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白タクの拡大許さず、「ライドシェア」解禁絶対阻止!



伊藤 実 中央執行委員長
新年のごあいさつ

ライドシェアを阻止する決戦の年
魅力あるタクシー産業に変えよう


明けましておめでとうございます。
全自交に結集する組合員の皆さんに謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年は、全国で地震、豪雨、台風等の自然災害が多発した1年となりました。犠牲になられた方のご冥福と被災された皆さんの一日も早い復興をお祈りし、新年が大きな災害もなく安らかな年になることを心からご祈念申し上げます。
世界情勢や国内政治に目を向けても、米中貿易戦争の激化、史上初の米朝首脳会談など歴史を画する出来事が生起し、混迷を深める中、安倍政権は経済政策の失敗を棚に上げ、「残業代ゼロ」の高プロ制度を盛り込んだ「働き方改革関連法」を成立させただけでなく、種子法廃止や水道民営化等、国民生活の基礎・「命のインフラ」を壊し、外国に売り渡す売国政治を進めています。民間議員と称する者が規制改革のルールづくりに参画し、利害関係者となって莫大な利益を得る「我田引水」の政策を日本社会から根絶しなければ未来は語れません。
こうした流れの中で、タクシー産業の存立を脅かす「ライドシェア」合法化の攻撃も加速しています。新経済連盟は「ライドシェア新法」を提案し、それを「規制のサンドボックス制度」で国が後押しすることなど絶対に認めるわけにはいきません。また、トヨタと提携し「無人ライドシェア構想」を打ち上げたソフトバンクの孫正義会長は「日本はライドシェアを禁止するバカな国」と言い放し、滴滴(ディディ)との合弁会社を設立し、ライドシェア解禁の布石として大阪に上陸しました。東京都内では自家用車を使用して「謝礼」を求めるクルーが事業を拡大しています。こうした動きに警戒を強め、「観光白タク」も含めて違法行為を摘発・一掃し、今年を「ライドシェアを阻止する決戦の年」として行動します。「ライドシェア」は「安くて便利」と宣伝されていますが、安全面や労働の面で大きな問題があり、利用者を保護せず公共性に欠けるものであることは明白で、海外の多くの国で禁止されているのが実態です。ライドシェア解禁を阻止するためには、日々の乗務で良質なサービスを提供し、安全・信頼のタクシーとして社会的評価を高めることが最も重要です。高齢化が進行する中、タクシーが生活に欠かせない重要な公共交通として、その社会的役割を果たし、働く者にとって魅力ある産業に生まれ変わるために全員で奮闘しましょう。本年が組合員の皆さんにとって生活改善を実感でき、希望が持てる年となることを心から祈念します。


公共交通として誇りを持てるタクシー産業に

タクシーは社会インフラ 公共交通を担う自覚が必要 タクシーの公共性は高い 利用者も育てる観点を

国家戦略特区や「規制のサンドボックス制度」を活用した「ライドシェア」合法化の動きが続く中、ウーバーや滴滴(ディディ)がタクシー配車として日本上陸しました。
一方で地方の生活交通をいかに維持・創造するかが大きな課題となる時代を迎えています。「ライドシェア」の問題点や地域公共交通の在り方について、全自交労連の顧問で首都大学東京の戸崎肇特任教授を迎えて新春対談を行いました。

森田貫二書記次長
司会:森田貫二書記次長

「ライドシェア」の導入の動きがタクシー業界を揺るがしていますが、そもそも公共交通とは何か?また、タクシーの社会的役割について、「ライドシェア」の問題点と合わせてお聞かせください。また、改正タクシー特措法が施行されましたが今後の協議会の課題などもお聞かせください。

伊藤実中央執行委員長
伊藤実中央執行委員長

タクシーは重要な社会インフラであると考えています。しかし、タクシー職場で働く乗務員は歩合制賃金となっており、どうしても「売り上げをいかに多く上げるか」が優先になってしまっている現実があります。

タクシー特措法が2009年にでき、タクシーが初めて「重要な公共交通機関」とされました。その後、日本社会の高齢化などが問題となる時代を迎え、地域の生活に欠かせない交通をどうやって確保するかについて全国で議論が進んでいます。

