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第100回中央委員会で方針決定 1万円要求

全自交労連は1月24日、東京都渋谷区の全自交会館で記念すべき「第100回中央委員会」を開き、タクシーの統一要求として月額1万円の賃上げ、ハイヤーでは基本給のベースアップ、自教では1万500円の賃上げを求める2022春闘方針を決定しました。溝上泰央中央執行委員長による「コロナに負けず、エッセンシャルワーカーにふさわしい賃金労働条件を確立するため、全自交労連団結して頑張ろう」というかけ声で、全員が拳を突き上げ、春闘にのぞむ決意を確認しました。



議長を務めた中谷氏
記念すべき100回目の中央委員会であり、本来は静岡県伊東市に200人超が参集し2日間かけて開催する予定でしたが、新型コロナウィルスの急激な感染拡大を受け、都内での縮小開催に変更。中央執行委員21人と中央委員3人が出席し、中執18人、中央委員51 人から委任状の提出を受けて中央委員会は成立し、松永次央書記長の提案した春闘方針案が、承認されました。
2022春闘のスローガンは「危機突破 2022春闘で未来への一歩を ハイタクの将来は賃上げにあり」、「『交通崩壊』絶対阻止!タクシーこそ地域交通の主役に」。コロナ禍での需要減少や燃料費の高騰など、今春闘をめぐる情勢は厳しいものですが、歩合給主体のタクシーは売上が賃金低下に直結し、他産業との年収格差はさらに拡大、すでに多数の退職者が出ています。この危機を突破し産業全体の崩壊を防ぐ方法は、賃金・労働条件の回復以外にありません。なんとしても春闘で賃上げを勝ち取りましょう。

中央委員会で決定した春闘方針は、全自交しんぶん1218号(昨年12月15付)掲載の方針案要旨とほぼ同じですが、新たにハイヤー部会(部会長=森合剛副委員長)より、ハイヤーの現状と要求が追加されています。
ハイヤーの賃金は、コロナ禍で深夜残業や土日公出が激減した影響で大きく低下し、今後、時間外労働の上限規制によって、さらなる悪化が懸念されます。そのため、残業手当や歩合給の比重が高い賃金体系を、基本給主体の安定した賃金体系に改めるよう要求していきます。
政策面ではエッセンシャルワーカーに直接届く支援や、公共交通を維持する支援を求め、適正な運賃改定、改正タクシー特措法に基づく適正化・活性化を追求します。「ライドシェア合法化阻止」の運動を継続し、月額5千円乗り放題の「mobi(モビ)」など公共交通を破壊する低料金サービスの拡大阻止に力を入れます。「タクシーこそが地域公共交通の主役」という気概で、地域交通の課題解決に積極的に取り組むことを重視します。
中央委員会の議長には中谷文雄氏が選出され、書記は久我恒夫氏、春闘アピール案の読み上げを本田明広氏が担当しました。いずれも東京地連選出の中央委員です。
開会あいさつでは見須一隆副委員長が「大変な中でも、賃上げ、そしてきちんとした労働条件を確立するために、各単組が可能な形でしっかり取り組みたい」と述べ、北坂隆生副委員長は閉会に際し「予測できないコロナ禍で、各地域が大変厳しい思いをすることになるが、これまで以上に団結し、乗り切っていくことをお願いしたい」と激励の言葉で締めくくりました。


溝上委員長「精一杯の取り組みを」

主催者を代表してあいさつした溝上委員長は「オミクロン株による感染拡大という状況ですが、春闘に取り組むための大事な会議として、縮小しても開催となったことをお許しください」と理解を求め、2022春闘について「国は賃上げ優遇税制などを打ち出していますが、賃金決定は労使自治が原則であり『官製春闘』などと呼ばせないよう、われわれ労働組合の真価が問われる春闘にしなくてはならないと考えます」と決意表明しました。
コロナ禍での個人消費の落ち込みや、資源価格や物価の上昇、ハイタク産業の経営体力の落ち込みといった情勢の厳しさにも触れつつ、「2022春闘に精一杯取り組むことをお願いします。厳しい時代ですが、ともにがんばりましょう」と奮闘を呼び掛けました。
コロナ対策を求めた東北地方運輸行政懇談会




春闘方針を提案する松永書記長
第100回中央委員会では松永次央書記長が春闘方針を提案しました。その要旨は次の通りです。

【ハイタク労働者の現状】
ハイタク労働者の賃金労働条件について、全自交が独自に行った「2022春闘 生活・労働実態調査」こそが、最も適切な生の数字を反映しています。平均年齢は57歳で、前年調査と比べ1・8歳も上昇しました。2019年度までは、大都市で若い方たちのハイタク業界への就職が進んでいましたが、コロナ禍でその若い方たちが退職せざるを得ない状況となったことも事実です。平均年収は288万円で前年から39万円も低下しています。家計状況に関する質問では「収支トントン」が44%、「収支赤字」が40・3%という厳しい状況が明らかになり、月額の賃上げは「1万円以上」を望む声が最も多く、全自交の要求の正しさを示すものでした。

