全国自動車交通労働組合連合会はハイタク産業に従事する労働者で構成する労働組合の連合体です。本ホームページは、どなたでも自由に全てご覧いただけます。


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地域の信頼でタクシーの未来を築こう!ライドシェア導入阻止!違法な白タク摘発!

2018年度運動方針(案)要旨【職場討議資料】

2018夏季セミナーで団結した闘いを誓う
Ⅰ .はじめに

トランプ政権は、鉄鋼等の関税引き上げに続き、中国産輸入品の関税引き上げを行いました。米国が先頭に立って貿易戦争を仕掛け戦後の自由貿易体制の破壊に動いているところに現在の危機の深さが示されています。
また、トランプ大統領は2017年12月に新国家安保戦略を発表し、北朝鮮とイランを「ならず者体制国家」と批判しました。北東アジア、中東、ウクライナで戦争の危機が作り出される中、安倍政権は朝鮮半島情勢にあたっても「蚊帳の外」に置かれ、安保体制の下、対米従属と米国の軍事戦略との一体化を進めていますが、日米間の利害対立も深く、この矛盾を突破するために、改憲(9条改憲・緊急事態条項新設)と「戦争のできる国づくり」の攻撃を強めています。秋の臨時国会で憲法発議を狙う安倍政権を打倒し、戦争の道を阻止するために奮闘します。
安倍政権は、働き方改革関連法を成立させ、残業代ゼロの高度プロフェッショナル制度を導入させました。また、「裁量労働制の業務拡大」や「解雇の金銭解決」が狙われており、不安定雇用と低賃金、長時間労働と過労死がこれ以上日本社会に蔓延することを許してはなりません。
政権の金権腐敗政治が追求され、8月のJNN世論調査では内閣支持率でも不支持が54%になっています。
白タク・ライドシェアの合法化の動きが続いています。「プロジェクト型サンドボックス制度」を活用したライドシェアの実証が狙われ、参議院附帯決議により、ライドシェア事業の実証は規制法令に違反しないことが明記されましたが、今後も警戒・注視する必要があります。この動きと一体となって、新経済連盟が「ライドシェア新法」を提案し、導入の必要性を主張していますが、安全輸送を担保するためには運行・整備管理は必要不可欠であり、新経済連盟のライドシェア解禁の要望は認められません。

また、観光白タクも拡大しています。警察の取締りも強化されていますが、完全に国内から一掃しなければなりません。改正タクシー特措法施行から4年半以上が経過しましたが、規制改革会議や公取委の圧力により、法の趣旨である事業環境の改善と労働条件改善に結びついていません。
17の特定地域で指定期間が延長されましたが、運賃の面では国を訴えた低運賃事業者の影響で、下限運賃が見直されたことにより、新たな低運賃競争が吹き荒れる地域も出現しています。
全自交労連は、白タク合法化と改正タクシー特措法の骨抜きを許さずライドシェアを不要とする公共交通を作り出すために交通政策の取り組みに奮闘します。海外アプリとの連携や地方の生活交通維持などをめぐり、大きな変革期を迎えています。この新時代に立ち向かい、公共交通を担う労働者にふさわしい労働条件を実現するよう全国で活動を展開していきます。また、タクシーが重要な公共交通機関であることが認知され、若年者や女性に魅力的な産業に生まれ変わるために全力をあげます。
※内外情勢の特徴(略)


Ⅱ .ハイタク産業の動向

1.タクシー事業の現状

2017年3月末現在、法人タクシーの事業者数が6231社、車両数は18万8792台(前年より1335台減・個人タクシーは3万5150台)となっています。日車営収(実働1日1車当たり)は3万125円となり7年連続で改善しましたが、地域間の格差が拡大しています。輸送人員・運送収入・実働車両数ともピークじから24%以上減少しています。

2.タクシー産業の特徴的動向

(1)「規制のサンドボックス」を活用した白タク合法化の目論見
政府は、生産性向上特別措置法を成立させ、2018年6月6日に施行されました。この中で「プロジェクト型サンドボックス制度」の創設が盛り込まれ、この制度を活用した白タク・ライドシェアの実証も可能になりましたが、5月15日の参議院経済産業委員会で附帯決議が採択され「特にライドシェア事業のような安全や雇用の問題が指摘される事業の実証については、規制法令に違反するものが認定されることのないよう厳に対応すること」が明記されました。今後とも「プロジェクト型サンドボックス制度」を活用した白タク・ライドシェアの実証について警戒・注視し、その実施を阻止するために全力を上げなければなりません。

