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タクシー労働者の収入減の不安をよそに

国土交通省は「タクシーの日」の8月5日、東京都内4カ所の乗り場に限定し、初乗り距離短縮運賃の実証実験を開始しました。実証実験を行う運賃は1059m・410円、加算運賃は237m・80円。都内23社の40台で運行し、期間は6週間としています。この日午前10時にJR新橋駅東口で国交省、関東運輸局、東京タクシーセンター、東タク協の代表者らが出席し、実証実験スタートのセレモニーが行われました。
国交省は早ければ年内にも初乗り距離短縮運賃の運賃組み換えを認可する予定です。

新橋駅東口の実証実験乗り場
初乗り距離短縮運賃の実証実験は、いわゆる「流し営業」は行わず、①JR新橋駅東口、②JR新宿駅東口、③東武浅草駅、④東大病院の都内4ヵ所に限定して行われ、時間は各乗り場ごとに異なり、時間帯別の利用状況に関するデータを収集する事としています。
国土交通省は、今回の初乗り距離短縮運賃の実証実験について「目的の一つは、初乗り距離短縮運賃の導入で全体の運賃収入が下がらないための加算運賃のあり方を見極めるためであり、もう一つは実際に見える形で行ってみて利用者が乗ってみたいと思うような宣伝効果も期待している」としています。中小事業者を中心にタクシー業界の経営環境が厳しさを増す中、手軽に利用できるようにすることで、高齢者や訪日外国人観光客向け需要などを掘り起こし、市場活性化を図る狙いも強調されていますが、ハンドルを握るタクシー労働者からは「初乗り短縮運賃の導入で運収が低下し賃金が下がる事にならないか不安だ」と言った声や「サービスの質を低下させる方向に作用してしまうのではないか。新たな運賃競争の火だねになっては大変だ」との懸念も根強くあるのが現状です。
また、「初乗りが安くなる」という報道が目立ちますが、運賃組み替えとなることから初乗り部分は値下げとなるものの、長い距離の部分は逆に値上げとなり、利用者へのしっかりとした説明も必要不可欠となります。
東京都特別区と武三地区では初乗り距離短縮運賃を導入する運賃組み合替え申請が車両ベースで7割を超え、現在、関東運輸局が審査に入っており、実証実験の結果を踏まえて早ければ年内にも認可される状況にあります。
全自交東京地連はこの間、初乗り距離短縮運賃の導入に対する反対声明を発し、署名運動や都内主要駅での街頭宣伝に取り組むなど、反対運動を粘り強く展開してきました。今回の実証実験と東京都特別区・武三地区での初乗り距離短縮運賃導入は東京の周辺地域だけでなく全国的に影響が大きく、仮に地方への波及が進んだ場合、駅のタクシー乗り場等で待機時間が長い地域では、明らかに乗務員の運収減を招くとともに、新たな運賃競争を惹起させかねません。

公定幅運賃の見直しの動きも

タクシーの運賃に関しては、下限割れ事業者が存在する地域を特定し公定幅運賃の範囲見直しが進められています。これは公定幅運賃の導入にもかかわらず、下限割れ運賃を採用する悪質事業者が運賃変更命令の差し止めをする訴訟を起こし、国の敗訴が続いた結果を受けたものです。
上限運賃を据え置いて下限の幅を見直す地域は、札幌・青森・名古屋・知多・大津・湖南・京都・大阪・神戸・徳島・福岡の11地域。現在、各運輸局が範囲見直しを公示し各地域協議会の意見を聴取しています。


格差是正の取り組み必要

中央最低賃金審議会は7月28日、2016年度の地域別最低賃金引き上げの目安を審議し、全国平均で時給換算24円を引き上げるよう厚生労働大臣に答申しました。
ランク別では、東京などのAランクが25円、Bランクが24円、Cランクが22円、Dランクが21円を引き上げ目安としました。
この目安額通りに引き上げられた場合、最も高い東京が時間額932円となり、最も低い沖縄など4県が時間額714円となります。これにより全国平均が24円引き上げられ時間額822円となり、全ての都道府県で初めて700円を超えますが、ランク格差による地域間格差は過去最大の時間額216円に拡大することとなります。
7月にタクシーの経営者団体は全タク連を通じ、昨年同様、引き上げに関する慎重審議を求める意見書を提出しました。タクシー改正法の施行で労働条件の改善が重要課題となる中で最低賃金の引き上げに反対するこうした動きを厳しく批判しなければなりません。今後、各地の審議会を経て各都道府県ごとの最低賃金が正式決定され、10月頃から改定されます。



初心を忘れず地域住民の信頼を

全自交秋田地連が幹事団体となり、2016東日本自主管理・自主経営学習交流会を7月30日、秋田県三種町森岳温泉・ホテル森山館で開きました。青森地連・岩手地本・秋田地連・山形地本・新潟地連の5地連・地本から、ユニオン交通黒石タクシー、ユニオン交通大館タクシー、新花矢タクシー、湖東タクシー、秋田港交通、ユニオン交通秋南タクシー、観光タクシー、新発田観光タクシー、しあわせ交通の7社・9事業所から自主経営を直接担う仲間が参加するとともに、全自交労連から伊藤実中央執行委員長と高橋学書記次長、ユニオン交通と秋田港交通の代表取締役の谷地田恒夫社長が来賓として出席し、総勢30名が参加しました。
幹事団体である秋田地連の鈴木書記長が司会を務め、秋田地連の北川正美委員長が「多くの苦難を乗り越えて自主経営を実現した初心を忘れず、公共交通として地域住民の信頼を糧に自主経営を成功させよう」と歓迎の挨拶を行いました。伊藤実中央執行委員長は全国のタクシー情勢を述べるとともに、「会社が生き残るためには品質の向上が最重要であり、車両・服装・接客等の目標を定め、利用者の信頼を勝ち取っていこう」と参加者を激励しました。
谷地田恒夫社長は来賓挨拶で「13年前に全自交職場の倒産対策の支援に関わり自主経営の取り組みに参加してきた。最初の数年はみんな頑張るが、売上減少や高齢化が進んでいる。有休取得や最賃保障も増えてきている。無断早退などは言語道断だが、自分たちの会社だという意識と自覚を忘れず頑張って頂きたい」と訴えました。


