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「スーパーシティを考える」~市民の暮らし方、働き方~ 利権による情報独占の危険性に警鐘


シンポジウムで挨拶する宮里弁護士

「交通の安全と労働を考える市民会議」は7月27日、衆議院第二議員会館多目的会議室で「スーパーシティを考える」をテーマにミニシンポジウムを開き、国会議員16名を含む総勢90名が参加し、全自交からも10名が参加しました。
シンポジウムでは、最初に市民会議代表世話人の宮里邦雄弁護士が開会の挨拶を行い、その後、市民会議立上げ賛同人の内田聖子氏(NPO法人アジア太平洋資料センター共同代表)、山崎憲氏(明治大学准教授)、浦田誠氏(国際運輸労連政策部長)の3名が講演しました。各分野からスーパーシティに対する考えや問題点を出し合い、法案に含まれた危険性を指摘する講演内容を参加者は熱心に聞き入っていました。
「スーパーシティ法案」(国家戦略特区法改正案)はコロナ禍で社会が大変な中、政府がどさくさに紛れる形で5月27日に成立させた法案です。
最先端技術を活かした都市づくりを可能とする法律ですが、「便利さ」の一方でプラットホームビジネスでは公平な配分ができず、利権のための情報独占が進み「超監視社会」に繋がる危険をはらんでおり、自治体の「手上げ方式」により政府が認めた地域で可能となる代物です。講演者の話を聞けば、まるで未来都市の夢物語という内容ですが、反面そこには政府から自治体へ至るまでの間、関連企業を介して不明点が山積しています。また、「人の視点」は入っておらず、実現すれば労働者の仕事はいっそう軽く、使用者側からすれば使い勝手の良い物に置き換えられていく危険がある内容となっています。
シンポジウムは講演後の質疑を受けた後に棗一朗日本労働弁護団闘争本部長が総括を行い閉会しました。


営業収入が激減した事業者に県独自の給付を


要請内容を伝える愛媛県交運労協の参加者(右端は菅森実県議、3人目は宮岡氏)

全自交愛媛地本は7月27日、愛媛県交運労協の仲間とともに、愛媛県に対し、新型コロナウイルス感染症対策に係る要請を行いました。
要請は愛媛県交運労協の西田和則議長、宮岡主副議長(全自交愛媛地本書記長)ら三役と菅森実県議で行い、経済労働部産業雇用局労政雇用課の新堀徳明課長ら3名が対応しました。
西田議長が要請書を手渡し、①新型コロナウイルス感染症の影響で営業収入が激減している事業者に県独自の給付型の支援、②「消毒液・マスク」など衛生資材確保に向けた補助金の拡充、③休業等で賃金が減少している労働者に対する給付金や融資制度による支援などを要望しました。
意見交換では、公共交通を担うバス、タクシー、鉄道などの状況を説明し、「廃業したタクシー事業者もいるなど地域社会を支える公共交通機関に甚大な影響が出ている。緊急事態宣言解除後、人の移動も増えてきたが県内においても感染第2波も懸念され、それに対する備えも必要である。そのような状況下で、不特定多数の乗客と接する機会の多い乗務員は、感染リスクを負いながら利用者利便、安全運行に努めている」と、訴えながら地域公共交通が十分機能するよう愛媛県としての実行性ある施策を要請しました。
県の担当者は、県が保証料を負担する四国労働金庫の融資制度を紹介するなどし「県民にとって公共交通機関はインフラとして欠かせない。要望は関係する課にしっかりと伝える」との回答にとどめました。


労働条件の向上めざす

7月29日に、全自交で初めてとなる沖縄県宮古島市でタクシー労組が結成されました(写真)。名称は「全自交宮古島タクシー労働組合連合」です。今年2月20日、連合沖縄より連絡があり、連合宮古地域協議会にて相談を受け、宮古島のタクシー15社の中で初めての労組を全自交として立ち上げました。琉球ハイヤー宮古島営業所の4名が当初の組合員となり、実質所長をしている平良聡氏が委員長になりました(写真中央)。平良氏は過去に連合系の他産別の支部長を東京でしていたこともあり、その人望から宮古島の観光施設や島内外の著名人などからの予約も入るという事です。
4名は島内で別のタクシー会社に勤務していた関係で、他社の運転者とも連絡を取っており、労働条件などでも相談を受けることもあり、近々女性を含む数名が琉球ハイヤーへ移ってくる予定と話していました。
また、宮古島のタクシー会社は制服がなく、個人の自由な恰好での勤務が常態化していることから、琉球ハイヤー宮古島営業所では制服、白の手袋、言葉遣いなど他社にない品質がプライドに繋がり、利用客の獲得につながるという考えで営業しています。全員まだ若く、委員長の平良氏で42歳、書記長の平野敦守氏で45歳、執行委員の奥平茂幸氏で32歳、同・川満瑞穂氏で27歳です。今後宮古島内で一人づつでも組合員を増やして制度や労働条件の向上を目指していただきたいと思います。
今後は全自交沖縄地方連合会に所属し、共同交通分会と(有)共同交通の喜屋武会長に情報共有や相談をしながら活動していく事になっています。