(2)新経済連盟の「ライドシェア新法」提案
新経済連盟は、ライドシェアの必要性を主張し、5月8日に「ライドシェア新法」の提案を国土交通大臣、経済産業大臣、規制改革担当大臣、情報通信技術政策担当大臣、経済再生担当大臣宛てに提出しました。しかし、輸送の安全を確保するためには二種免許や運行・整備管理が必要不可欠であり、「ライドシェア新法」の提案を厳しく批判しなければなりません。

(3)訪日外国人を対象とした観光白タクの拡大と摘発強化
近年、中国人観光客等を対象にした違法白タクが増加し、日本各地で摘発されています。警察庁とも連携し、空港・港・駅・ホテル等での監視・摘発を強化し、一掃しなければなりません。

(4)規制改革推進会議で不採用となった「タクシー事業者による自家用車輸送制度」
6月4日、規制改革推進会議第三次答申の中で、三ヶ森タクシーが提案した「新しい別モードのタクシー事業」が実質、先送りになりました。この三ヶ森タクシー提案の中身は実質「企業内ライドシェア」であり、輸送の安全を損なうとともに、その狙いは賃金引き下げや社会保険料の支払い逃れ等、人件費カットにあるものと考えられ、労働者保護にも反する酷い内容です。

(5)ソフトバンク・孫会長の「ライドシェアを禁止するばかな国」発言
ソフトバンクグループの孫正義会長は、「ライドシェアを禁止するばかな国」と発言し、ライドシェア合法化の世論誘導に利用されています。しかし、ライドシェアの規制・禁止が世界的に拡大しているのが現状であり、解禁に躍起になっていることの方が世界の非常識であると言えます。ウーバーや滴滴に巨額の出資を行い、日本での配車サービス(最初はタクシーと連携)を展開するソフトバンクの動向に注視する必要がありま
す。

3.特定地域の指定延長と適正化・活性化の取り組み

改正タクシー特措法に基づき27地域が特定地域として指定を受け、地域計画・事業者計画に基づき、適正化に向けた取り組みを進めていますがその取り組みは十分ではなく、ほとんどの地域で特定地域の指定が延長されました。今後も労働条件の改善に向けて引き続き特定地域計画に基づく適正化・活性化の取り組みを進める必要があります。
準特定地域の指定は、114地域で、車両ベースでは約47%を占めています。

4.地域公共交通再生の取り組み

人口減少と高齢化が進む地方部においては、タクシーや公共交通の役割が重要性を増しています。安倍政権の下で、改正タクシー特措法を無力化する攻撃と同時に、究極の規制緩和と言えるライドシェア合法化の攻撃が一体となってかけられていますが、これは改正地域公共交通活性化・再生法の取り組み趣旨と完全に矛盾するものであり、許すことはできません。ライドシェアが「地方で風穴を開ける」戦略で進められている以上、ライドシェア不要の地域交通を創造するために全力を上げます。


Ⅲ .新年度の運動の基調

1.労働条件の大幅改善を実現し、タクシーを魅力ある産業に

安倍政権の下で、改正タクシー特措法の無力化とライドシェア合法化の攻撃が同時にかけられています。こうした動きと対決し、タクシー産業の適正化と活性化を実現していかなければなりません。また、利用者の減少に歯止めがかからない現実を直視しながら、状況の変化に適切に対応し、進化し続けるタクシーとして利用者ニーズに応え、地域生活・ビジネス・観光・福祉等に欠かせないタクシーをめざします。需要を生み出し、効率的輸送を実現しながら、労働条件の改善が実感できる状況を作り出すために全力を上げます。遵法精神の乏しい悪質事業者を排除し、公共交通労働者にふさわしい労働条件を築きながら、誇りを持って働き若年者や女性にも魅力ある産業に生まれ変わるために労働条件の大幅改善に一丸となって邁進します。

