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団結力でコロナ危機を乗り越える2021春闘~社会の脆弱さを賃上げで克服~

20春闘でこぶしを突き上げる全自交の仲間

はじめに

新型コロナ感染症の拡大は、これまで蓄積されてきた社会の矛盾をあぶり出すとともに、その矛盾をより深刻にしています。安倍内閣の長期政権の中で、大企業・富裕層優遇の政策が続き、「分厚い中間層」を破壊しながら貧富の格差が拡大し、非正規労働者の増加に比例して労働者の実質賃金は下がり続けてきました。また、2度にわたる消費税増税で消費を冷え込ませ、緊縮財政の下で社会保障が削り取られてきた結果、超少子化・高齢化に歯止めがか
からず、労働人口の縮小も進み、将来不安が蔓延する社会に変えられてきました。そこに、コロナ禍が社会を襲い、国民の命と生活を脅かしながら、「医療崩壊」「雇用崩壊」「交通崩壊」が叫ばれる程、深刻な危機をつくり出しています。この間の消費税増税、医療・福祉予算の削減、非正規労働者の拡大、年金の減額、地方切り捨て等を通して「安定した持続可能な国家」の要素が失われてきましたが、今回のコロナ危機で日本社会脆弱性が露呈したといわなければなりません。2021春闘は、日本社会の抱える課題に加え、コロナ禍によって明らかとなった社会の脆弱さを克服するために積極的に闘います。
タクシー産業は、重要な公共交通として、市民生活やビジネス・観光を日常的に支え、災害発生時も「移動における最後の拠り所」として役割を果たしてきました。コロナ禍の中でもエッセンシャルワーカー(生活維持に欠かせない職業に従事する労働者)として患者や医療関係者の輸送をはじめ、感染のリスクが高い高齢者や免許返納者等の通院・買い物等の生活交通を支えるとともに、近年では路線バス撤退後のデマンド交通や児童の通学も担っています。自ら感染リスクを抱えながらコロナ禍の最前線で働くハイタク乗務員の命と生活を守るための政策を実行させるためには、労働組合の団結した力が必要です。2021春闘を全力で闘い、長期化するコロナ危機に諦めることなく立ち向かい、労働組合の団結した力と行動で戦後最大の危機を乗り越えて行くことが求められています。


Ⅰ.春闘を取り巻く情勢と課題

1.新型コロナ感染状況

一時的な収束を見せた新型コロナ感染症でしたが、7月半ばから第2波の感染拡大期に突入。若者を中心に無症状の感染者が多く存在することを知りながら政府は検査を怠るばかりか、「GOTOキャンペーン」を積極的に推進し、地方都市にまで感染を拡散させました。10月から11月にかけて感染者が急増し、現在、過去最高の感染者数を記録して第3波の感染拡大を迎えています。重症者数が過去最多となり医療崩壊が危惧される深刻な状況に突入しました。「医療崩壊」を起こさないための大胆な医療支援が早急に求められています。 
世界的には10月から最悪の感染拡大期を迎え、11月8日には感染者が5000万人を突破し、さらに増え続けている状況にあります。

2.世界情勢

全世界で新型コロナウイルス感染症により、9000万人近くの人が2020年中に極度の貧困に陥ると予想されています。一方ではワクチンの開発はかつてない速さで進められているとともに、財政・通貨等で各国が大規模な対応を取ったことにより今のところ金融崩壊の再来は避けられていますが、経済がコロナ前の水準を取り戻す道のりは困難になっています。
アメリカでは大統領選挙が行われ、大接戦の末11月8日にはバイデン氏の当選確実が報じられました。しかし、アメリカ国内の分断も深刻でコロナ感染防止対策を軽視し、黒人差別反対運動を弾圧してきたトランプ政治のツケがアメリカ社会を深刻なものにしています。外交面でも早期に米中関係が修復されることはないとみられています。
国際社会は、新型コロナという「人類共通の敵」と協力して戦い、増幅された社会的格差・分断を許さず、医療体制強化と失業・貧困対策を強力に推進し、社会が軌道に乗るまでの移行期をしっかり支え抜くことが求められます。