【エッセンシャルワーカーにふさわしい待遇を】
ハイタク労働者は社会に不可欠なエッセンシャルワーカーでありながら、コロナ禍の2年で他産業との収入格差はさらに拡大しました。大きな感染リスクを抱える仕事であり、事業者も自治体も、もっとハイタク労働者に寄り添って待遇の改善を進めなくてはなりません。

【特定地域について】
タクシー特措法の特定地域指定状況では、38地域が指定基準を満たしているにも関わらず、残念ながら事業者団体は指定の議論すらさせない現状にあります。私たちが求めてきたタクシー事業法をしっかり成立させなければ、この事業者の後ろ向きの姿勢を変えることはできません。

【mobiに警戒】
ライドシェア問題に加え、大阪のAIオンデマンドやmobiの問題も議論してきました。特に脅威となるのは、mobiがKDDIと連携したことで、今まで以上に注視していく必要性があります。

【公共交通の課題解決には地元のタクシーを】
コロナ禍のこの2年、公共交通としてタクシーは多くの貢献を果たし、その結果、自治体に評価を受け、色々な支援を受けました。IT企業や外資系企業が、地域交通分野に参入しても、企業判断によって地域の事情を無視して撤退するなど持続可能性はありません。地域に根差した優良なタクシー事業者こそが地域の公共交通を支えていくべきであり、タクシー業界からも自治体に対し積極的に相談や提案を行っていく必要があります。

【全ての職場で交渉を】
全ての職場で積極交渉を進め、労働組合が団結して闘う姿勢を見せなければなりません。2022春闘は「要求しないことは実現しない」ことを肝に銘じ、みんなの要求で団結し交渉力を発揮して闘うことが必要です。具体的成果を獲得するまであきらめずに交渉し、勝ち取った成果を組織拡大につなげるため全力をあげます。


41作品から5作品を選出

「新しい資本主義の前に格差是正!!今こそ勝ち取れ2022春闘」の標語を考案されたのは東京地連大和自交労組、銀座支部の佐藤正三様でした。お詫びして訂正します。

2022春闘では初めての試みとして、春闘期間中に各職場で掲示する標語を公募しました。
25の団体・組合員から41の標語案が本部に寄せられ、5つの標語を選出しました。協力をいただいた皆様に感謝します。本部書記局考案の4標語とあわせ、ステッカー(短冊)を各地連本に発送します。5つの標語を考案した組合員・団体には第2回中央執行委員会で溝上委員長から3千円分のクオカードが手渡されました=写真。


8割が感染に不安 最賃不払いも1割強



全自交2022春闘 生活労働実態調査

全自交労連は、2021年11月から12月上旬にかけ、全国の地連・地本に依頼して「2022春闘 生活労働実態調査」を行いました。1700人の組合員の皆さまから回答をいただき、紙面を借りて感謝します。
調査の結果、コロナ禍でハイタク労働者の生活がどれだけ危機的状況にあるか明白となりました。わずか1年で平均年齢が1・8歳も上昇し、コロナ収束後も営収回復は期待できないとする声が8割を超えるなど、この状況を放置すればハイタク産業に未来はありません。調査結果を春闘の団体交渉にも活用し、なんとしても賃金・労働条件の向上を勝ち取りましょう。(円グラフは全国の平均値、回答の中で「不明」は除外)



90 人が追悼 「熱い心を受け継ぐ」

弔辞を語る大阪地連の加藤書記長
全自交大阪地連前委員長であり、本部書記次長としても長く活躍され、昨年7月に病気で亡くなった森田貫二さんのお別れの会が、昨年12月26日、大阪市のエルおおさかで開催されました。出身の全相互タクシー労組をはじめ、全国の全自交組織や、連合大阪、大阪交運労協、大阪タクシー協会等から、約90人が参列し、18年間にわたる組合活動での活躍をしのびました。
全自交大阪地連の橋口学 全自交大阪地連前委員長であり、本部書記次長としても長く活躍され、昨年7月に病気で亡くなった森田貫二さんのお別れの会が、昨年12月26日、大阪市のエルおおさかで開催されました。出身の全相委員長が「森田さんが昨年(2020年)12月に大阪に戻って以来、多くのことを学ばせてもらった。突然の死に驚き、途方に暮れたが、未熟ながら森田さんの後継となることを決意しました」と追悼の言葉をささげ、続いて3人が弔辞を述べました。
溝上泰央全自交委員長は、森田さんが9年間本部書記次長を務めた労をねぎらい、「長い間単身赴任で、タクシー産業の再生を願い、タクシー労働者が笑顔で働ける環境を作るために日夜奮闘された。タクシーが重大な岐路に立っている今日に、森田さんを失ったことは痛恨の極みです」と惜しみました。全自交からは伊藤実前委員長、松永次央書記長ら多数の役員が参列しました。