2.安全と労働を破壊し、社会の劣化をもたらす白タク合法化絶対阻止

「プロジェクト型サンドボックス制度」を活用したライドシェアの実証が狙われているとともに、新経済連盟が「ライドシェア新法」を提案し、ソフトバンクの孫会長が日本を「ライドシェアを禁止するばかな国」と批判するなど、合法化に向けた世論誘導も強まっています。地域公共交通をしっかり整備し、安全と労働を破壊する白タク合法化を許さない運動を強化します。
白タク合法化阻止のデモ行進に
出発する仲間(5月23日・東京)

3.政策闘争を強力に推進するために、組織拡大・強化に全力を

利用者と乗務員の減少が続く中、若年者に魅力ある産業となるために労働条件改善が待ったなしで問われています。また、政策闘争を推進するためには組織の拡大・強化が必要不可欠です。
産別機能を維持・強化し、職場での団体交渉や地域の交通政策を活発に展開して全自交労連への結集を実現し、組織拡大・強化を図るため全力を上げます。


Ⅳ. 若年者にも魅力ある労働条件を再確立する取り組み

1.タクシー労働者の賃金・労働条件と求人倍率の実態

(1)長時間労働・低賃金の労働実態【2017年厚労省:賃金構造基本統計調査】
タクシー運転者(男)の全国平均・月間実労働時間数は、189時間まで短縮されています。タクシー運転者の推計年収は333万円であり、全産業(男)との格差は218万円に達しています。また、タクシー産業内部の地域間格差も深刻になっています。

(2)乗務員の高齢化の進展と乗務員不足の深刻化
タクシー運転者(男)の平均年齢は59・4歳まで上昇し、高齢化に歯止めがかからない状況が続いています。タクシー職場が若年者から敬遠され、年金を受給しながら働かなければ生活が成り立たないタクシー職場の現状を映し出しています。こうした中、運転者不足が深刻さを増しており、2017年12月の一般職業紹介状況では職業計の有効求人倍率が1・46倍であるのに対し、自動車運転の職業の倍率は3・03倍と高く、歩合給制で不安定な賃金体系で働くタクシー運転業務に就労を希望する人は格段に少ない状況にあります。

2.乗務員確保に向けた労働条件の整備

(1)固定給中心で安心して働ける賃金体系の追求
生活安定型賃金は、固定給中心の賃金体系であり(いわゆる「A型賃金」)、基本給に諸手当を付加した固定部分を設け、一定額(足切り)以上の営収部分に対して歩合給を算出して上積みする形です。その他、一時金及び退職金が設けられています。全自交労連はこうした賃金体系を追求します。

(2)改正タクシー特措法成立時の国会附帯決議の履行に向けて
改正タクシー特措法が施行されてから4年半以上が経過しましたが、①累進歩合の廃止、②固定給と歩合給のバランスの取れた給与体系の再構築、③運転者負担の見直し、④過度な遠距離割引の是正、⑤運転代行の兼務禁止、⑥過労防止対策の推進、という国会附帯決議の履行を求めて、全力を上げます。

3.長時間労働の是正

①安倍政権が最重要課題として成立させた働き方改革関連法で自動車運転業務については、改正法の施行から5年後に年960時間(=月平均80時間)以内の規制を適用することとし、かつ、将来的には一般則の適用を目指すとされています。これでは、5年の準備期間を設けても一般則より年240時間(=月平均20時間)の時間外労働が認められ、将来にわたって一般則が努力目標にとどまってしまい、容認できません。
タクシー労働者の時間外労働が、上限規制(一般側)の時間外労働の限度の原則である「月45時間かつ年360時間」以内となるよう取り組みを進めるとともに、時間外労働の削減により賃金の総支給額が低下(割増賃金の減額)することに鑑み、それに見合った所定内賃金の時間単価引き上げを求めます。また、歩合給を考慮し、効率的な勤務シフト作りも必要です。

②北海道地連で前進している11時間以上のインターバル協定をさらに全国に広めていかなければなりません。

③2017年のハイヤー・タクシー運転者の監督指導状況では、労働時間を規制する「改善基準告示」違反が45%にのぼり悪化しました。こうした長時間拘束・長時間労働は安全輸送を損なう要因であるとともに、乗務員の健康維持にも悪影響を及ぼす原因になっています。長時間労働の実態を早急に改めなければ若年者から敬遠される産業となり、乗務員の確保もままならない状況に陥ってしまいます。