3.国内情勢

日本経済は、新型コロナの感染拡大が社会を襲い、大きなダメージを受けました。東京オリンピックの開催を最優先させ、訪日中国人観光客の渡航を止めることなく感染を拡大させた安倍政権の初動の失敗とその後の感染防止や生活保障での無為無策を厳しく批判しなければなりません。
新型コロナの感染拡大で日本経済の半分以上を占める国内消費が大幅に減少するとともに、輸出量も激減しており、「内需・外需総崩れ」の様相を呈しています。今回のコロナ不況による倒産・失業・貧困の連鎖を阻止し、中小企業支援・雇用維持・需要回復の軌道を何としても作り出し、コロナ危機を乗り越えて行かなければなりません。とりわけ、コロナ禍で大きな影響を受けたエッセンシャルワーカーへの支援を確実に実施させなければなりません。
菅政権は、コロナ対策に全力をあげるべき時期に日本学術会議の任命を拒否し、その理由を全く説明できない体たらくや強引に推し進めた「GOTOキャンペーン」により全国的な感染拡大を引き起こし、医療崩壊の危機を高めてきたことによって支持率を大きく低下させています。次期衆議院総選挙で政権交代を実現し、命と生活を守る政策で戦後最大の危機となったコロナ危機を乗り越える政治選択が求められています。

4.倒産・廃業の加速と失業者の増加

新型コロナ感染症の影響で倒産に追い込まれる企業が相次ぎ、1月から10月までに休業・廃業や解散した企業は4万3802社にのぼり、このペースで推移した場合、年間で5万3000社を超える可能性が指摘されています。今後は中小企業の廃業も加速し、地域経済への影響が懸念されます。
新型コロナの感染拡大は、雇用情勢にも大きな影響を与えています。6月に解雇・雇い止めになった労働者数は見込みを含め2万人を超え、その後は1カ月に1万人のペースで増加し続け、11月6日には7万人を突破しました。雇用調整助成金の特例も来年2月末まで延長されましたが、特例期間が切れれば失業者はさらに増加すると予想されており、「雇用崩壊」と言える深刻な状況にあります。

5.賃金の低下

コロナ危機により、賃金の下落が鮮明になっています。本年1月と2月の現金給与総額は対前年同月比プラスで推移してきましたが緊急事態宣言が出された4月からマイナスに転じ(▲0・6%)、5月は▲2・3%、6月は▲2・0%の落ち込みを記録しました。9月に入ってもマイナス基調から脱していません。影響を大きく受けた職場ではさらに下げ幅が大きくなっています。残業削減が賃金減額に作用し、長期休業を余儀なくされた職場も膨大な数に上っています。コロナ危機の長期化は、雇用不安を高めながら賃金低下を常態化する危険があります。経済状況がコロナ前に戻るのが2023年~24年という予想も出されており、雇用不安が高まる中の長期にわたる賃金下落が消費意欲を一段と低下させ回復を遅らせる要因となるという悪循環を断ち切るためにも、国の大胆な財政出動による直接的な生活支援とともに、2021春闘での積極的な賃金闘争の展開と社会的波及が求められます。

6.公共交通存続の危機

新型コロナ感染症は、公共交通の需要を急激に奪い、「交通崩壊」の危機を作り出してきました。タクシー産業の営業収入は、かつて経験したことのない下げ幅となりました。6月から徐々に回復していますが、今なお約3割の需要を失っている状況にあります。
生活に欠かせない公共交通は緊急事態宣言が発せられた期間も国交省から事業の継続を要請され、感染リスクを抱えながら運行してきました。
国や自治体あげて「交通崩壊」を防ぐために、感染防止策、事業継続支援、危険手当の支給等の対策を講じ、公共交通を守り抜くことが求められています。