森田さんの遺影
関西大学社会安全学部・安部誠治教授は、森田さんの熱意に動かされ、18 年前に全自交が起こした規制緩和政策に対する国家賠償訴訟で、原告証人として出廷した思い出を語りました。 
25年前から同じ営業所で働き、単組と大阪地連で委員長と書記長の関係で長い間一緒に活動してきた加藤直人大阪地連書記長は、「森田さんは、常に現場乗務員の目線や怒りを持ち続けて運動をしていた人だった」と評しました。
ご遺族代表の森田輝さんに続き、参列者一人一人が祭壇に献花して故人との別れを惜しみ、全自交関西地連・櫻井邦広委員長の音頭で「我々全自交は、森田委員長の意思を継ぎ、熱い心と共に、団結してがんばろう」と参列者全員で団結ガンバローを行いました。



全自交岩手地方本部(森茂委員長)は2月6日、盛岡市のエスポワールいわてで第57回中央委員会を開き、2022春闘方針を決定しました。
森委員長は「多くの若者がオール歩合給の中で生活ができずハイタク産業を去っていった。12月の全国消費者物価指数を見ると、灯油代や電気代の上昇に加え、ガソリンは22%もの値上げだ。最低でも物価上昇分は賃金に反映されなければならないが、現状でそれを会社に求めれば倒産する」とハイタク産業の置かれた窮地に言及。打開策の一つとして自治体要請の取り組みや、再度の感染防止策徹底を挙げました。今野徹書記長は、2月15日に釜石市長への直接要請行動を行うことを報告し、全国の仲間にも自治体要請の重要性を呼びかけています。
新型コロナ感染拡大のため、小規模開催となりましたが、学習会を実施。東北地連の高橋学委員長が、最低保証給や柔軟なシフトの構築、タクシーが担うデマンド交通、地域のタクシー会社による協業配車といった労務倒産の危機に対する解決策を提示し、労連本部の津田光太郎書記次長が、本部の春闘方針や、国交省によるLPガス補助の展望などを説明しました。
春闘方針を固め、決意を新たにする岩手地本の
執行部。自治体要請を強化する


神戸の特定地域指定を要求

兵庫県交運労協ハイタク部会(部会長=北坂隆生・全自交兵庫地連委員長)は、1月26日に、兵庫県タクシー協会(吉川紀興会長)と意見交換を行い、神戸市域交通圏の特定地域指定への同意を強く求めました。また、自治体へのコロナ対策支援要請行動を引き続き協力して行なっていくことを確認しました。
労働側は、全自交兵庫地連の北坂委員長ら6名と私鉄関西ハイタク労連の田中滋修委員長ら2名、タクシー協会側は正副会長と専務理事が出席。
兵庫県タクシーサービスセンターの2名も参加しました。
冒頭、労働側は要請書を吉川会長に手渡し=写真、神戸市域交通圏の特定地域指定に同意するよう求めましたが、協会側は、「会員へのアンケート調査で、不同意との意見が大半を占めたので、書面開催で不同意の方向で対応する」、「コロナ感染拡大という異常事態の輸送実績で査定されたことが不同意の主な理由。正常でない数値をもって、特定地域指定イコール適正化にはならない」と回答。労働側は、「せっかくの特定地域の指定だ。今までの経過を踏まえれば、不同意には納得できない。
需給調整をしなければ、運転者の労働条件が改善されない」と重ねて、「同意」を強く求めました。


ライドシェア反対の意見書

愛媛県四国中央市の市議会は昨年12月24日、「ライドシェアの導入に反対し、安全安心なタクシー事業の推進を求める意見書」を採択。首相らに宛てて提出しました。意見書では「ライドシェアの導入に反対し、安心安全なタクシー事業を推進するために必要な諸施策」を行うよう求めています。


関西生コンの国賠訴訟を支援


全日建関西地区生コン支部への弾圧に対する国家賠償請求訴訟の第2回口頭弁論が2月3日、東京地裁で行われました。宮里邦雄弁護士や、評論家の佐高信氏が共同代表となっている「関西生コンを支援する会」は同日、東京地裁前で集会を開き、正当な産業別労組の組合活動に対する権力の弾圧に強く抗議しました=写真。
関西生コン支部をめぐる事件は、ストライキやビラまき、建設現場の法令違反を指摘する活動を行っていた組合員延べ66人を、検察が威力業務妨害や強要未遂として起訴した事件ですが、このところ無罪判決が続き、検察がつくった強引なストーリーにほころびが見えています。ネット上で関西生コンの悪評を流し、事業者団体から70万円を受け取っていた人物に対する名誉棄損訴訟でも損害賠償が認められました。関西生コンの闘いは、組合活動に対し刑事罰を適用するという悪しき前例を認めぬための闘いでもあります。


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