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ライドシェア解禁許さない 労働組合の存在意義とタクシーの課題を学習

全自交労連とKPUは7月1日、静岡県伊東市で「2019夏季労働セミナー」を合同で開き、全国から240人が参加しました。宮里邦雄弁護士、戸崎肇教授、国交省の金指旅客課長が講演し、労働組合の存在意義とタクシーの政策課題を学習しました。

労働組合の意義を語る宮里邦雄弁護士
KPUの佐藤副委員長が開会挨拶し、全自交の伊藤義明さんとKPUの鵜沢克己さんが座長を務めました。
主催者を代表して全自交の伊藤実委員長とKPUの釘本健二委員長が挨拶。全自交の伊藤実委員長は「竹中らが五輪前までライドシェア解禁を主張し、ウーバー・滴滴も全国に進出している。東京でのクルーも止めなければならない」と述べるとともに、「雇用によらない働き方が拡大するのは問題」として市民会議の取り組み強化を訴えました。また、同じく主催者代表として挨拶したKPUの釘本健二委員長は、2016年の日比谷公会堂での8団体の共闘や市民会議での共闘、2017年の共同宣言(全自交とKPU)に触れ、「安倍政権では弱者が追いやられる社会になった。働く私たちも安心できない。力を合わせていこう」と挨拶しました。

全自交の伊藤中央執行委員長
その後、東京共同法律事務所の宮里邦雄弁護士が「今問われている!労働組合の存在意義と役割~労働組合の再生・発展を目指して」と題して講演し、「団結なければ権利なし」「団結することによって労働者になる」と参加者に訴えました。続いて、桜美林大学の戸崎肇教授が「タクシーを中心とした地方公共交通の現状と課題」と題して講演し、「来年はオリ・パラの年。ライドブッキングの解禁圧力が強まるが今年度中にいろんな課題で行動すべき」と提起しました。その後、国交省旅客課の金指和彦課長が「タクシーを巡る最近の情勢について」講演し、高齢化で地域での移動が重要になり、頼りになるタクシーになってほしい」と述べました。

KPUの釘本中央執行委員長
また、参議院選挙の「もりやたかし」予定候補者が駆け付け決意を述べるとともに、連合東京の岡田啓会長らが来賓として出席し、全自交とKPUの早期の統合に向けて参加者を激励しました。


労働組合の再生・発展を目指して

東京共同法律事務所 宮里 邦雄 弁護士

本日は全自交とKPUが合同で開催する記念すべきセミナーです。労働者は大同団結すべきであり、分裂を喜ぶのは資本だけだ。
長年仕事をやってきたが、今日ほど労働組合の影が薄い時代はない。組織率の低下に危機感を持っている。労働組合の存在意義と役割とは何かを問うことは大事なこと。
昨年の春闘でJR東労組の大量脱退が起きたが、脱退した人はどの組合にも入らない。職場に組合不要論が漂っている。こうした動きが他でも起きている。
2003年に連合評価委員会が最終報告書を出した。そこでは「不平等・格差という不条理に対する怒りが感じられず、運動に迫力が欠ける。国民の共感を呼ぶ運動になっているかは疑問であり、存在意義は希薄化する。労働組合は思い切った変身を遂げる必要がある」と指摘している。
労働者が団結を必要とするのは労使関係の非対等性にある。建前は労使対等の契約でも実際は経済力・交渉力・情報力で格差があり、使用者は優越的地位にある。これを背景に労働組合のない職場で解雇や賃下げいじめが繰り返されている。法律で保護できるのは最低基準だけ。あとは労働者に団結権・交渉権・団体行動権を与えて、労働者が自ら団結して労働条件を勝ち取らなければならない。
ILO(国際労働機構)は1948年の「フィラデルフィア宣言」で「労働は商品ではない」と宣言した。これは「労働力は商品だが、他の商品と同じように扱ってはならない」という意味。また、ディーセントワーク(働きがいのある人間らしい労働)の内容として「労働三権などの権利の保障」が明記され、結社の自由・団結権・団体交渉に関する条約を中核的条約として位置付けている。
組合の意義を語る宮里弁護士

