全自交労連は10月16日と17日の両日、兵庫県神戸市・兵庫県民会館内の「けんみんホール」を会場に第74回定期大会を開催。全国から代議員ら約200名の仲間が参加するとともに、多数の来賓が駆けつけました。ライドシェア解禁の世論誘導が強まる中での大会となり、ライドシェア導入阻止、違法な白タク摘発、地域の信頼でタクシーの未来を築く等の新年度運動方針を確立するとともに、2019統一地方選挙・参議院選挙の勝利に向けて奮闘を誓い合いました。
北坂隆生副委員長が地元歓迎挨拶と開会を宣言した後、議長団を選出。兵庫地連の雪岡清二代議員と神奈川地連の佐藤秀幸代議員の2名を議長に選出し、大会書記は大阪地連の橋口学代議員が勤めました。資格審査委員長の服部達彦副委員長が出席状況を報告し大会の成立を確認した後、全自交労連の伊藤実中央執行委員長が主催者を代表して挨拶し、最初に多発した自然災害の被災者をお見舞いするとともに、復興に向けた支援を続ける決意を表明しました。そして「ライドシェア導入反対を柱に活動してきた。ハイタク労働者の総決起集会や市民会議のシンポジウムを開催し、地方自治体の意見書採択も100を超えた。しかし、ソフトバンクの孫会長の『日本はライドシェアを禁止するバカな国』発言やソフトバンクとトヨタの『無人ライドシェア構想』には危機感を持って対応しなければならない」と述べ、「ライドシェア禁止や規制強化が世界の流れだ。広く連携して世論を動かそう」と参加者に訴えました。そして、「生活に欠かせないタクシーとして誇りを持って働ける職場にしよう」と呼びかけるとともに、「政治の流れを変えるために来年の統一地方選挙と参議院選挙に全力を上げることを確認する大会にしよう」と訴えました。
大会第一日目には来賓として、神戸市の久元喜造市長、兵庫県産業労働部の安部斉政策労働局長、交運労協の慶島譲治事務局次長、立憲民主党の枝野幸男代表、国民民主党の平野博文幹事長、社会民主党の吉川元幹事長と吉田忠智常任幹事が駆けつけ、参加者を激励し連帯の挨拶を行うとともに、労働金庫と全労済の代表者が定期大会開催のお祝いを述べました。
議事に入り、松永書記長が活動報告を行い、服部副委員長が会計報告し、成田会計監査が会計監査報告を行いました。続いて新年度方針案と新年度予算案を提案しました。その後、報告事項について質疑・討論を行い、全体で了承しました。その後、第46回機関紙コンクールの結果発表を行い、代表して最優秀賞に輝いた「いしずえ」(日交労本部)を表彰し終了しました。
第2日目は資格審査の後、来賓として、連合の相原康伸事務局長と東京共同法律事務所の宮里邦雄弁護士が駆けつけ参加者に連帯挨拶を行いました。その後、前日に提案した新年度運動方針案と新年度予算案について質疑・討論を行い全て承認されました。その後、役員変更について全体で確認し、本大会で副委員長を退任した服部達彦氏(中部・愛知)と中央執行委員の佐藤豊氏(関東・千葉)が退任の挨拶を行いました。
また、7月に副委員長に補充された江良實氏(東北・青森)と同じく7月に中央執行委員に補充された遠藤栄二氏(東北・山形)が挨拶するとともに、服部達彦氏から副委員長を交代した本田有(たもつ)氏(中部・愛知)が新任の挨拶を行いました。
そして、大阪地連の加藤直人中央執行委員が大会宣言を提案し採択した後、江良實副委員長が閉会の挨拶を行い、最後に伊藤実中央執行委員長の音頭で元気にガンバロウを三唱して2日間の定期大会を成功裏に終了しました。
伊藤実中央執行委員長あいさつ(要旨)
挨拶する伊藤実中央執行委員長
みなさんこんにちは。今年は自然災害が多発しました。犠牲になられた方に心からお悔やみ申し上げますし、被災された皆様にお見舞い申し上げます。
被災者と共に復興に向けた支援を続けたいという思いをお伝え申し上げます。
さて、ライドシェア導入反対の運動を精力的に展開してきました。総決起集会、市民会議と連携してシンポジウム、100を超える地方議会での意見書採択や「規制のサンドボックス制度」を活用したライドシェアの実証に対して「特にライドシェアの実証は法令に違反するものが認定されないように」という附帯決議を盛り込むこともできました。全国の仲間の協力に感謝申し上げます。
しかし、ソフトバンクの孫会長が「日本はライドシェアを禁止するバカな国」と発言し、マスコミがこれを取り上げ、解禁に向けた世論誘導も強まっています。さらに、ウーバーと滴滴が名古屋と大阪でタクシー配車として日本に上陸する事態となっています。「タクシー会社と協力する」と言っていますが、ライドシェア解禁に向けて布石と受け止めざるを得ませんし、「庇を貸して母屋を取られる」ことにならないよう警戒しなければなりません。
さらに、トヨタがソフトバンクと提携し、「無人ライドシェア構想」を打ち上げましたが、公共交通を根底から揺さぶるこうした動きに危機感をもってしっかり対応していかなければなりません。
ニューヨークではタクシー運転者の相次ぐ自殺が大きな社会問題になりウーバーへの規制が強化されました。ヨーロッパでも安全・雇用・納税に責任を取らないウーバーに対する反対運動が各地で闘われ、ライドシェア禁止の国や地域がほとんどになっています。韓国・台湾でも禁止の措置がとられています。世界の流れは「ライドシェアの禁止」であり規制強化です。ライドシェア解禁が狙われているのは日本だけであることをしっかりと確認して、世界一のサービスと言われてきた日本のタクシーを守っていくために、自治体や議員・市民団体との連携をさらに拡大し、世論を動かす運動に全力を上げたいと思います。