4.雇用形態による差別禁止と「同一労働・同一賃金」の推進
(略)

5.適正な賃金計算と最低賃金法違反の一掃

近年の最低賃金引き上げに対し、一部の悪質経営者による最賃違反逃れも続いています。
経営者が労働者の同意なく一方的に残業時間短縮や休憩時間のカウント数を増やし(客待ち待機時間や3時間を超える休憩時間設定)、最賃違反をかわそうとする経営姿勢は許せません。
また、割増賃金や有給休暇等の労働基準法違反、改善基準告示違反、最低賃金法違反については絶対に見逃すことなく全ての職場で点検・摘発を行うとともに、職場の違法行為を完全に一掃するために闘います。


Ⅴ. ライドシェアの合法化阻止と適正化・活性化の推進

1.白タク・ライドシェア合法化を阻止する運動の強化

①「生産性向上特別措置法」における「プロジェクト型サンドボックス制度」を活用してライドシェア事業の申請が行われないよう警戒を強め、産別組織のネットワークを駆使して情報収集に努めます。

②新経済連盟が提案した「ライドシェア新法」を厳しく批判します。

③「安全と労働を考える市民会議」のシンポジウム等を各地で推進します。これまでも「ライドシェアと地方の生活交通」観点や「ライドシェアを巡る国際的状況」「雇用によらない働き方」などをテーマにシンポジウムを開催してきましたが、今後とも精力的にシンポジウムの開催を企画し幅広い層に参加をうながしながら、ライドシェアの危険性について訴えます。

④地方議会によるライドシェア導入反対の意見書採択を推進します。地方自治法第99条の規定に基づくライドシェアの導入に反対する意見書が全国で取り組まれ、8月1日現在、93(趣旨採択1含む)の地方議会で意見書が採択されました。この取り組みは今後、サンドボックス制度を活用したライドシェアの実証等を地域で阻む力として期待されます。今後とも、今後の9月議会・12月議会に向けて、この取り組みを継続し、ライドシェア反対の世論づくりに全力を上げます。

2.違法な白タク行為の摘発

中国人観光客等を対象にした違法で悪質な白タク行為が、国際空港やクルーズ船が入国する港等を舞台に拡大しています。全国各地で摘発行動を展開し、違法行為を撲滅しなければなりません。

3.タクシーの適正化・活性化の推進

規制改革会議や公正取引委員会が特定地域の指定及び適正車両数実現の計画に対し異を唱えるとともに、悪質な低運賃事業者による国を相手にした運賃裁判により、改正タクシー特措法の下での台数と運賃の適正化に向けた取り組みが極めて不十分なものになり、労働条件の改善が実感できる状況にはありません。適正車両数との乖離率や日車営収等の指標が改善傾向にあるものの、その主な要因は乗務員の減少が急激に進んだことにあることは明白です。今後とも、①特定地域の指定基準の見直し(人口基準の緩和)。
②特定・準特定地域の指定基準である日車営収について、消費税増税に伴う営収増は除外すること。
③特定地域の指定延長期間での地域計画・事業計画の完全実施等を強く求めます。

4.安全で便利な地域公共交通をつくる取り組み

地方部は、人口減少と高齢化が急速に進行し、病院や学校の存続も危ぶまれるとともに、鉄道や路線バスの廃止が続いている状況にあります。また、高齢者運転者の事故も社会問題化し、免許返納者の急増が予想されることから、マイカーに過度に依存した交通政策を見直し、持続可能で安全・便利な地域公共交通のネットワークを構築するために全力を上げます。
その他、運転代行の適正化を推進するとともに、第二種免許の緩和に反対します。


雨の中ライドシェア導入反対のデモ行進(東京)
公共交通としてのハイタク政策確立への要求課題

1・特定地域と準特定地域の指定基準を、労働条件が悪化したままとなっている地域が特定地域に指定されるよう、タクシー乗務員の賃金を指標とする基準に見直すこと。
2・特定地域及び準特定地域で日車営収の微増や人口減少をもって指定を解除するのではなく、賃金水準の上昇を基準に判断すること。
3・ライドシェアと称する白タク行為は、輸送の安全破壊や無権利労働の拡大につながることは明らかであり、絶対に認めないこと。
4・レンタカーとドライバーの観光型仲介事業(ジャスタビ)は違法性が高く、運営実態をしっかり把握し、白タク行為として摘発すること。
5・地域公共交通網形成計画の策定が全国で推進されるよう、自治体、事業者、利用者等に働きかけを強めること。また、生活に欠かせない地域交通を維持するための助成措置を講じること。
6・UD(ユニバーサルデザイン)車両の導入を促進するために、自治体の補助を新設・拡充すること。