こうしたときに、病院とタイアップした利便性のよいタクシーなど、今後、まだまだタクシーには出番があると思っています。

乗務員が「自分は公共交通を担っている」という自覚が今まで以上に必要だと感じています。


戸崎肇特任教授

タクシーは、機動性が高く、一つの車を社会で共有する乗り物で、環境にも優しい。私は、誰でも気軽に使えて、そのための整備もきちんとやられて安全が確保され、持続的にサービスが提供されるために公的に管理されているもの、それが公共交通であると考えています。
タクシーは個別輸送で利便性が高いがゆえに「贅沢な乗り物」といわれてきました。日本社会も体力があって若かった時代はそれでもよかったのですが、高齢化が進み、鉄道を利用したり、バス停まで歩くのも大変になる中でタクシーの重要性もだんだん認識されてきたとはいえ、以前はそうではなかったと思います。高度成長時代はマイカーが市民のあこがれとしてあり、住民は、一方では、鉄道やバスに関心があり、他方では、マイカーに関心があったため、両方に挟まれる形でタクシーの存在は社会的に軽視されてきたと思います。
行政もタクシーを「扱うべきものではない」と考え、住民からも要望はなかったため、タクシーに関係した行政窓口は作られてこなかったわけです。利用者もタクシーに乗ったら「高いお金を払って乗っている」という意識が強く、バスに乗った時とは違い、タクシーにわがままな要望を言ってきました。公共性について考えるのであれば、乗務員の自覚も必要ではあるが、利用者の方もタクシーを公共交通として維持し育てる観点をしっかり持たなければならないと思います。
タクシーの公共性を考えれば、短距離の利用者にもしっかりとしたサービスを提供しなければなりません。タクシーが全体の収支の中で存立できるとするならば、「ライドシェア」などが入ってきて、利用者を選別し「美味しいところだけ持っていく」となった時には公共交通は成り立たなくなってしまいます。
首都大学東京の戸崎肇特任教授

海外と事情が違うのに「ライドシェア」導入の議論は乱暴

戸崎肇特任教授

スマホを使った「ライドシェア」「ライドブッキング」が海外で拡大し、成功を収めているとして、日本にも導入しようする動きが強まっています。
新経済連盟は、これを導入するための「ライドシェア新法」を提案しました。その提案の中では、現在の乗務員不足や労働条件の問題を逆手にとって「ライドシェアは便利な上に二種免許も不要であり、乗務員不足も解消される」「ドライバーにとってもタクシー業界で問題となっている累進歩合もなくなり、働いた分だけ見返りがある」と宣伝しています。
そして、「規制のサンドボックス制度」がこの提案を後押しする形で動き出そうとしています。
しかし、「ライドシェア」を導入した国では安全確保や労働条件の問題などの様々な問題が起きており、反対の声が高まっていて、現実にドライバーの自殺も増えていることが報じられています。
日本の都市には高度に発達した公共交通機関が存在しており、海外とは全く事情が違うのに、レイプ事件や強盗事件が繰り返されるこうした「ライドシェア」を何の検証もされないままに、日本に導入しようというのはあまりにも乱暴な議論だと言わなければなりません。
「ライドシェア」は労働の面でも大きな問題があり、ドライバーは社会保険にも入れず、事故を起こした時の保証もありません。ウーバー等のマッチング事業者(仲介業者)は、最初だけは魅力的な求人広告でドライバーを募りますが、次第に台数は増えていき、料金も下げられ、2年目、3年目からはいくら働く時間をのばしても生活が成り立たなくなってしまうという事例も数多く報告されているのが現状です。
 また、配車手数料を突然上げられ、自分の取り分が減らされても、ドライバーは労働者ではなく自営業者とされるためにこれに抵抗できない状況にあるのが実態です。




中国式白タクが広がっている 全力で阻止すべき


司会:森田貫二書記次長

2020年の東京五輪を前に様々な動きが加速していると感じます。その5年後の2025年には大阪万博も予定されており、その間、自動運転の問題も含めて、タクシーだけでなく公共交通全般を取り巻く環境も激変していくと思われますが、そうした点について、お二人からご意見をお聞かせください。

伊藤実中央執行委員長

東京オリンピックに向けては「ライドシェア」導入の動きがますます強まっていくと思っています。オリンピック終了後についても急激な景気の冷え込み等、不透明な状況が予想されますし、自動運転の問題もあり、タクシー産業がどうなっていくのか予想しがたい状況にあると感じています。しかし、環境がどう変わろうとも、「人を介したタクシーサービス」として切磋琢磨して生き残っていくしかないのではないかと思っているところです。
そうした中で「Crew(クルー)」という自家用車を使った輸送サービスが東京都内で拡大してきていますが、これは大きな問題です。営業時間も「20時から」に前倒しされ、車両数も増えているといわれています。
国交省が3月に通達(国自旅・第338号平成30年3月30日)を出しましたが、これが「お墨付き」となり、事業を拡大しているのが現状です。しかし、「謝礼を払わないと次回は配車されない」等のうわさもあり実態調査と摘発が必要だと考えています。事業資金を新たに調達し、さらに事業を拡大したいと言っているので早急な対策が必要だと思っています。