Ⅱ.ハイタク産業の動向

1.感染拡大によるタクシーの営業収入への影響

緊急事態宣言が発せられた4月・5月に全国平均で対前年比37%台まで激減しましたが、6月には約60%、7月は66・8%まで回復しました。
しかし、7月下旬から「GOTOキャンペーン」を開始すると、全国で感染者が急増し、第2波の感染拡大となり、回復基調にあったタクシーの営業収入も8月は対前年比60%を割り込み、11月には第3波の感染拡大期に突入し影響の長期化が懸念されます。

2.自治体のタクシー支援の広がり

国は総額3兆円の地方創成臨時交付金を確保し、新型コロナ対策を講ずる中、全自交労連は地方議員等と連携しながら要請行動を展開し、タクシー産業の苦境を訴え地域公共交通を守る取り組みを自治体に求めました。10月30日現在の自治体によるタクシー支援事業数は、44の都道府県で62事業、397市区町村で413事業となっています。北海道・旭川市は第6次緊急対策でタクシー運転従事者に「1人・2万円」の慰労金支給を決定しました。エッセンシャルワーカーとして働くタクシー乗務員への直接支援を全国に拡大するよう運動を強化していきます。

3.ライドシェア導入をめぐる動き

新型コロナの感染拡大と東京五輪の開催延期でライドシェア解禁の動きは弱まり、謝礼方式で白タクまがいの行為を繰り返してきた東京のCREWもサービスを終了するところまで追い込まれています。
しかし、5月27日に改正地域公共交通活性化再生法が成立し、規制が緩和されており自家用有償運送の安易な拡大に警戒しなければなりません。
また、竹中平蔵氏は「スーパーシティではライドシェアもできる」と豪語し、ライドシェア解禁を狙っています。国家戦略特区でスーパーシティの迅速な実現を求め、春には区域指定し、高齢者の通院に「ボランティア・タクシー事業をタクシー事業者自ら廉価に展開」する構想を紹介しており警戒が必要です。

4.タクシー適正化・活性化に向けた課題

国土交通省は「新型コロナの影響で輸送実績の急減が明らか」として準特定地域の指定解除を2021年9月31日まで見送ることとしました。
今年4月以降の輸送実績を勘案すれば極度な供給過剰にあることは明白です。新型コロナの感染状況とタクシー需要への影響を分析しながら適正需給の確立に向けた施策を地域が協調して取り組むことが求められます。
コロナ危機を乗り越えるための運賃改定について真剣な議論が必要です。輸送実績(全タク連・サンプル調査)を見ても2月に運賃改定した青森・埼玉・神奈川・高知・長崎の5県では9月に対前年度比80%を超える回復を見せ、運賃改定地域(24地域)の単純平均でも9月73・8%となっており、運賃改定がなかった地域と比較して11%以上も高く回復しています。新潟A地区で運賃改定申請が出されていますがコロナ禍における適正運賃の確立に向けて前進することが望まれます。

5.タクシー労働者の賃金・労働条件

2019年タクシー運転者(男)の全国平均・月間実労働時間数は、195時間で前年と比べ1時間長くなり、全産業(男)との比較で17時間長くなっています。タクシー運転者の推計年収は360万円(前年348万円)であり、全産業(男)の561万円との格差は実に201万円です。
また、タクシー産業内部の地域間格差も拡大している現状にあります。


Ⅲ.春闘の取り組みの基調

1.エッセンシャルワーカーにふさわしい賃金に改善

コロナ危機の長期化の影響で営業収入が激減し、タクシー労働者の生活は困難を極めており、感染リスクを抱えながらエッセンシャルワーカーとして働くハイタク労働者の労働条件を改善することは社会的に重要な課題です。

2.他産業との格差を是正し、魅力のある労働条件を!

