教えていくことが必要です。「全自交であったから再建できた」このことを忘れないで、地域の方に愛される公共交通を目指す取り組みが必要です。
今春闘はコロナ禍にあって、労働条件改悪と不当解雇は絶対に許さない闘いを全組合員が一致団結して進めていきます。
感染防止を徹底し、職場と雇用を守る ~全自交労連副執行委員長(関東地連) 水野 潔
新型コロナ感染症の拡大により2度目の緊急事態宣言が1月8日~2月7日までの31日間、東京、千葉、埼玉、神奈川の1都3県に発令されました。
その後、14日には栃木、岐阜、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡にも発令されました。昨年4月7日の緊急事態宣言発令時、関東運輸支局の所管地域となっている山梨県を含めた1都7県の総営収は、前年度対比2月97・3%、3月70・9%から4月35・2%、5月35・0%まで落ち込みました。6月には60%台まで回復し9月には70%台まで回復しました。
今回の2度目の緊急事態宣言で我々のハイタク業界が、更にどれほどの影響を受けるか分からない状況下で迎える2021春闘は、第一に乗務員の感染防止対策の徹底をはかり、職場を守り雇用を維持することが求められます。
昨年4月からの急激な営収の落ち込みで事業者は、休業等を行い雇用調整助成金に頼らざる得ない状況で、事業者の経営を維持する体力も落ちていることは間違いありません。我々のハイタク産業を守っていく為には、新型コロナの感染拡大が収束に向かったとき乗務員の供給不足を招かないようにしなければなりません。利用客が戻りタクシーを必要としたときに、供給不足では、ライドシェアが入り込む隙を与えてしまい結果、現在の状況よりも収入の上がらない産業になりかねません。そのような状況に陥ることのないように、現状の乗務員の雇用を守り続けなくてはなりません。
この様な状況下で2021春闘は非常に大切な春闘となります。乗務員が現在の職場で働き続けられる賃金と、事業を継続する事業者との駆け引きが必要と考えます。新型コロナ感染が収束する数年先を見越して事業者との真摯な話し合いが必要です。
実際の賃金交渉では全自交の掲げる春闘方針を基にした交渉をして事業継続のためにも現存の乗務員の生活の向上はもちろんですが、若年層と女性がタクシーなら高収入を得られると思えるような業界にして乗務員を増やして行くことが、利用者にとって利便性、安全・安心の担保となります。
厳しい春闘となりますが全自交に集う全員が団結して、春闘を闘い抜きましょう。
企業内最低賃金協定と休業補償の増額めざす ~全自交労連副執行委員長(中部地連) 本田 有
労働集約型産業の代表的な存在であるタクシー産業は、これまで如何にドライバーを集め、如何に車両を動かすかを主たる営業施策として取り組んできた。
しかし、現在は如何にドライバーを休ませ、如何に車両を止めるかといった、今までに無い方法でコロナ不況に対応している。
確かに事業継続のためには、感染予防の観点からも国の助成制度を活用した休業措置は有効である。しかしながら、そのしわ寄せが労働者にだけ降りかかっていてはいけない。実際、コロナ不況による営収の低下と休業の実施によりタクシー労働者の賃金は休業補償を加えても大幅に減少している。事業継続には雇用維持が絶対必要条件であり、その雇用維持には最低限の生活が出来る賃金を受け取ることが大前提である。企業による「公共交通従事者としての社会的使命感」の労働者への押し付けや、コロナ不況を理由にした安易で一方的な労働条件の低下を許してはいけない。
21春闘では、今もなおタクシー労働者として感染のリスクと闘いながら奮闘している仲間が、これからも安心して働き続けることが出来る環境を企業に整えさせることが命題となる。これまで最低賃金の底上げなど、様々な経営コストの増加への対応を長時間労働や運賃改定を中心としてきていた企業に対し、本来行うべきは生産性向上への取組みであり、同時に企業にとっての最大の経営資源は「人材」であることを改めて認識させ、タクシー労働者がこれからも安心して働き続けられるよう、更なる感染予防への取組みと、生活し得る賃金の獲得のため全自交労連の方針にある企業内最低賃金協定の締結や休業補償額の増額を中心に求めていく。
法令違反を一掃するため未組織職場への組織拡大行動を ~全自交労連副執行委員長(関西地連) 北坂 隆生