3回目の開催となる交流会で挨拶する伊藤委員長
講演と事例発表で学習深める
<<全自交加盟によって自主経営が可能に>>

最初に秋田県労働委員会事務局の山口卓さんが「不当労働行為救済制度の現状と課題」と題して講演し、労働委員会の役割を説明するとともに近年の不当労働行為の事例を説明し、労働委員会の活用を参加者に訴えました。
次に全自交労連の高橋学書記次長が「自主管理・自主経営の課題と展望」と題して講演し、敗戦直後の生産管理闘争の歴史や70年代から多発した全自交の業務管理・自主管理闘争を紹介し、自主経営の意義と目的を提起しました。
また、株主総会における決算書の見方等を解説し、職場課題の解決と定年後の契約社員に関する同一労働・同一賃金への対処を要請しました。
その後、事例発表として秋田地連の北川正美委員長が訪日外国人の増加に対応するため職場で外国語教室を労使協力して実施した取り組みを報告しました。今後も1年間は継続して学び、乗務員が外国人環観光客への抵抗感をなくしてスムーズに観光地を案内できるようになりたいと抱負を語りました。

次に新潟地連の海藤正彦書記長が事例発表として、昨年7月に倒産を乗り越えて自主経営をスタートさせた新潟市内のしあわせ交通の自主経営について紹介しました。組合員5名、非組合員40名の職場で全員を組合に組織しながら団結を創り出した闘いや、旧会社では出勤率が非常に低かったが自主経営を開始後は全員が自覚を持って働き、皆勤手当1万円を新設するなどして出勤率が向上した事例を発表しました。また、接客マナーを重視し、制服を支給するとともに、経営が軌道に乗ったことで支給率を2%引き上げ、一時金も支給できるようになったことを報告しました。また、利用者からの注文に応えるために内勤者も必要に応じ乗務をこなし利用者の利便性確保に貢献している状況が語られました。
その後、岩手地本の森茂委員長から玉川タクシーの自主経営への挑戦に対する支援要請がなされました。玉川タクシーは従業員に対する多額の未払い賃金を残したまま6月に破産し、現在、管財人の下で営業を継続していることや組合関係者で既に新会社を設立し、譲渡譲受の認可を運輸局に申請していることが報告されました。最後に青森地連の江良書記長が「自主経営の取り組みは全自交が原点。みんなの努力で成功させようと」とまとめました。


組織強化・団結でさらなる飛躍を

長崎県タクシー労組は7月26日午後6時より、長崎市内のセントヒル長崎で組合結成60周年記念祝賀会を開催しました。本来であれば節目として昨年催されるはずでしたが、組織事情などで1年ずれ込んだにもかかわらず多くの来賓や組合員が駆けつけ、結成60年を祝いました。

冒頭、主催者を代表してあいさつに立った鶴田英二委員長は「昭和30年の結成当初より現在までいばらの道を歩んできたが、争議のたびに県タクは団結の強さを発揮してき交や地域の仲間の尽力の賜であると感謝を述べました。その上で「諸先輩方が血のにじむ思いで立ち上げた歴史と伝統ある県タクの旗を守り抜くことが今後を引き継ぐ私たちの使命であると確信し、労働運動、平和運動に一層邁進していく」と力強い言葉で締めくくりました。

来賓挨拶では全自交本部松永書記長をはじめ連合、県平和センター代表らが祝辞を述べ、長崎地区労議長の乾杯発声で懇親会に入りました。全自交九州地連の仲間や連合・地域共闘の仲間の皆さん、県平和運動センター、長崎地区労、県タクOB会、そして長崎ハイタク経営者協議会等多くの仲間と諸先輩54名がお祝いに駆けつけました。歴史を引き継ぎ、闘い続ける長崎県タクの団結を誓い合い滞り無く祝賀会は終了しました。
永年表彰も行われた祝賀会場


国と東電は被災者の暮らしに責任を持て

今年で6回目となる原水爆禁止世界大会の福島大会が、7月30日福島市の福島県教育会館で開催され、全国から750人が参加しました。

原爆や東日本大震災の犠牲者などに黙とうをささげた後、川野浩一大会実行委員長(原水禁議長)が、「核廃絶、脱原発、平和憲法を守る闘いを押し進めていこう」と、改憲勢力が3分の2を超える国会情勢を踏まえ運動の強化を訴える主催者あいさつを行いました。

続いて開催地の福島を代表して角田政志福島県平和フォーラム代表は、原発事故から5年5か月が経過し、「除染」したのにもかかわらず、会場周辺においても高い放射線値を示していることを指摘し、事故の収束の目途もたたず、除染廃棄物の処分に関しても見通しがない福島の現状を報告しました。そして国による避難者に対する補償の打ち切り方針や、強制的ともいえる帰還事業を批判し、戻りたいと思う人・戻れない人・戻りたくとも断念した人など思いを様ざまにする避難者によりそうことが重要であると訴えました。

基調提起では、藤本事務局長が「被災者を棄民化することなく、国と東電が被災者の暮らしに責任を持つこと」や「被災者の様ざまな思いによりそうとりくみ」を進める必要性を強調しました。
全自交からは地元福島や愛媛が参加しました。
挨拶をする川野実行委員長


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