2021春闘は、他産業との格差を是正し、魅力ある賃金・労働条件を確立するために全力を上げる春闘です。長時間労働にさらされていながら生活が維持できない労働条件を背負わされているタクシー労働者の厳しい現状を全力で突破していきましょう。

3.公共交通を守る政策の実現とライドシェア導入阻止の闘い

コロナ危機により需要が激減し、「交通崩壊」の危機が叫ばれる状況が生み出されています。2021春闘は、職場での賃金改善要求とともに、公共交通を守るための政策闘争を車の両輪として闘うことが求められています。国や自治体に継続的支援を強く求めます。また、タクシーの存立基盤を破壊する白タク合法化を絶対に阻止する闘いを継続し、国家戦略特区でのライドシェア解禁を阻止しなければなりません。

4.「ブラック企業」を追い出し、適正需給・適正運賃の確立へ

コロナ危機による需要の長期減退の中で適正車両数について真剣に協議し、適正需給を確立することで法律の趣旨・目的である労働条件の確保・向上を実現する必要があります。また、法令違反を繰り返す悪質な「ブラック企業」に対する監視・摘発をコロナ禍においてこそ強化し、公正競争確保の観点からも市場から追い出すために全力をあげなければなりません。


Ⅳ.賃金・労働条件改善の要求

1.2021春闘の賃金要求

●コロナ関連要求

1.タクシー乗務員は新型コロナの感染リスクを日々抱えながら勤務しており、勤務時の危険手当(1労働日・1万円)の支給を求めます。また、マスク・消毒液の支給や飛沫感染防止対策、空気清浄機等の車内感染防止対策をしっかり行うよう要求します。
タクシー乗務により新型コロナに感染した場合には、賃金の全額補償について要求します。また、家族に感染者が出て、濃厚接触者として保健所から自宅待機を要請された場合には生活保障と感染防止の観点から特別有給休暇を付与する等の対応を求めます。その他、会社の判断で自宅待機を命じた場合は休業手当の支給を求めます。

2.雇用調整助成金(コロナ特例)の制度活用を促し、休業手当の「平均賃金100%」支給を求めるとともに、「休業協力一時金」の支給を求めます。

3.コロナの感染拡大による急激な需要減退が起きた場合には、労使の真摯な協議と合意のもとに勤務シフトの変更や休業の実施規模等を決定することを要求します。

●賃金要求

1.改正タクシー特措法の施行時の国会附帯決議である、①累進歩合の廃止、②固定給と歩合給のバランスの取れた給与体系の再構築、③運転者負担の見直し、④過度な遠距離割引の是正、⑤過労防止対策の推進、を完全に履行させ、公共交通を担う労働者にふさわしい労働条件を築くために全力をあげます。

2.賃金の統一要求は賃金体系にかかわらず、生活維持分と賃金回復分として組合員1人当たり月額1万円を要求します。また、他産業との格差是正分として、賃金要求とは別に一時金の新設・増額を強く求めます。さらに、退職金制度について、新設・増額を要求します。

3.年10日以上の有給休暇が付与されている労働者に対し、年5日以上有給休暇を確実に取得させます。あわせて、有給休暇の手当改善(仮想営収方式の導入等)と特別有給休暇の改善を要求します。有給休暇が取得しやすい環境を整備します。

4.運転者最低賃金の創設に向けて、「時間額1100円」以上または「地域最低賃金時間額+200円」以上の企業内最低賃金協定の締結を要求します。

5.雇用形態の違いによる差別がないよう、「同一労働・同一賃金」を求めます。

●コロナ禍での労働条件改悪と不当解雇を許さない闘い(略)

●悪質事業者の排除

確信犯的に法令を無視して生き延びようとする悪質事業者を許してはなりません。
公正な競争が阻害されることがないようタクシー職場の違法行為を一掃するために全力をあげます。


Ⅴ.ハイタク産業の政策要求

1.新型コロナ感染拡大による「交通崩壊」を防ぎ、公共交通を守る取り組み

(1)感染防止と乗務員への支援

①乗務員の感染防止のためにマスク・消毒液等の資材の確保について支援を求めます。また、感染者輸送など感染リスクが特に高い輸送については、運転席を隔離する飛沫感染防止策や高性能の空気清浄機の設置措置を講じる必要がありますが、その設置費用の補助を要求します。

