全国自動車交通労働組合連合会はハイタク産業に従事する労働者で構成する労働組合の連合体です。本ホームページは、どなたでも自由に全てご覧いただけます。


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47歳の泉健太・立憲民主党代表と、55歳の溝上泰央・全自交労連中央執行委員長。ともに昨年秋に就任した若き新リーダーの対談が実現しました。タクシー政策議員連盟で幹事長を務めてきた泉代表はハイタクへの理解も深く、溝上委員長とタクシーの重要性や公共性、行政による支援の必要性を再確認。十分な賃金が支払われる社会を実現するためにも、今夏の参議院議員選挙での勝利に全力を尽くす決意を交わし合いました。対談は、2月15日、東京の立憲民主党本部で行われ、松永次央・全自交労連書記長が進行役を務めました。

ハイタクの公共性守る



泉代表(右)と溝上委員長(左)。
ハイタクと日本社会の未来について
熱く語り合いました。
泉代表

国会に初挑戦した時からずっと、タクシー運転者の皆さんとの対話を大事にしてきました。最近は、空気清浄機などのコロナ対応や、バリアフリーの車両が増えるなど進化を感じています。
一方で、労働者の環境は非常に厳しい。コロナで人の動きが減り、雇用調整助成金を活用しても、働く機会を失ったり、所得が減少してしまった方が多くおられます。
改めてコロナ禍やアフターコロナにおける公共交通としてのタクシーの位置づけ、そして運転者の皆さんの待遇改善が、今の日本に求められる課題だと思っております。

溝上委員長

その通りです。空気清浄機など「ニューノーマルタクシー」への転換を進める上では、立憲民主党にもご尽力いただき、国から半額の補助が出るようになりました。しかし、現在のタクシー業界で最も大きな問題は、都市部と地方の格差です。地方では全額補助がないと、装着したくてもできない事業者が多い。
行政の支援がなければ、地方で移動する権利が失われてしまいます。バス路線が廃止される場合、これまでは代替手段として国の補助が出るのはコミュニティバスやデマンド交通だけでした。しかし昨年4月から「タクシー運賃低廉化措置」といって、自治体が負担してタクシー運賃を安くする方法にも国の補助金が出ることになり、山形県などで実際に活用する動きがあります。このような国の支援がもっと拡充されれば、交通空白地域でも住民の移動が確保できると期待しています。 

泉代表

それは大事ですね。私たち立憲民主党も常に地域公共交通、足の確保の問題を重視しています。タクシーは「いつでも、どこでも、誰でも」の特性を生かして、きめ細やかに運行できる。辻元清美さんがワクチンタクシーを国会で提案され、全国に広がりましたが、まさにタクシーの役割が発揮された事例でした。
だからこそ、コロナ禍でどのタクシーに乗車しても安心できる状況を確保する意味で、行政からの補助は中小企業でも導入できる制度でなければならないと思います。

溝上委員長

2年前の5月に、当時の赤羽国土交通大臣は「鉄道、バス、タクシーは公共交通だから動かしてくれ」という趣旨の発言をされ、私たちは感染リスクを乗り越えて「地域のために」という思いで仕事をしてきました。ライドシェアなど、安全に対して責任をとらない仕組みではなく、地元のタクシー会社を活用していただきたいと思います。
打ち解けて話す泉代表と溝上委員長

参院選勝利へ 「自民一強」も「身を切る改革」も不要だ

泉代表

自民党政権下で日本は格差が広がり、公共交通も含めて衰退が続いてきました。立憲民主党が今通常国会で特に重視したのは「所得の分配」「地方への分配」そして「将来世代への分配」です。この3つの分配の強化こそが、この国の成長につながります。
来るべき参議院選挙は、権力者や富裕層向けの政治を行う自民党と、身を切る改革、冷たい改革ばかり主張する維新の会に対抗し、生活を守るための政治を実現する重要な闘いです。参院選で勝利しなければ、一強政治がさらに暴走してしまう。ぜひ、全国の立憲民主党候補者にお力をいただきたい。組合員の皆さまにも一緒に闘っていただきたいと考えております。