同時に、訪日外国人を対象にした観光白タクの拡大を許さず、徹底した取り締まりを求めていかなければなりませんし、労働条件改善を目的に施行されたタクシー特措法の取り組みを実効性あるものにしなければなりません。現在、ハイタク産業は大きな転換期を迎えています。タクシーが利用者から信頼され、生活に欠かせない公共交通として認知され、そこで働く労働者が誇りを持って働ける環境を作るために共に汗を流していきたいと思います。
「長時間労働で低賃金」というタクシー産業の現状を早急に改善し、魅力ある産業に生まれ変わるために全力を上げる必要があります。安倍政権の憲法改正の動きと対決し、来年の統一地方選挙と参議院選挙に勝利し政治の流れを変えましょう。
【 第1日目 活動報告・会計報告等に関する質疑・討論 】
大会議長を務めた関西・兵庫地連の
雪岡清二代議員(左)と関東・神奈川地連の
佐藤秀幸代議員(右)
広島地本 松井代議員
西日本豪雨で広島地本の組合員3人が被災した。1人は家屋倒壊、2人が床上浸水となった。全国からカンパが寄せられたことに感謝する。
石川ハイタク 山本中央委員
先の石川県豪雨災害に対して、全自交から早急に支援を受けることができた。支援カンパは被災者のために使わせていただく。ありがとう。
北海道地連 長谷川中央委員
北海道地震の際は全道が停電するブラックアウトを経験した。災害時にタクシーをどうするか考えさせられた。全国からの支援に感謝する。
新潟地連 宮沢中央委員
KPUとの組織統合についてどのような話し合いが行われているのか。組織が減少している中で、上部団体の加盟費についても見直しが必要なのではないか。
福岡地連 河合中央委員
豪雨で会社の社屋と整備工場が被害を受けた。災害が続いているが、多くの被災者が一日も早く日常を取り戻せるよう願っている。
松永書記長 答弁
自然災害が相次ぐ中で、全自交労連として全国の仲間に支援カンパを要請する等の対応をしてきたが、数人から災害支援カンパに対するお礼が述べられた。十分な支援ではないが全国の仲間の心がこもっている支援であり、今後も復興に向けて支援を継続していきたい。
KPUとの組織統合については、中央執行委員会の中で協議状況を報告している。お互いが組織の統合について前を向いて協議を進めている状況にあることだけはこの場で報告したい。
上部団体の加盟費についての質問も出されたが、組織が減少している現状で極限まで登録についてお願いしながら対応しているのでご理解を。
答弁する松永書記長
ご挨拶を頂いた来賓の皆様
【 第2日目 運動方針案・予算案に関する質疑討論 】
大阪地連 権藤中央委員まず、大阪北部地震と台風被害では、瓦が飛んだり大変だったが、全自交本部と全国の仲間からお見舞いを頂き、ありがとうございました。
もう一つは、大阪市交通圏の特定地域指定の延長が来年3月までとなったが、やっとの思いで作成した地域計画・事業者計画が実施されて間がない。事業者計画を実行している最中に特定地域から外されるのはどう考えても不条理だと思っている。何とか議員に働きかけるなどして指定を延長してもらいたい。
松永書記長 答弁一日も早い復興を祈る。
特定地域の指定解除の問題が出されたが、「指定基準を変えるべきだ」と主張してきたが未だに変わっていないのが現状だ。減車の努力をしないうちに指定解除となることは許されない。国交省との意見交換や議員に働きかけ、指定延長がどのように可能なのか報告したい。
愛媛地本 正岡代議員
現在、愛媛地本は100名余りで活動しているが、以前は600名の組合員がいた時代もあった。組合員数は昔と比べれば減少しているのに自分も含めこのことに役員も本部も行動を起こしていない。
愛媛近鉄とも今は別々に活動している状況にある。4年が経過しても先が見えないのが現状だ。どう決着するかは難しいが、本部として協議の場をつくってほしい。
松永書記長 答弁
愛媛地本と愛媛近鉄の話し合いを進めてもらうことを本部としてもこの間、お願いしてきた。今後も協議を進めることに対し、本部も精一杯必要な支援をしていきたい。
退任した服部達彦氏
役員交代
大会2日目に役員の交代を執行部から提案し、全体で確認しました。
2期・4年間、副委員長(財政部長)として貢献してきた服部達彦副委員長(中部・愛知)が本大会で勇退することとなり退任の挨拶を行いました。また、12月退任予定の佐藤豊中執(関東・千葉)も挨拶するとともに、服部達彦氏に代わって新たに副委員長に就任した本田有(たもつ)氏が就任の挨拶を行いました。
副委員長に就任した本田有氏
また、7月に開催された中央執行委員会において役員補充として副委員長に就任した江良實氏(東北・青森)と同じく7月に中央執行委員に就任した遠藤栄二(東北・山形)の2名が本大会で新任の挨拶を行いました。
大会旗が兵庫から東京に引き継がれる
大会旗を引き継ぐ溝上委員長(左)
大会2日目、大会宣言を採択した後、大会旗が兵庫地連の北坂隆生委員長から次年度の開催地である東京地連の溝上泰央委員長に引き継がれました。溝上委員長は「東京地連の委員長に就任して来年で4年になるが、4年間で3回目の全国大会となる」と笑みを浮かべました。