7・安全輸送を確保する観点から第2種免許の取得要件を緩和しないこと。
8・公定幅運賃制度を全国に適用し、これに従わない事業者を強力に指導すること。
9・特措法改正時の附帯決議で「過度な遠距離割引の是正」が賃金制度の改善の一つとして謳われており、「5千円超5割引」の廃止に向けて尽力すること。
10・身障者割引など社会政策的な公共的割引については、経営者が割引分の営収を補償し、賃金が下がらない対策を講じるよう指導するとともに、公的な助成措置を講じること。
11・運転代行業の営業・運行管理などの実態調査を行い、白タク行為の余地をなくす「ツー・シーター」車の義務化等、運転代行業の適正化のために必要な法改正を行うこと。


Ⅵ. 政治課題、反戦・平和運動の推進

1.憲法改正の発議を狙う安倍政権を許さない

安倍政権は、トランプの貿易戦争に恐怖しながら日米間の経済的利害対立が激しくなる中で、対米従属外交と米国との軍事一体化を推し進めています。この政策矛盾は、朝鮮半島・東アジアの軍事的緊張が高まる情勢下で安倍政権や経済団体にとって耐えがたいものになっており、秋の臨時国会において9条改憲と緊急事態条項の新設に向けた憲法改正発議を狙ってこれまでにない戦後史を画する攻撃を仕掛けようとしています。安倍政権はこれまでも、国家機密法、安保関連法、共謀罪等、を成立させ、日本を「専守防衛の国」から「海外で武力行使できる国」に変えるとともに、反対運動を弾圧し監視密告社会にする流れをつくってきましたが、9条改憲はその総仕上げと言えるものです。私たちは、再び三度の戦争の道を拒否し、「戦争のできる国づくり」を許さず、世界の恒久平和の実現と憲法理念が活かされる日本をつくるために全力で運動します。
「アベノミクス」という経済政策の大失敗が実質賃金と労働分配率をかつてない水準にまで低下させてきました。内需と国内消費を冷え込ませる格差を生み出しておきながら、森友・加計学園問題で国家戦略特区を悪用した金権腐敗政治に手を染め、おごり高ぶってきた安倍政権の腐敗した実態が明らかにされています。安倍政治に対する国民の不満は増大し、支持率も低下したままです。国民の生活を顧みず、政治的利権をむさぼる自民党の金権腐敗政治を打倒するために立ち上がりましょう

2.残業代ゼロ法案、裁量労働制拡大、解雇の金銭解決を跳ね返そう

痛ましい過労死を受けて、安倍政権は「働き方改革」を叫び、残業規制と「同一労働・同一賃金」を進めるとしてきましたが、残業の上限規制も過労死ラインの月80時間を特例で認める内容であるだけでなく、残業代ゼロの「高度プロフェッショナル制度」の導入を過労死遺族らの声に背き導入しました。さらに今後は一旦挫折した「裁量労働制」の業務拡大を狙い準備を進めるとともに、解雇の金銭解決を制度化して、不安定雇用と低賃金、長時間労働と過労死、労働組合弱体化を図ろうとしています。さらに、「雇われない働き方」を推奨し、労働法の適用を受けず労働組合にも入れない無権利の労働者(フリーランス)をライドシェア合法化などを通して大量に生み出すことも狙われています。安倍政権を早期に打倒しなければ、国民の生活の維持も日本の未来もありません。
森友・加計問題に抗議の声上げる(首相官邸前)
3.2019年統一地方選挙と次期参議院選挙に勝利しよう