自治体要請の成果を宣伝し結集呼びかけ

全自交岩手地本(森委員長)は7月23日に釜石支部(写真)、8月7日に盛岡支部がそれぞれ組織拡大行動を実施し、全自交岩手地本への結集を呼びかけました。
今回は連合岩手や事業者団体と共同で取り組んだ岩手県内の自治体要請行動を報じた「全自交しんぶん」を主要駅等で配布し、タクシーの支援を自治体に要請して実現してきた成果をタクシー乗務員に伝え、「ともに力を合わせコロナ危機を乗り越え、職場と労働条件を守っていこう」と訴えました。
岩手県内の自治体によるタクシー支援は岩手県と10市町村に拡大しており、事業継続のための支援、感染防止策への助成、市民の移動確保のためのタクシー利用券の配布等が実施されています。岩手地本では、これらの支援を団結した力でさらに拡大させ、組織拡大に繋げていくこととしています。


適正運賃の確立等を求める

意見交換するハイタク部会の参加者
(左から二人目が傍士高地地本委員長)
四国交運労協ハイタク部会は7月29日、四国運輸局にタクシー事業の適正化・活性化、白タク合法化反対などの要請行動を行いました。
今回の要請では、適正運賃の確立、新型コロナウイルス感染症への対策、ライドシェアの実証実験や訪日旅行者を対象とした白タク行為への対策などを求めました。
運輸局からは、運賃問題について「公定幅運賃の下限割れ事業者には指導・勧告のプロセスを踏まえて、本省と協議をしながら方向性を定めていきたい。運賃改定後、新型コロナウイルス感染症の影響により営業収入が急激に落ち込んでいる。適切な時期を見て事業者に労働条件改善状況を公表するよう指導していく」と答え、ライドシェアについては「管内ではライドシェアの実証実験は行われていない。自家用有償運送が適切に活用されるよう運輸局も関わっていく。訪日旅行者を対象とした白タク行為は調査もしているが確認されていない。情報提供をお願いする」とし、「特措法の趣旨を理解してもらえるよう努力し、各種協議会へも積極的に関わって制度が誤った方向へ行かないよう指導していく」などの回答を得ました。








全自交東京地連は7月16日、新型コロナの感染拡大で甚大な影響を受けている都内都議会立憲民主党・民主クラブの交通政策調査会、中村ひろし会長と西沢けいた事務局長に訴えるとともに、東京都知事宛てのコロナ関連の要請書を託し、翌日の17日に多羅尾光睦筆頭副知事に手渡されました(写真)。
東京都内のタクシー産業は、コロナ感染の拡大で外出自粛やテレワークの普及等でタクシー需要は激減しており、タクシー乗務員の生活も困窮を極めています。また、タクシー車内での感染防止にも力を入れ、換気とマスク、手袋の着用をはじめ飛沫感染防止の対策を取り、利用者の輸送1回毎に消毒液を散布するなど万全を期しています。しかし、感染が拡大した4月の売上は対前年比で半分にも満たない状況となり、未だに収束が見込めない状況下で事業を継続しています。
具体的な要請内容は、①タクシー車内における感染防止策への支援、②移動制約者へのタクシー券配布、③公共交通の事業継続のための支援、④タクシー乗務員への危険手当の支給、⑤新たに始めたフードデリバリーへの支援等となっています。
特に感染リスクに日々晒されながら勤務に就くハイタク乗務員に対し、「1労働日・1万円」の危険手当の支給を求めている点は労働現場の深刻さを表しており、第2波の感染拡大が叫ばれている現在、全国に危険手当の要望を拡大させていかなければなりません。
「交通崩壊」を防ぎ、生活に欠かせないタクシーを自治体がしっかり支える施策こそ今最も必要です。