団結することで労働者になる

労働条件の決定に関して労働組合は法的権限が定められている。就業規則は使用者に作成・変更権限があるが、過半数を組織する組合の意見を聞かなければならないとなっている。これに対し、団体交渉で合意した労働協約はこの就業規則より優越する。職場において最も強力な労働条件決定の基準を使えるのは労働組合のみだ。労働組合の存在意義と役割は、こうした法的権限を行使することによって労働条件の向上に力を発揮することである。
労働組合の組織率低下に伴って、正規・非正規の格差拡大が進み、労基法すら守らないブラック企業も増加してきた。団結の弱体化の連鎖を断ち、労働組合の存在感と加入の意義をアピールすることが必要。労働組合の役割は、①労働条件の向上、②雇用と安全の確保、③権利侵害の是正、④企業活動のチェックがあげられる。また、産業別組合は企業の枠を超えて共通する課題について政策要求の実現に取り組む役割がある。
最後に、団結がなければ権利なし。団結することによって労働者になるということだ。



講演する戸崎教授
桜美林大学 戸崎 肇 教授

来年に東京オリンピックが控えており、楽天やソフトバンクはライドシェア解禁をこれまで以上に求めてくる。「参議院選挙が終われば何をやっても構わない」となる危険もある。国交省のタクシー担当者交代も心配事だ。
まず我々がやらなければならないのは高齢者事故の問題だ。免許返納だけではうまくいかない。生活交通を維持するためにはバスからタクシーへの転換が必要であり、医療・福祉と一体となって交通インフラの再編を進めることが必要だ。交通空白と関係して今の営業区域は見直すべき。生活実態に合っていない。
名古屋のバリュータクシーは旅行業法でタクシーを運行する形態であり問題だ。安全性や公共性の観点で議論していかなければならい。
来年は混乱が予想される。
今年中にいろんな課題で行動することが必要だ。



国土交通省旅客課 金指 和彦 課長

今回は、①タクシー特措法の施行状況、②タクシーサービスの進化、③観光先進国の実現、④働き方改革、⑤地域交通へのタクシーの貢献についてお話ししたい。
タクシー事業の現状は供給力の削減が進み日車営収の向上も続いているが需要が減っている。走行距離の中で空車が6割の現状にあり、これを改善していきたい。
①特措法の施行状況については、計画に3年を費やし取り組みは不十分であることから、今後も取り組みを継続していきたい。
②タクシーサービスの進化に向けて、全タク連が初乗り距離短縮運賃や相乗り運賃、事前確定運賃などの11項目を上げ取り組んでいるが、さらにマースへの参画や自動運転技術の活用の検討、キャッシュレス促進などの9項目が追加された。こうした取り組みで「空車6割」を改善したい。
UD車購入補助も自治体と連携して行っているが、車イス利用時のスロープ改善と乗務員セミナーにも力を入れている。また、災害時はタクシーが移動の「最後の砦」になり、大活躍している。この点も発信していきたい。
講演する金指課長

③インバウンド対応では、訪日外国人のニーズを聞き、言葉の不安解消や決済のキャッシュレス化を進めている。海外のアプリとの連携も推進しているところだ。一方で訪日外国人向け白タク行為が横行しており、安全・安心確保の観点から問題である。警察庁、法務省などと連携して対策を実施している。
④働き方改革についての「アクションプラン」を作成し、生産性向上、若者・女性の採用推進、減収につながらない労働時間の短縮などを取り組んでいく。
⑤地域交通への貢献に関しては乗合タクシー等の導入に向けた地域交通サポート計画の策定を進めている。タクシー事業者が自治体訪問を行い、全国の乗合タクシー導入状況を見ても4314コースまで拡大している。タクシーへの期待が高まっており、これを活かしていきたいと考えている。
この間、未来投資会議で成長戦略にタクシーが取り上げられたり、高齢化と地域の移動問題や高齢者による悲惨な事故が立て続けに起こったことにより、移動の確保に注目が集まった。「頼りになるタクシー」の声がもっと上がるようにしていきたい。



春闘総括を終え、次の闘いに向けてガンバロウ!
2019夏季労働セミナー2日目の7月2日、全自交労連は2019春闘の総括と今後の政策闘争について討議しました。
最初に、伊藤実中央執行委員長が挨拶に立ち、「今回の合同セミナーを機にKPUとの統合を加速させていきたい。宮里弁護士の講演で言われた通り労働組合の存在意義を発揮して活動しよう。ライドシェア導入に反対する地方議会の意見書も196に伸びている。地域交通を守り、サービスの質も向上させてライドシェア合法化を阻止して行こう」と参加者に呼びかけました。