昨年の春闘状況を振り返れば、新型コロナウイルス感染拡大によって、営業収入の激減が大幅な賃金ダウンにつながり、生活維持が困難な状況に陥りました。2020春闘の取り組みは、職場で働く仲間の命と生活、雇用を守る闘いに終始した事と思われます。2021春闘もウイルスの感染爆発による、2度目の緊急事態宣言発令により、ハイタク産業の壊滅的状況は免れません。
昨年は、タクシー事業者が休業補償をできずに稼働させ、その結果、営収の大幅な低下で労働者は極端な賃金ダウンとなり生活ができない状況に陥りましたが、タクシー事業者は窮状打開策を労働側への合理化・賃下げ・労働強化などに血道をあげ、労働組合が無い職場においては最低賃金法さえ順守しない事業者が多く見受けられました。2021春闘は、これまでの闘いに加え、事業者に対しての監視・点検活動の課題にも取り組み、法令違反を一掃することと、労働組合未組織職場への組織拡大行動も重要となります。
また、タクシー産業は国民・市民の身近な公共交通機関としての役割をしっかりと担っていかなくてはなりません。これまでは、郡部・交通空白地域を中心として、ボランティア・NPOによる自家用有償運送事業の拡大が進み、全国的に各地域の自治体や関係団体による地域公共交通網計画が結果的にはタクシー産業の衰退につながり、タクシー運転者の職場が奪われかねない状況を作ってきたことを確認し、安易に拡大させない取り組みも大変重要となります。
エッセンシャルワーカーの労働条件改善・向上へ ~全自交北海道地連執行委員長 鈴木 久雄
昨年に猛威を振るった新型コロナウイルス感染症は、冬が近づくにつれ勢力を拡大し、第3波は北海道が感染率で先行していたが、12月に入り本州で拡大し、各地で感染爆発が起きている。冬期間は空気が乾燥していること、暖房のため換気がおろそかになる等のことから油断することはできない。感染リスクを抱えながらコロナ禍の最前線で働くハイタク乗務員の命と生活を守るための政策を実行させるためには、労働組合の団結した力が必要だ。国内においては、安倍前首相の病気を理由とする退任表明から、安倍路線を継承すると言って就任した「菅首相」は、安倍内閣の「森・加計・桜」等の利権政治、公文書の「隠ぺい」「改ざん」で社会の公正を破壊し、コロナ危機においても無為無策であった悪い部分を見事に継承し、第203回臨時国会において、日本学術会議の任命問題や「桜を見る会」「政治と金」を巡る等々の対応について首相は「答弁を控える」「答える立場にない」などを111回繰り返したことを例に挙げるまでもない。
1月7日に第2回目の緊急事態宣言を東京・神奈川・埼玉、千葉に出したが、休業や自粛を要請する対象を限定していることから、東京において1日当たり500人以下とすることに対する効果に懸念が出されている。また、世界各国で新型コロナ対策として行われている金融緩和策によってだぶついた資金が、倒産の危機に瀕している中小零細事業者や生活困窮者にいきわたらず、株の投資に向けられ、日本においてもリーマンショック前の株価を大きく超え、バブル時代に近づきつつある。実体経済は、コロナ禍で青色吐息の状況であり、1991年のバブル崩壊と同様に株価に関係のない私たち一般庶民に影響が出ないことを祈るのみである。
「出来高払いの補償給」制度の協定化進める ~全自交関西地連執行委員長 加藤 直人
昨年に続き、コロナ禍でハイタク業界が瀕死の状況下での春闘になり、要求の選択肢が非常に限られる中で、関西地連傘下組織は組合員の生活を守る為に奮闘しています。
大阪府、京都府、兵庫県では緊急事態宣言が発出され、飲食店の時短営業などに伴い、人の移動が極端に減少する中、事業の継続を優先せざるを得ず、休業を選択する事業所が多数を占めています。
各組織は休業対象者の選定や休業手当の額についての交渉をほぼまとめていますが、中には金融機関からの借入が不可能なところもあり、休業しないところでは最低賃金支給の保障を取り付けている組織もありますが、それすらも拒む事業者もあり、その組織への支援が急務と考えています。
宣言解除後を見据えて、2021春闘の具体的要求を、まとめる作業をしていますが、昨年と同様に輸送需要の回復は期待できず、労働者が生活確保できる賃金要求と同時に、その為に事業者が行うべき事業の効率化についても、それぞれの組織毎に具体的な提案が必要です。危機的な状況である事は、労使共に強く認識しており、タク特法における特定地域計画に消極的だった事業者も、倒産・廃業の瀬戸際で事業継続に必要な対応を迫られていることは理解せざるを得ず、この期にタクシー事業の適正化を進めさせ、コロナ危機解消後のハイタク労働者が少しでも働きやすい労働条件を勝ち取る春闘だと考えています。