全自交岩手地本(森委員長)は7月25日、盛岡市・勤労福祉会館会議室で第7回執行委員会を開き(写真)、自治体要請の強化や組織拡大行動の実施等、今後の活動について協議しました。
最初に森執行委員長は「新型コロナ感染症の拡大で県内のタクシー業界は大きな傷を負ったが、各地で自治体に苦境を訴えた結果、公共交通に対する支援が拡大している。
この動きを組織拡大に繋げ運動を一層強化してこの危機を乗り切ろう」と挨拶しました。
来賓として出席した全自交労連の高橋書記次長は、①雇用調整助成金のコロナ特例により助成率(解雇なしの中小100%)が見直されるとともに、過去の休業手当も追加で増額支給できること、②感染症の影響で休業し報酬が大幅に下がった場合、標準報酬月額を翌月から改定できるようになったことを伝え、制度の活用を訴えました。また、東北地方のタクシーに対する自治体支援の状況と「地方創成臨時交付金」3兆円の各県・市町村の限度額を示し、「自治体への支援要請を強めよう」と訴えました。
討論では釜石支部の今野委員長が組織拡大行動の報告の中で休業手当を受け取れない会社もあることや、釜石市に対する支援要請を連合・議員と連携して連続的に実施し、成果を上げてきたことを報告しました。その中で「今度、釜石市が1万円分の飲食・タクシー利用券を5000円で販売する取り組みを始める」との説明もなされました。また、東舘書記長が感染防止対策に対する二戸市の助成制度を報告しました。
最後に9月30日に全自交岩手地本定期大会を開くことを決定し、それまでに組織拡大行動を全県で展開することとしました。


~八戸市の自治体支援拡大~

全自交青森地方連合会(後藤委員長)は7月26日、青森市・労働福祉会館で第3回執行委員会を開き(写真)、春闘の最終集約と今後の活動方針を決定しました。
会議には組織内議員の山名文世八戸市議が参加し、議会報告を行いました。その中で山名議員は八戸市の1事業者20万円の支援について議会で質し「地方創成臨時交付金を活用したきめ細かな支援を」と訴え、事業者団体への支援や66%のプレミアムタクシー券(5000円分を3000円で販売・8月初めに7000セット完売)を実現してきたことが述べられました。
また、全自交労連の高橋書記次長は、コロナ感染症の影響による東北地方の現状を説明し、休業した組合員の生活維持のために雇用調整助成金(コロナ特例)と標準報酬月額特例改定の活用を訴えるとともに、自治体へのさらなる支援要請を積極的に取り組むことを呼びかけました。
出席者からはコロナの影響による減収を理由に契約更新を拒む事業者や3カ月にわたる休業を余儀なくされている厳しい現状が報告されました。
これに対し、江良書記長は春闘の総括を行うとともに、会社の不当な言動・行為にしっかり反論し、団結してコロナ危機を乗り越えていくことを訴えました。


「交通崩壊」防ぎコロナ危機を乗り越えよう

全自交東北地連(江良委員長)は8月1日、福島県の飯坂ホテル聚楽で第46回定期大会を開き、加盟6地連地本から代議員が参集し、新年度の運動方針・予算と役員体制を決定しました。当初は6月に開催予定だった定期大会ですが新型コロナの感染拡大を受けて延期し、この日も代議員のみの出席として規模を縮小しながらマスクとフェイスシールドの着用や距離を確保した配置で感染防止対策をとった上での開催となりました。
議長選出後、挨拶に立った江良委員長は「新型コロナの感染拡大の中での開催となったが、困難を乗り越えて進もう」と参加者に訴えました。
全自交労連の伊藤中央執行委員長は来賓挨拶で「スーパーシティー法案も通り、経済同友会の動きもあり、ライドシェア問題は続いている。
コロナ危機を乗り越えてライドシェア導入を阻止しよう」と呼びかけました。東北地方の自主経営を支えてきた谷地田顧問の挨拶後、組織内議員の山名八戸市議が挨拶し「八戸市ではタクシー事業者への助成金に続きプレミアム付きタクシー利用券の販売が始まり好評を博している」と述べました。
森書記長が活動報告を行うとともに、加盟6地連地本から各県の報告を受けました。その後、全自交労連の高橋書記次長がコロナ危機の実態や各種助成制度の活用、自治体独自のタクシー支援の拡大状況を講演し、積極的な活動を呼びかけました。その後、森書記長が運動方針案、予算案、規約改正案を提案し、満場一致で採択されたのち「コロナ危機を団結した力で乗り越えよう!交通崩壊を阻止し、雇用と労働条件を守ろう!」とのスローガンを採択。
次に江良委員長らの再選を決めた役員改選を行い、閉会挨拶後、静かにこぶしを突き上げる団結ガンバロウを三唱して大会を終了しました。
会場では今回の豪雨災害で熊本地本の仲間が被災したことを受け、参加者に救援カンパを呼びかけ、翌日の自主経営学習会と合わせて3万円が集まり、伊藤中央執行委員長に手渡しました。