溝上委員長

われわれも、最大限の取り組みを行います。
でたらめな政治をやってきた自民党もそうですが、(ライドシェア合法化をうたう)維新が力をつければ、今後、大阪万博を控えて、どれだけ大変なことになるか。行政の支出を削った結果、コロナ禍で医療体制や保健所の弱体化が問題になりました。必要な分野にはきちんとした公助が不可欠です。タクシーに競争至上主義は合いません。

泉代表

行政に身を切る改革を求めれば、公共交通への支援もなくなります。「競争だけで顧客の満足度が高まる」という主張は、まさにタクシー業界で失敗が証明されました。むしろお客さまの足を奪い、雇用をズタズタにしたわけですから。

物価上昇なら価格転嫁 「賃上げは非常に重要」

溝上泰央・全自交委員長
溝上委員長

いま東京ではタクシーの運賃改定が進んでいます。安全・安心の提供にはコストがかかります。タクシーの公共性を高めるためには、労働者の生活を含めて、安全・安心を位置づけなければなりません。

泉代表

物価が上がれば諸経費も上がります。価格転嫁が悪であるという風潮は変えなくては。デフレ、デフレであってはならず、価格転嫁に見合う賃金が出る社会にしなければなりません。だからこそ賃上げは非常に重要です。

溝上委員長

まさに春闘まっただなかですが、適正な料金と賃金がなければ持続可能な社会にはなりえません。事業者は「タクシーは歩合給だから」としか言いませんが、そこで思考停止して業界自体が変わろうとしなければ、どんどん高齢化が進んで衰退します。

泉代表

若い人が入ってくる業界にすること、そしてお客様がタクシーを利用できる経済環境をつくること、この点をぜひ後押ししたい。

溝上委員長

自治体とタクシーが寄り添って、少子高齢化社会でも町を残すことがこれからのテーマです。地域の足となって生活を守るための取り組みを進めたいと思います。

エッセンシャルワーカー 「運転者に手当を」

溝上委員長

自民党政権は、エッセンシャルワーカーとして医療や介護、保育で働く人の待遇改善を言っていますが、全自交は、ハイタク労働者にも「危険手当」のような支援を求めています。

泉代表

公共交通は、社会の維持に必要不可欠な業種で、そこで働く皆さんには応分の手当などの対応があってしかるべきです。ハイタクは最もお客さんとの距離が近い交通機関であり、症状があって今から検査に行く方や、陽性判定が出た後何も言わずに乗る方もいるでしょう。その危険をどう軽減するか。検査体制やワクチンの優先措置などの方法も含め、あらゆる角度から考えるべきだと思います。
皆さんが仕事を継続できるようにしなければ。タクシーの場合は乗務できない期間は給料が減ってしまう可能性も高く、そういった面も含め、安全性の確保や感染対策が行われるべきですね。
泉健太・立憲民主党代表

鉄道廃線後の地域交通 タクシーこそ活躍できる

溝上委員長

昨日ニュースで、不採算のローカル鉄道をバスに置き換える検討を、国交省が始めたと知りました。7月に答申をまとめるそうですが、タクシー業界はその有識者検討会に入っていない。なぜ公共交通なのに議論にすら参加させてもらえないのでしょう。

泉代表

同じニュースを見ました。駅の利用者は1日50人しかおらず、1キロ当たりの運行経費が、鉄道で約4000円、バスだと約400円と紹介されていましたが、私も「タクシーではどうなるか」と思いました。バスでは大がかりになる場合もあり、地域交通を考える議論にはタクシーが参加しているべきですね。

溝上委員長

昔に比べ「安全にどんな方でも乗れる」というイメージは定着しつつありますが、「高い」と思われバスと同列に扱われない。一方で、鉄道やバスと比べ補助金をほとんど受けていないのがタクシーです。バスの3分の1でも補助金がつけば、もっと利用しやすい運賃にできる。タクシーへの助成制度が確立していないことこそ、問題の一番の根幹だと考えています。

泉代表

鉄道やバスに投じる行政コストを、もしタクシーに振り向ければ、どういう料金になり何台の車両を地域にまわすことができるのか。地域によっては、バス路線の維持より、タクシーを数台維持する方が住民の利便性を高めることになるかもしれません。