春闘の経過を報告する
松永書記長
その後、松永次央書記長が、2019春闘の経過と妥結状況を報告するとともに、特徴的な妥結について説明しました。6月24日現在の妥結組合は81 組合となり、組合員の80%を超える1万52人が解決していますが多くの地域で闘いは続いています。現状維持が多くなっていますが、そのなかでも賃上げ・定昇確保・臨時給・解決金・累進歩合廃止・乗務員負担軽減等で奮闘しました。政策面では高齢者事故の急増を受け、免許返納者への支援をこれまで以上に求めることとしました。


ライドシェア不要の地域交通を

「交通の安全と労働を考える市民会議」は6月18日、長崎市の長崎勤労福祉会館でシンポジウムを開き、ハイタク関係の労組員と長崎地区労の仲間や市民など100名以上が参加。地元の地方議員も出席するとともに、全自交長崎県タクと長崎地連の仲間も積極的に参加しました。
主催者を代表して川島陽介弁護士が挨拶し「タクシーは法規制の下で安全が守られてきたが、ライドシェアが進出すれば乗務員の働き方にも影響が出る。傍観せず多くの問題点があることを理解する必要がある」呼びかけました。



浦田氏 ロビー活動に警戒を

その後、ITF(国際運輸労連)の浦田誠政策部長が「世界におけるライドシェアの現状」と題して講演し、「日本ではウーバー等がタクシーと連携する形でアプリ事業を始めたがライドシェア自体は認められず上陸を阻んでいる」と闘いを報告するとともに、「ライドシェアはブラックバスだ。生態系を破壊する」と述べました。
また、台数規制が無視されていることや略奪的な運賃設定で批判を浴びていることを指摘するとともに、CEOが安倍首相と会談した事例をあげながらウーバーによる巨額を投じたロビー活動に警戒するよう参加者に訴えました。

川上氏 労働法と事業法の潜脱

続いて、川上弁護士が「雇用によらない働き方とライドシェア」と題して講演し、「そもそもウーバー等は対価を受け取る商売であり、なにもシェアしていない」と指摘した上で「ライドシェア事業は労働法と事業法の潜脱だ」と述べ、ライドシェアドライバーは労災の適用を受けず、最賃や雇用保険もなく、労働組合法も適用されない実態を説明しました。また、タクシーは運行管理や車両管理が義務付けられていることを紹介し「ライドシェアは安全管理にコストをかけない。タクシーと違うルールで競争するのは不公正であり過当競争を生み出す」と指摘しました。そして、運転者は独立事業者とされウーバーから一方的に契約を打ち切られたり、手数料を値上げされたり、労働組合を作ろうとしたら突然アプリ停止となる実態を紹介し、無権利労働の不条理を訴えました。
また、長崎の五島列島でライドシェアの実証実験を行ったことに触れ、「あくまで大都市での解禁に向けた宣伝だ」と批判しました。
質疑では市議が質問し、危険性の認識が進みました。
最後に福崎博孝弁護士が消費者被害を防ぐ意味でもライドシェアの問題性を広めようと呼びかけ終了しました。


初心に立ち返り安全運転こそ使命

全自交静岡ハイタク連合会の伊豆箱根タクシー労働組合は6月10日、会社と協力し第3回目「安全運転技能協議会」を行いました。
伊豆箱根タクシーの10か所の営業所から安全運転と接客で上位者を選抜。総勢20名の乗務員が沼津の「きせがわ自動車学校」にて、自動車学校教官を助手席に、後部座席に利用者に見立てた接客審査員を乗せ、日頃の技能を発揮しました。
来賓として、中部運輸局主席運輸企画専門官と静岡県タクシー協会専務理事が駆けつけるとともに、静鉄タクシー労使代表も特別ゲストとして見守りました。
閉会式では、きせがわ自動車学校副管理者が、今回のコンクールの全体的な講評を述べ、その中で二種免許を持つプロドライバーだからこそ陥りやすい傾向について参加者に伝えました。
また、今回のコース選定で伊豆箱根タクシーの土屋社長が取り込んだという難易度の高い「鋭角バック」のコースで脱輪が多かったことから、自損事故になる可能性を指摘し、「安全第一に旅客を運ぶには決して無理はしないこと」を強調しました。利用客の運送中は多少なりとも焦ってしまい、狭い路地などで見えにくい障害物に接触してしまえば、利用客と会社の双方に迷惑をかけることとなります。何よりも自分自身の運転への自信とプロとしての自覚を喪失しかねません。
今回の技能コンクールは各参加者がタクシー乗務員になった初心に立ち返り、安全こそ第一の使命であるという基本を思い起こすに最適な取り組みとなりました。
きせかわ自動車学校での技能コンクールの様子