2019年に迫った統一地方選挙と次期参議院選挙はまさに日本の針路を掛けた重要な選挙になろうとしています。現状への不満と将来不安に対する思いを行動で示さなければ社会に変化を作り出せません。労働者の生活と社会的地位が政治力によって抑え込まれることを考えれば、今こそ、政治の流れを変えるために団結してたちあがるときです。
統一地方選挙と参議院選挙に勝ち抜き、平和の下で基地や原発事故に怯えることもなく、日々の労働が確実に報われる社会の実現を目指して奮闘していきます。
私たちは、平和フォーラム等と連携し、次の課題の実現をめざして行動します。①憲法改悪に向けた国会発議を許さず、9条改憲と緊急事態条項の新設を阻止するために全力をあげ、「戦争のできる国づくり」をストップさせます。②過労死を助長し、労働組合の弱体化を狙う「高度プロフェッショナル制度」「裁量労働制」の業務拡大、解雇の金銭解決制度の導入に反対します。③共謀罪の廃止を求めます。④核兵器廃絶・脱原発社会の実現のために積極的に行動します。⑤東日本大震災や自然災害からの復旧・復興のために国の責任ある対策と福島第一原発事故の原因究明、汚染水対策、損害賠償などについて国と東電の責任ある対応を求めます。⑥沖縄・辺野古の新基地建設に反対し、米軍基地の縮小・撤去を求めます。⑦消費税の10%への増税に反対します。再配分機能を強化した税制で社会的格差をなくすために奮闘します。⑧最低賃金の大幅引き上げとランク制廃止で全国一律・時給1500円の最低賃金を求めます。⑨年金・医療・介護の切り捨てに反対し、社会保障制度の拡充を求めます。⑩部落解放共闘をはじめとする運動に積極的に参加し、基本的人権の確立のために行動します。


Ⅶ.地方組織の防衛と組織拡大・強化に向けた取り組み

1.組織拡大運動の推進

(1)職場の組織率向上と交渉力強化

①労働組合の組織率は、団体交渉の力関係に大きく影響を与えることから、加盟組合の各職場での組織化を最優先課題として取り組みます。単組活動の強化なくして組織強化はありません。
②乗務員の高齢化の現実を直視し、全ての職場で定年年齢を過ぎて働く定時制、嘱託者の組織化に全力をあげます。また、全ての加盟組合が過半数組合として活動できるよう奮闘します。
③全自交が取り組む「ハンドル共済」への加入を推進し、組織率向上に努めます。

(2)街頭宣伝活動の推進
(略)

(3)労働相談と組合員とのコミュニケーション強化に全力

◆職場と地域の労働相談対応しながら、信頼関係を築くことは大変重要な労働組合の取り組みです。職場・地域での日常的な「世話焼き活動」の伝統を今こそ復権し、組合員とのコミュニケーションをしっかりとりながら様々な活動を活発に行っていきます。

2.機関紙活動の重視

(1)機関紙は組合費の領収書

◆タイムリーに機関紙を発行して組合活動の内容・情報を伝えることは、組合活動を円滑に進めるために大変重要です。組合員にとって、組合費がどんな活動に使われているのかや組合の意義や必要性について機関紙を発行して組合活動を伝えることは正に「組合費の領収書」を発行することと言えます。機関紙でつながる強固な労働組合を目指して奮闘しましょう。

3.学習活動の強化

(1)労働基本権について

◆戦後の日本において、常に賃下げ圧力にさらされる労働者が、団結して労働組合を結成し、要求をかかげて経営者と対等に交渉を行い、時にはストライキを構えて要求を実現しようとする活動が労働者の基本的な権利として認められたことは実に画期的なことです。労働者が組合を組織し、労働基本権を武器に労働協約を締結することで、賃金の最低基準を定めた労働基準法を上回る労働条件を獲得していくことこそ労働組合の役割です。この労働協約は法律と同じ効力を与えられることも周知の通りです。労働組合の歴史を含め、その役割・必要性について再確認することが必要となっています。