②収束までの期間、1乗務毎に「日額1万円(2労働日・2万円)」の「危険手当」の支給を要求します。

③乗務により新型コロナに感染した場合、完治するまでの間、賃金を全額保証するよう求めます。

④新型コロナ感染拡大による影響で休業した場合、雇用調整助成金(新型コロナ特例)が活用できるよう、特例期間の延長と制度そのものの利用期間(1年間)の延長を求めます。また、休業補償の日額算出において総賃金を労働日数で除する方法や減収以前の仮想営収方式を採用し、賃金が減額しないよう要求します。

⑤新型コロナの影響による経営悪化を理由に、休業手当の不支給や最低賃金違反を繰り返す悪質事業者が拡大している状況にあることから、労働者の生活維持と公正競争を確保する観点から労働基準法・最低賃金法違反の摘発や改善基準告示・改善基準通達を守らない事業所への指導強化を要求します。

(2)事業支援と利用者への支援

①生活に欠かせない公共交通としてタクシーの事業が継続できるよう、融資制度だけでなく減収分を補う特別な支援金や運行経費を直接支える支援制度を確立するよう要求します。

②新型コロナ感染拡大により、外出時の感染リスクが高まることから、妊婦、高齢者、障がい者等の交通弱者が安心して買い物や検診・診察等ができるよう、タクシー利用券の配布を要求します。

③タクシーの有償貨物運送の利用継続のために配送料の助成措置を延長するよう要求します。

④新型コロナ感染拡大で甚大な影響を受けた飲食店やタクシー事業を支えるため、感染状況を見ながらプレミアム付きタクシー利用券やタクシー利用にも併用できる飲食券を発行するなど、効果的な経済対策を要求します。

(3)タクシー適正化・活性化の推進

①改正タクシー特措法を実効性あるものとするために、特定地域の指定基準の見直しを求め、新型コロナ感染拡大で労働条件が大幅に低下した地域を特定・準特定地域に指定し、悪化した労働条件の改善のためにコロナ禍における適正台数と運賃の適正化及び感染防止策、タクシー事業の活性化策を協議・実行するよう求めます。

②労働条件の向上と適正利潤が捻出されるよう、適正な運賃への改定を要求します。

③相乗りタクシー、定期券タクシー、変動迎車料金等の新たな運賃制度が導入されましたが、その新たな運賃制度の導入が運送収入を低下させ、また、労働者にリスクを負わせることのないよう、しっかりと検証し、運送収入の低下や労働者負担の増加が懸念される場合は事業者判断で導入しないよう求めます。
また、新たな運賃制度の導入に当たっては、実証実験段階から労働組合との協議機関を設置し、労働者の声を反映させるとともに、検証作業においても労働組合を参加させるよう求めます。

2.ライドシェア導入を許さず、自家用有償運送の安易な拡大に反対

(1)「スーパーシティ構想」に反対

①政府が進める「スーパーシティ構想」は、2020年12月を目途にスーパーシティを公募し、2021年春には区域指定して「先端的サービスの開発・インフラ整備等に、関係省庁の事業を集中投資」するとしていまが、構想の事例として、高齢者の通院に「ボランティア・タクシー事業をタクシー事業者自ら廉価に展開」する構想を紹介しており、ライドシェアにつながるこうした安易な有償運送の拡大に反対します。

②ライドシェア反対又は慎重審議を求める地方議会の意見書採択運動を引き続き取り組みます。

(2)ライドシェア不要の「地域公共交通計画」作成推進

①改正地域公共交通活性化・再生法に基づきライドシェア不要の「地域公共交通計画」を作成するよう関係自治体への働き掛けを強めます。また、タクシーを地域公共交通の主軸に位置付けて最大限活用し、輸送対象や運営主体、収受できる料金が規制緩和された自家用有償運送制度が安易に拡大しないよう取り組みます。