コロナ禍でも乗務しなければならない方は、最低賃金が支給されなければなりませんが、それぞれの事情で多く稼がなければならない人も居り、その人が幾ら頑張っても最低賃金しか得られないときは、人より高額な社会保険料、住民税が控除されると、とても生活できる賃金にはならず、昨年、問題提起した労基法第27条に基づく出来高払制の保障給制度の導入が必要となります。昨年、保障給問題を労働基準監督署に持ち込みましたが、就業規則、労働協約に規定されていなければ、指導しか出来ないのが現行法制の限界であり、春闘要求に取り入れ、労働協約化・就業規則化を目指します。
2021年もタクシー産業は、新型コロナ感染症と戦いながら、重要な公共交通として、市民の生活やビジネス・観光を日常的に支え、災害発生時も「移動における最後の拠り所」として役割を果たしていかなければならない。ハイタク産業が地域公共交通として十分に機能し、利用者利便と安全・安心を提供し続けるためには、最前線で働く私たちエッセンシャルワーカーであるハイタク乗務員の賃金・労働条件改善・向上なくして不可能だ。2021春闘を全力で闘い、長期化するコロナ危機に諦めることなく立ち向かい、労働組合の団結した力と行動で戦後最大の危機を乗り越えて行くために共に奮闘する。
平均賃金100%の休業補償と最賃の確実な支払い求める ~全自交中国地連執行委員長 北岡 博文
中国地連は、例年、本部の春闘方針(案)に沿って春闘を闘ってきました。2021春闘においても本部方針に沿った方針とします。新型コロナ感染症の第1波、第2波、現在の第3波の感染拡大により、中国地方も感染者の高止まり傾向にあります。感染防止対策として、飲食店の休業・時短営業、不要不急の外出控え、テレワーク等による生活様式の変化の影響をタクシーはまともに受け大幅な営収低下により最低賃金に抵触する乗務員が大半を占めるという大変な状況にあります。雇用調整助成金の特例措置などを活用し、感染リスクの高い乗務員に対し休業日を設け平均賃金の100%の支給を求めます。また、大幅な営収低下により、最低賃金抵触者への補償のチェック等を含め、各地本において2021春闘統一要求の決定を行います。
しっかり要求し、成果を勝ち取る春闘に ~全自交四国地連執行委員長 傍士 帯夫
昨年は新型コロナウイルスの感染拡大により、一年を通して経験したことのないような営収の落ち込みでした。現在も収束が見えない中での2021春闘を向かえることになります。
コロナ禍によって事業者も経営危機に陥っているのも確かですが、このことによって労働者の賃金の切り下げがあってはなりません。現在、主流となっている歩合給中心の賃金体系は営業収入の減少がそのまま賃金の減少につながり、タクシー労働者の生活は困難を極めています。
厳しい春闘交渉になることは予想されますが、要求はしっかりしていく。どのような形であれ、何らかの成果が得られるよう取り組みます。
また、かつて主流だった固定給中心のいわゆるA型賃金を復活し、さらに固定給部分は安定した生活が送れるような金額であることを求めていきます。
乗務員不足の解消のためにも、タクシー労働者の賃金・労働条件が改善されなければなりません。365日24時間、住民の移動を確保するためエッセンシャルワーカーとして働くタクシー労働者にふさわしい賃金・労働条件を求めて積極的に交渉します。
コロナに負けず組合員の生活を守る闘いを ~全自交九州地連執行委員長 西本 俊昭
菅政権の危機感の無さ、後手後手の政策により中々終息が見えないコロナ禍において、それぞれで大変なご苦労をされていることと思います。
九州では依然として休業補償を貰いながらの時短就労等が継続している地区、それから最賃を補償しながら休業を停止し、時短での通常勤務・通常賃金に戻している地区等、九州各県・各事業所でのバラつきと営業収益の格差はありますが、組合員の収入減はまだまだ続いている状況です。
そのような中で熊本県においては、経営合理化と収益性向上、採用強化を目的に全自交組織のある大手グループ会社、そうでないグループ会社の合併及び4月新会社設立が発表されました。そもそもタクシー業界での合併・新会社設立は全国でも例がなく、今後とも警戒していかなければなりません。
2021春闘は昨年同様、非常に厳しい春闘が予想されますが、私たち労働組合には、組合員の生活を守る大きな責務があります。コロナに負けず組合員の生活と雇用を守るため、九州地連全組合員が一致団結をし、全国の全自交の仲間とスクラムを組んでこの難局に勝利しましょう。