(2)次世代を担う活動家の育成

①地連・地本や単組における学習会の計画的な実施、②単組における労働協約の確認と賃金計算の学習、③若い世代の組合役員の育成


自動車教習所は地域の安全教育センター
Ⅷ.自動車教習所労組の闘い

(1)自動車教習所を取り巻く情勢

1.自動車教習所を取り巻く情勢

安倍政権が進めた経済政策の失敗が明らかとなり、労働分配率の低下が進み、実質賃金も大きく低下しました。日本社会は格差に変貌する中、個人消費の低迷が内需を押し下げ、デフレ経済からの脱却を遠のかせています。
普通車の免許取得が可能となる18歳人口は1992年をピークに減少に転じて以来、減少が続いています。また、若者のバイクや自家用車購入への関心は低下し、「車離れ・免許離れ」と呼ばれる状況となっています。こうした状況が入校生の減少を招き、自動車教習所産業に影響を与えています。一方で高齢運転者の事故の増加が社会問題となる中で、免許返納者も増加していますが、増加する高齢者講習にしっかり対応し、講習の質を確保する課題も大きくなっています。
●自動車教習所の社会的役割
①運転免許を取得するための教育施設
②各種法定講習の機関
③地域の交通安全教育センター
このように、自動車教習所は、今日の車社会の安全を支えるとともに、就職の際に欠かせない資格取得の場としても貴重な存在となっています。
しかし、自動車教習所を取り巻く環境変化により、指定教習所数・卒業者数の減少傾向に歯止めがかからない状況が続いています。この10年間で指定講習所数が96減少し、卒業者数も23万8203人減少しています。
こうした厳しい環境下で、生き残りをかけた熾烈な競争が進行しています。限られたパイを奪おうと教習料金のダンピングや「規定時間内の卒業」を謳う合宿教習などの誇大広告が横行し、安売り競争が激しく展開されていますが、このことが、教習の質を劣化させ「自動車交通の安全を支える」という自動車教習所の社会的任務を後退させることがあってはなりません。
また、指導員の嘱託指導員や契約指導員等の非正規社員化が進んでおり、総人件費は明らかに低下しています。労働条件は、教習の質を大きく左右する最も重要な要素であり、指導員として必要な各種ライセンス取得や自動車交通の安全を支える仕事にふさわしい労働条件を確保することが良質な教習を維持するうえで必要不可欠です。

2.高齢者事故対策での自教の活用

警察庁の統計による交通事故の発生状況は戦後最低を記録し続けていますが、事故全体に占める65歳以上の高齢運転者の事故割合が年々増加しています。こうした状況を改善するために交通ルール遵守に係わる意識啓発をはじめ、総合的な交通事故防止対策を進めるためにも指定自動車教習所を「地域の交通安全教育センター」として大いに活用し、高齢者の事故や悪質事故を減らす対策に活かさなければなりません。
指導員を増員することで高齢者講習をさらに充実させるとともに、身体の機能や判断力の低下がみられる場合は、それを高齢ドライバーに自覚してもらうことで、運転免許証の返納を促進させることが必要です。

(2)自教労組の運動課題

入校性の減少が続く状況下で、安全運転講習、高齢者講習、講習予備検査、二種免許の業務を拡大、違反者講習、処分者講習、更新時講習の委託拡大、普通免許教習生への原付教習の義務化を求めてきました。若年入校生の減少を業務拡大で補う方向を今後とも強めるとともに、地域の「交通安全教育センター」として公的助成も要求します。

(1)雇用・労働条件改善の取り組み

労働条件の不利益変更や不当労働行為を許さず、真摯な団体交渉を通じて、自教指導員にふさわしい賃金・労働条件の確立を目指します。
自教職場における年齢構成の変化が進んでいるとともに、正社員比率が低下傾向にあり、人件費率の低下に作用しています。次世代を担う若い指導員を定着・育成する観点から適正な定期昇給の確保に奮闘します。
また、働き方改革関連法案が成立し、罰則付きで時間外労働の上限規制が導入されます。現在の36協定の特例で事実上、上限無く時間外労働が可能となっている状況から、労使が合意したとしても上回ることができない上限を設定する意義はあるとしても、過労死ラインと言われる月80時間を超える時間外労働が条件付きとはいえ認められているばかりでなく、休日労働を含む上限規制となっていることで休みなく働き続けることも容認する内容であり、今後も見直しを求めていきます。この法律を盾に特例の制限まで自教職場の残業が拡大されないよう、原則として示されている「月45時間、かつ、年360時間」の遵守を求めていきます。
さらに、待機時間(インターバル)を含めて適正に労働時間の算定による賃金支払いを行わせ、サービス労働(不払い労働)をなくします。
事業の休止・廃止、譲渡など、雇用・労働条件にかかわる経営変更については、労働組合と事前に協議し、同意を得てから実行するよう協定します。 働き方改革関連法の改正を受けて、以下の点について団体交渉を求め、労働協約や就業規則の整備を進めます。
①必要に応じた36協定見直し
②月60時間超の時間外労働に対する割増率50%以上の協定化と就業規則の変更※ 中小企業への猶予は、2023年4月1日より撤廃。
③有給休暇の確実な取得に関する協定化と就業規則の変更※使用者は、年次有給休暇を10日以上付与される労働者に、5日分を付与日から1年以内
に取得させることが2019年4月1日より義務化。
④勤務間インターバルの協定化と就業規則の変更※日勤者の勤務間インターバルについて11時間(最低でも9時間)の協定化をめざす。
⑤短時間及び有期雇用者(短時間・嘱託乗務員)に対する不合理な格差の是正を求める団体交渉を推進するとともに、本人の求めによる正規雇用労働者との待遇差の内容・理由・決定に関する使用者の説明義務についての協定化と就業規則の変更。※法改正の施行日は2020年4月1日