②様々な形態の白タク行為について取り締まり強化を求めます。また、運転代行についても、白タク等の悪質な違法行為の摘発を求めます。


Ⅵ.闘いの進め方

1.春闘体制の強化

1.各地連・地本及び各単組・支部においては春闘討論集会や学習会、決起集会等の職場集会を開催し、春闘情勢、方針、要求事項についてしっかりとした意思統一をはかります。
また、ストライキ権を確立し、組合員が一体となった闘争体制を築きます。

2.団体交渉の内容を広く組合員に伝えるための「春闘ニュース」等を各職場で発行するよう努力します。

2.要求の提出と妥結の集中化

1.全自交労連第99回中央委員会において2021春闘方針を決定し、それ以降は中央執行委員会のメンバーによる中央闘争委員会を立ち上げ、春闘の情報交換と指導の強化をはかります。

2.すべてのブロック組織、地方連合会・地方本部及び各単組・支部・分会は、要求提出日までにストライキ権(組合員の無記名投票による過半数の賛同)を確立します。

3.要求提出は2月末日までとします。
回答指定日は3月○○日とします(第99回中央委員会において決定します)。

4.闘いのヤマ場には、ストライキを含む「統一行動日」「統一行動ゾーン」「解決促進ゾーン」を設定して交渉を集中させ、解決を促進します。その日程は中央闘争委員会で決定します。

3.春闘における組織拡大の行動展開

1.各単組・支部は、職場の未加入者に対し、春闘期間中に組合加入の働きかけを強化します。執行委員会等で具体的な加入拡大目標とオルグ担当を決めて加入促進をはかります。とりわけ正社員の全員加入、嘱託・定時制の加入促進をめざして全力で取り組みます。

2.地連・地本は、春闘時に地域の全自交未加盟組合や未組織の仲間との交流を組織し、学習会への参加や春闘の情報交換、共同行動を重ねて全自交加盟や労組結成を働きかけます。また、アンケート等を通して対象職場の情報を得ながら、地域の賃金相場を伝え、職場課題の解決をサポートして、労働条件改善とともに、「公正競争確保」「同一地域における労働条件統一」の重要性を訴えます。

3.春闘期間中に、交運労協やハイタクフォーラムをはじめ幅広い共同行動を組織し、国・自治体による公共交通を守るための支援策の必要性やライドシェア反対の行動を組織します。


統合果たし新会社でスタート

労働組合関係者が秋田県大館市に設立した株式会社大館・花矢交通は12月1日、運輸局からタクシー事業の経営許可を受け、2日に湯瀬温泉で「開業を祝う会」を開きました。新会社は、地元で長年にわたり労働運動を中心で担ってきた谷地田恒夫氏と全自交関係者が出資者となり、谷地田氏を代表取締役、大館タクシー労組委員長の小嶋氏、前花矢タクシー労組書記長の石川氏を取締役とする会社として設立しました。新会社は、過去に倒産を乗り越えて労働組合の自主経営を続けてきたユニオン交通大館タクシー営業所と新花矢タクシーの事実上の統合会社です。全自交関係の自主経営会社は全国に14社ありますが、自主経営会社同士の会社統合(組合統合)は初めて。
「開業を祝う会」には秋田県内でともに頑張ってきたユニオン交通秋南タクシーの岩谷取締役(秋南タクシー労働組合委員長)とともに、全自交労連の伊藤中央執行委員長と高橋書記次長、全自交東北地連の江良委員長と森書記長が駆けつけ、開業を祝い、関係者を激励しました。
谷地田社長は「新型コロナの影響もあり厳しい状況下での開業となったが、統合した新会社は雇用を守りコロナ禍を乗り越えるための取り組みでもある。地域住民の移動を支えるとともに、しっかりとしたサービスを提供し、利用者から信頼される会社にしたい」と抱負を語りました。
伊藤中央執行委員長は来賓あいさつで「みんなで力を合わせて新たなスタートを切ったことをお祝いしたい。サービス向上でコロナ禍を乗り越え、地域に欠かせないタクシー会社になってほしい」と激励しました。
小嶋取締役は「多くの協力を得て今がある、期待に応えるために精一杯頑張っていきたい」と感謝と決意を述べました。新会社の組合員は、安全輸送を通して「みんなで雇用を守る会社」「住民の移動を支える会社」として奮闘していく思いを強くしています。
(株)大館・花矢交通本社のタクシー乗り場