北海道交運労協の紺野議長
北海道交運労協は5月23日、札幌市の第二合同庁舎の講堂で北海道運輸局に対する要請行動を行いました。この要請行動にはハイタク部会の5名を含む約40名の交運労協の仲間が参加しました。
北海道運輸局からは各担当部局から部長が出席し、要請事項に対して回答しました。
ハイタク部会の要請事項は、①適正需給・適正運賃の確立について、②労働条件の確保・改善について、③タクシー事業の活性化について、④ライドシェア・白タクの阻止・摘発についての4項目で、北海道運輸局の担当部長が順次回答しました。
北海道運輸局は、①特定地域・準特定地域の指定基準である日車営収は消費税抜きの営業収入を用いている。②衆参両院の附帯決議(累進歩合制の廃止や運転者負担の見直し等)の内容を踏まえ、機会をとらえて事業者にしっかりと周知徹底したい、③初乗り距離短縮運賃、事前確定運賃、相乗りタクシー等の新たなサービスの普及はタクシーの活性化か急増する訪日外国人への対応で必要なものであるが、これらの取組により運転者の負担が増加することがないよう引き続き留意していく。④ライドシェアは運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態で旅客運送を有償で行うことは、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題であり、極めて慎重な検討が必要。⑤白タク行為への対策として、全道の主要空港、観光地などでの現地調査による情報取集を行い警察に提供するとともに、訪日外国人旅行者に注意喚起のチラシを配布した、と回答しました。


「白タク合法化反対」に高い関心

乗務員にチラシを配布し対話する仲間
全自交関東地方連合会は6月26日・27日の両日、埼玉県内で組織拡大キャラバンを行い、乗務員に組織拡大ビラ280枚を配布するとともに、通行人には白タク合法化反対を呼びかけるウエットティッシュ(=写真)2000個を配布しました。
第1日目の6月26日は、午前9時にJR川口駅東口をスタートし、JR浦和駅・JR大宮駅・東武春日部駅・JR鴻巣駅・JR熊谷駅・JR本庄駅を順次まわりました。
JR川口駅では年金受給の乗務員が7割を占める会社もありました。また、東武春日部駅では賃金が手取りで20万円を割り込む状況にありました。JR鴻巣駅では「北鴻巣駅で違法な白タクが多数やられている」との情報が寄せられるとともに、JR熊谷駅でも運転代行業者による白タクの情報を得ました。

第2日目の27日は、JR本庄早稲田駅(新幹線駅)をスタートし、西武秩父駅・東部東松山駅・東武坂戸駅・西部本川越駅をまわりました。
東武東松山駅ではデマンド担当者は1日に5~7万円を売り上げていました。
都心から離れるほど乗務員の高齢化が進んでおり、日車営収も3~4万円程度で東京都心との格差を感じました。


寄せられる職場の悩みの改善めざす

全自交石川ハイタク連合会は5月23日、石川県内の加賀地区から金沢地区までの最寄り駅や空港等を中心に全自交労連が作成したチラシを配布するとともに、職場での賃金・労働条件などに対する理不尽な話や悩み事を聞きながら労働組合の必要性を訴え、労働組合の結成と全自交への加盟を訴えました。
また、白タク行為である「ライドシェア」導入の危険性やタクシー業界を守るための取り組みも同時に訴えましたが、「ライドシェア」の危険性はまだまだ認識されておらず、改めて教宣活動の必要性を痛感しました。
中小・零細企業が多いハイタク業界は、都市部から離れれば家族経営の会社も多く、労働組合が必要な地域なのに組合がない状況です。
しかし、以前よりチラシを受け取らない乗務員は少なくなっており、長時間労働を強いられる高齢の乗務員や最低賃金が払われていない乗務員などが職場の厳しい現状を訴えてきています。
本年は働き方改革関連法が施行された年であり、これを機に労働条件が少しでも改善するよう、今後とも寄せられる悩みの改善めざし組織拡大行動を継続していきます。
チラシを配布する石川ハイタクの仲間


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