地域交通の期待に応え、利用者との信頼構築を

6回目となる東日本自主経営学習会(実行委員長・谷地田恒夫)が8月2日福島県の飯坂ホテル聚楽で開かれ、新型コロナの感染拡大で経営が一気に厳しくなる中、東北・新潟の8社・9職場から参加者が集まりました。
東北地連の森書記長が座長を務め、主催者を代表して谷地田氏は「新型コロナの影響で経営は厳しさを増しているが、知恵を出し合いこの危機を乗り越えていこう」と挨拶しました。協賛団体の全自交東北地連を代表し挨拶した江良委員長は「会社を立ち上げたあの時の思いを忘れずに職場を守っていこうと」訴えました。また、新潟地連の海藤書記長は「我々の原点を見つめなおし、サービスの面でも地域の見本になっていく会社にしよう」と呼びかけました。

参加者の自己紹介後、講演1として竹ノ内博美氏(東京交通新聞社)が「これからの地域交通とタクシーの役割」と題して講演しました。竹ノ内氏は①タクシーに対する社会の期待と実態の乖離、②100年に一度のモビリティ改革は運賃・賃金改革でもある、③地域と公共交通のこれから、について述べ、タクシーの期待は高まっており、自治体の支援もタクシーに向かっていることや移動の価値は広まっており従来の受益者負担システムは変化していくことを説明し「今こそタクシー再生のチャンス」と参加者に呼びかけました。また、乗り合い事業や障碍者サポートの具体例を示し、地域・利用者との信頼関係を築けば有事にもニーズは底堅いことを示しました。そして、「これらのサービス提供には歩合給の賃金体系の見直しこそ必要」と述べました。参加者は元気の出る話を真剣に聞き入りました。
次に講演2として電脳交通の「クラウド型配車システム」について説明を受け、会場から多くの質問に答えました。
その後、事務局を務める全自交労連の高橋書記次長がコロナ危機を乗り切るための助成制度の活用や地方創成臨時交付金を利用し全国に拡大している自治体のタクシー支援の重要性を訴える課題提起を行いました。その後、参加している各社から会社・地域の現状や特徴的な取り組み、ぶつかっている課題について出し合いました。
最後に昨年立ち上げた「東日本タクシー事業協同研究会」の今後の運営について確認し、学習会を終えました。


今こそ自治体要請を強めて公共交通を守り抜こう!

新型コロナ感染症の拡大は命を脅かし地域経済に甚大な影響を与えています。地方公共団体の取組を支援するため、2020年度第1次補正予算で1兆円、第2次補正予算で2兆円の地方創生臨時交付金が確保されています。「コロナ対応のための取組である限り、自由にお使いいただくことができます」として、この間、数多くの地方公共団体が、この臨時交付金を活用して、①交通事業の継続支援金、②感染防止対策への助成金、③移動困難者へのタクシー利用券配布等、タクシー・公共交通事業者への独自支援が行われてきました。
第1次補正予算分(1兆円)については、5月29日までに全1788地方公共団体から実施計画が提出されました。現在、各地方公共団体において、第2次補正予算分について実施計画を策定しています。活用事例集では、感染防止対策や地域経済・住民生活の支援に関する事業として、①公共交通(バス、鉄道、旅客船、航空等)応援事業、②地域公共交通機関の高度化支援事業、③外食産業等テイクアウト・配送事業等が明記されています。
今後のスケジュールは先行受付分(7月31日締切)が9月交付予定、最終受付分が11月交付予定となっています。
新型コロナ感染拡大の影響を受け苦境に立たされているタクシー産業の現状を地方公共団体に訴え、生活に欠かせないタクシー等の地域公共交通を守る取り組みとして、強く求めていくことが重要です。




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