経営の健全化で命・雇用・生活を守る

全自交岩手地本は11月31 日、盛岡市内で自主経営研修会を開き、森委員長をはじめ玉川、一関、釜石支部から6名が参加し、全自交労連から高橋書記次長が出席しました。
各社の経営状況を報告し合い、職場の課題について共有し、今後の対策を協議しました。会議では、①雇用調整助成金の受給状況、②標準報酬月額のコロナ休業特例申請、③GOTOトラベルの利用状況、④自治体への支援要請やタクシー利用促進の取り組み状況、⑤デマンド交通等の受注状況が報告されるとともに、一時は半分以下まで落ち込んだ営収が8割まで回復している現状や昼型の勤務シフトの検討課題が出されました。
講演で高橋書記次長は、全国の営収の回復状況を示すとともに、全自交自主経営会社で休業を解消し、7月から黒字転換している職場の事例を紹介。全自交自主経営9社の一般管理費率を比較し、管理部門の効率化が経営維持にとって重要である点を強調しました。また、旭川市の乗務員への慰労金支援を伝え、自治体要請強化も呼びかけました。

意見交換では、「賃金低下に不満もあるが、設立時の原点を再確認し、団結して乗り越えていきたい」、「夜間の稼働低下が深刻で会社の固定費を捻出することも大変。自治体への支援要請等で連携した取り組みを強化したい」との意見が出されました。融資も受けて事業を継続している中、知恵を出し合い情報交換を密にして経営の健全化への道筋をつけ、働く者の命・雇用・生活を守るために全力をあげることを確認して研修会を終えました。


静岡ハイタク連合会の加盟を承認

新規加盟を記念して新調した中部地連の組合旗
全自交中部地方連合会(本田有執行委員長)は11月11日、長野県の「THE SAIHOKUKAN HOTEL」で第9回定期大会を開きました。
新型コロナの感染が再び広まりをみせている中、大会の開催自体が危ぶまれましたが、今大会は長野地連の統合問題と静岡ハイタク連合会の中部地連加盟という二つの大きな議題があり、何としても集まって開催したいという本田委員長の強い思いから、会場における万全の感染対策等を配慮して開催しました。
大会では2019年度活動報告と決算報告、2020年度運動方針と予算を決定するとともに、静岡ハイタク連合会の全自交中部地連加盟が提案され、満場一致で承認されました。
その後、役員の改選が行われ、本田委員長(愛知地連)、石橋副委員長(富山地連)が再選。杉山書記長(愛知地連)が退任し、新たに岡山書記長(愛知地連)が選出されました。
大会の中で静岡の新規加盟を記念して新調された組合旗を各県連代表で掲げ、更なる団結を確認しました。


白タクの増長・ライドシェア拡大に反対

全自交兵庫地連(北坂隆生委員長)は、11月7日、第50回定期大会を神戸市中央区の神戸市教育会館で開きました。
大会にはコロナ感染防止のため来賓者は招かず、出席した役員、代議員も17名という縮小開催となりました。
大会では、新型コロナ感染で危機的状況を強いられているハイタク産業で働く労働者の命と生活と雇用を守るための取り組みとライドシェア導入阻止を目指した新年度運動方針案と予算案を全会一致で採択しました。
北坂委員長は、挨拶で「コロナ禍でハイタク業界も壊滅的状況になっている、3月の小中高の一斉休校、4月の緊急事態宣言の発令で、3月以降、売上額が極端に落ち込んだため、タクシー乗務員は生活を維持することさえ出来ない状況に置かれている。まともな春闘をできる状況ではない。逆に、経営難から合理化案が出るなど、大変厳しい状況となった」と述べるとともに感染は収束にならず、逆に拡大しつつあることに懸念を示し、職場での感染拡大防止対策の徹底を労使で行うよう訴えました。
感染防止を考慮して開かれた定期大会の様子