溝上委員長

バスの代替として、タクシーが乗合輸送を行っている地域も多く、ジャンボタクシーでも運行経費はバスよりかなり安くすみます。

泉代表

駅前のタクシープールが整備されていない問題も聞きます。行政がタクシーの特性をよく理解し、自分たちの街にどう導入していくのかを考えほしいですね。

燃料高騰本来なら減税

溝上委員長

LPガス高騰対策で、国交省が独自に支援金を出します。タクシー事業者への直接給付は初なので、ありがたいのですが、1台当たり月300㍑の試算で金額がどうなるか。

泉代表

予算に合わせて給付額をしぼるためかもしれせんね。われわれは揮発油税全ての減税を主張しています。 

溝上委員長

もちろん、本来は立憲民主党の提案されているトリガー条項の凍結解除(揮発油税などを1㍑当たり25円減税)こそが最も良い対策です。


新会長に近藤昭一議員

立憲民主党や国民民主党の国会議員で組織するタクシー政策議員連盟は2月21日、参議院議員会館で総会を開き、立憲民主党・近藤昭一衆議院議員を会長とする新役員体制を決定しました。近藤新会長は「タクシー業界はコロナ前から運賃改定の問題や、行き過ぎた規制緩和のために現場の方が苦労されてきた。改めて議連を再興し、困難な中で頑張っている皆さんを後押ししたい」とあいさつしました。
総会には溝上泰央代表をはじめとするハイタクフォーラムの幹部や、交運労協の慶島譲治事務局長が出席。私鉄総連ハイタク協議会の久松勇治事務局長は参院選に向け、辻元清美前議連会長への支援を呼び掛けました。全国ハイヤー・タクシー連合会の川鍋一朗会長らも参加しました。
新役員体制は次の通りです(敬称略、◎印は新任)顧問=◎泉健太、◎枝野幸男、大塚耕平、◎海江田万里、玉木雄一郎、◎中川正春、◎長浜博行、◎原口一博、福山哲郎、古川元久、前原誠司▽会長=◎近藤昭一▽副会長=◎逢坂誠二、◎小川淳也、◎榛葉賀津也、◎西村智奈美、◎伴野豊、松原仁▽幹事長=◎小宮山泰子▽幹事長代行=◎森山浩行▽副幹事長=末松義規、田嶋要、◎野田国義▽幹事=◎大河原雅子、◎小熊慎司、◎城井崇、後藤祐一、◎斎藤嘉隆、佐藤公治、牧山ひろえ、◎森本真治▽事務局長=◎森屋隆▽事務局次長=田村まみ、平山佐知子、◎道下大樹
タクシー政策議員連盟の新役員陣。
右から近藤昭一会長、小宮山泰子幹事長、
森屋隆事務局長


国交省がLPガスに支援

タクシー政策議連の総会では、国土交通省と厚生労働省による説明も行われました。
厚労省職業安定局雇用開発企画課の宮元康一室長は、雇用調整助成金の特例措置について「4月以降いきなり、なくなることはない。感染拡大地域や状況が厳しい企業に配慮し、雇用情勢を見極めながら対応します。タクシーなど旅客運送業が大変厳しい状況にある事情を考慮して適切に対応していきたい」と発言。その後、6月末まで延長することが決定しています。
 私鉄総連ハイタク協議会の久松勇治事務局長は雇調金について「『休業規模等要件の緩和』と、『残業相殺の停止』の2点は、タクシー業界にとって非常に重要」と述べ、金額面だけでなくこれらの特例措置も継続するよう訴えました。

 ◆LPガス高騰支援
国交省の祓川直也自動車局長は、令和3年度補正予算でLPガス高騰に対する支援を行うことを表明。タクシー1台が月に300㍑のLPガスを消費する計算で、1㍑最大5円をタクシー事業者に直接支援する方針です。祓川局長は手続きを簡素化する意向も語りました。
この基準では1台当たり最大でも月1500円にしかならないため、労使から改善を求める声が上がっていますが、引き上げに関する言及はありませんでした。
またコロナに伴う休車の特例措置について、今年3月末で期限を締め切る一方、車両の復活に求める期間を、従来の3か月間から2年間まで延長して、時間的猶予を確保する方針を示しました。


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