(2)自教における政策課題

①自教労働者の労働条件を悪化させ、教習水準の低下につながる教習料金のダンピングや規定時間内卒業を謳う誇大広告などに対する規制の実現と、それらの教習所で適正な教習が行われているか厳格に監督・指導を行うこと。
②自教を地域の「交通安全教育センター」として位置づけ、違反者講習、処分者講習、更新時講習など、免許関連業務を指定教習所に委託すること。
③高齢者講習指導員資格が地方公安委員会でも取得できるようにすること。
④高齢者講習、講習予備検査の料金を適正化するとともに、受講者(受験者)の負担軽減のための公的補助制度を導入すること。
⑤普通免許教習生に対して任意で行っている「原付教習」を義務化すること。
⑥指定教習所の役割の高い公益性をふまえ、施設改善に関する費用助成で新型運転シミュレーターの導入を公費負担すること。
⑦新たに創設される準中型免許の指定校とするに当たり、指定教習所に過大な費用負担とならないよう配慮し、必要な助成を行うこと。

(3)自教労組の組織拡大

不当労働行為やパワハラを許さず、正常な労使関係を職場に築き、意欲を持って働ける労働環境をつくるために奮闘し、組合への結集を呼びかけます。

Ⅸ.労働者自主福祉運動について

【全労済運動】
(1)生活保障設計運動の充実・強化
組合員の生活を守り、豊かにすることを目的に全労済と連携し、引き続き「生活保障設計運動」を展開し、組合員に必要な保障を提供していきます。

(2)労働者共済運動に関する研修会の実施
労働者自主福祉運動の発展と組合員の福祉向上をはかるため、傘下単組・支部において、組合員・組合役員を対象とした労働者共済運動に関する研修会を実施します。

(3)全労済の共済制度推進
組合員の相互扶助の精神にもとづき、「人と人との協同」を原点に労済運動を労働者自主福祉運動の柱の1つとして取り組みを進めます。
また、組合員とその家族の「いのちと暮らしを守る」活動として次の共済を積極的に取り組みます。①セット共済(新ハンドル共済・火災共済・自然災害共済・交通災害共済・個人賠償責任共済)、②全自交新ねんきん共済、③マイカー共済

【労金運動】
(1)生活応援運動の推進
組合員のライフサイクルに合わせた生活を応援するため、労金と連携して生活改善・生活防衛・生活設計の三本柱による「生活応援運動」を推進し、労金への預金結集と融資利用などに取り組み、労金の利用を通じた組合員の福利厚生の充実を図っていきます。

(2)労金の商品サービスに関する周知
生活応援運動の一環として、組合員に対して労金の商品やサービスに関する周知に取り組みます。
特に、労金のキャッシュカードは、多くのコンビニATMで利用手数料が不要であることや、他行利用時の手数料に対してキャッシュバックがあるなど、手数料負担の軽減をつうじた組合員の可処分所得の向上に資することから周知を進めます。

(3)労金運動に関する研修会の実施
労働者自主福祉運動の発展と組合員の福祉向上をはかるため、傘下単組・支部において労金と連携し、研修会の開催を推進します。





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