また「菅政権は、規制改革会議の中でライドシェアを進めようという議論がある。組織挙げて阻止しなければならない」と訴えるとともに、自家用有償運送について「これまでのタクシー運賃の2分の1以下という料金設定が、必要であればこれ以上取ってもよいということが検討されている。白タクの増長・ライドシェアの拡大につながる方向に進んでいるのではないか」と危惧を示しました。
その後、活動報告を雪岡清二書記次長が、新年度運動方針案と予算案を成田次雄書記長がそれぞれ提案し、審議した結果満場一致で承認されました。最後に、北坂委員長の音頭で団結ガンバロウを三唱して奮闘を誓い合いました。


加藤直人委員長 争議に全力挙げた8年、運動の継承を 新委員長に森田貫二氏を選出

挨拶する加藤委員長
全自交大阪地連(加藤直人執行委員長)は11月8日、大阪市中央区の「エルおおさか」で第75回定期大会を開き、猛威を振るう新型コロナウイルスへの対応を柱とした新年度運動方針を決定し、新たな役員体制を確立しました。
主催者を代表して挨拶に立った加藤委員長は8年間務めた執行委員長としての任務を振り返り、「この間、労働委員会闘争や未払い賃金請求訴訟、単組役員の解雇撤回闘争を精力的に闘ってきた。リーダーとしての判断が問われたが全自交は安易な妥協をしないという姿勢が定着したという思いはある。今後の運動展開で継承してほしい」と述べました。
その後、活動経過報告と新年度運動方針案、予算案を提案し、満場一致で承認されました。
任期満了に伴う役員改選では、執行委員長に、森田貫二氏(新任・全相互タクシー労組)、副執行委員長に権藤輝雄氏(新任・大阪トンボ交通労組)と山里広明氏(再任・新大阪タクシー労組)、書記長に橋口学氏(全相互タクシー労組)を選出しました。全自交本部専従役員から大阪での活動に移った森田新委員長は就任挨拶で「8年ぶりに大阪に帰ってきて加藤委員長の後というのは少し荷が重いと思っている。」と述べるとともに、「タクシーは24時間・365日動いており、安全安心は当然のこと。市民一人一人に『何かあればタクシーがある』という安心感を大事にして行きたいと思っている。今回の新型コロナ感染症の影響で廃業や倒産など様々なことが起こっているが、その流れに逆らうべく、年明けから活動を積極的に行っていきたいのでよろしくお願いします」と挨拶し、今後の抱負を語りました。
閉会挨拶後、新委員長の音頭で団結ガンバロウを三唱し、定期大会を終了しました。


会社がチェックオフ認める

大阪地連の全自交朝日自動車労働組合(辰隆博委員長)は昨年11月5日、大阪府労働委員会に不当労働行為の救済申立てを行いましたが、第9回調査が11月26日に大阪府労働委員会で開かれ、自交総連系の組合に認めているチェックオフを全自交系の組合には認めていないことが不当労働行為に該当するかどうかに絞って審査が行われました。
会社側はこの日の労働委員会で「無条件に全自交系の組合とチェックオフ協定を締結する」旨を表明しました。
その後、12月3日に行われた団体交渉において会社側が再度、「チェックオフ協定を締結する」との意思を書面にて提出。これを受けて組合側は1年以上にわたって闘われた不当労働行為の救済申し立てを取り下げました。今回の決着で労使関係の正常化に向け大きく前進しました。



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