戸崎肇特任教授

2020年の東京オリンピック、2025年大阪万博に向けてインバウンドが増えていることで現在、様々なことが起きています。
中国人の訪日客を対象にした非合法的なサービスが日本にあふれてきていますし、これはまさに現在進行形の問題です。この白タクをどう止めるかが現時点の最大の課題だと言えます。
国としてインバウンドを進めるのであれば、きちんと移送手段を整備することをやらなければならないはずです。
そして、本当にそうした訪日客の観光需要があるのであれば、供給する側の質も上がっていかなければなりません。インバウンドの増加が続く中でタクシー乗務員の賃金・労働条件が確実に向上する施策をとれば人手不足は逆に解消される方向に動きます。
日本でこれだけインバウンドが重要視される中、それに対応する職業の重要性が社会的に認知されていくようにすべきです。ただ単に「働く人を増やしましょう」と言うだけでなく、インバウンドの増加をタクシー産業の社会的評価を高めていく起爆剤として考えていくことが極めて大切だと思っています。


協議会は多様なテーマで議論 ライドシェアも議題に

伊藤実中央執行委員長

「働き方改革」の中で、「時間外労働の上限規制」が導入され、自動車運転業務については改正法の施行から5年後に年960時間以内とする規制が適用されることとなりました。
私たち乗務員は「長時間労働で低賃金」という境遇に長い間置かれていて、このことが現在、深刻になっている乗務員不足を招いている原因になっているわけです。現在も間違いなく、長時間の勤務をこなしてやっと生活できる賃金がもらえるという現状にあるのは事実です。
そうした状況下で、いかにして「労働時間が短縮されても賃金がしっかり確保される」というようにするのかがこの5年間の大きな課題となっています。
ITの活用やスマートフォンアプリの導入等で生産性を向上させることも必要ですが、今現在、施行されている改正タクシー特措法を実効性あるものにしていくことが大事なことで、適正台数・適正運賃・利用者目線のサービスをどのように実現するかにかかっていると思います。
規制緩和やライドシェア問題ではいつも事故・事件が取り上げられ、規制の必要性が語られますが、我々にとって安全確保が最優先であり、そのためにもタクシー特措法の目的である賃金改善の実現に向けてあきらめずに努力していかなければなりません。
その上で特定地域・準特定地域の指定基準見直しは本当に急務です。これだけは早急にやって貰うしかありません。
新年の抱負を語りがっちり握手

戸崎肇特任教授

タクシー特措法が掲げている適正化・活性化という命題があって、これまで各地の地域協議会の中で議論してきましたが、地域によっては状況の変化もあり、地域協議会で取り扱うテーマも変わっていくべきだと思います。
先日、東京のある地域協議会では「ライドシェア問題もこの協議会で取り上げるべき」という意見が出されましたが、そういう課題も取り上げていくべきだと思っています。
特定地域等において、これだけ多様な参加者を巻き込んで開かれている地域協議会ですので、今後もこの協議機関をしっかりと活かしていかなければなりません。
また、全国的に地域協議会が開かれているものの、横のつながりが見られません。東京は東京、大阪は大阪でばらばらに行われており、今後は、相互に教訓を共有することが大事だと感じます。
タクシーを取り巻く状況は確実に変わってきており、地域協議会の存在意義を高めないと新経済連盟のような「ライドシェア新法」の提案も出てくるわけで、本来の国土交通省が主導する運輸行政に戻すためにも、地域協議会は重要だと思います。


平和なくして労働運動なし 労働組合こそ平和と民主主義の担い手

日本労働弁護団は2018年12月14日の夕刻、都内の中央大学駿河台記念館で「安倍政権による憲法改悪に反対する集会~平和と労働運動を守
るために」を開き、労働組合員や弁護士ら180人が参加しました。 
日本労働弁護団の徳住賢治会長が主催者を代表して挨拶した後、棗(なつめ)一郎幹事長が情勢報告を行い、「安倍政治の暴走が加速している。今回は改憲案を示せなかったが、2019年は参議院選挙も控え決戦の年になる」と参加者に訴えました。
次に宮里邦雄常任幹事が、「憲法9条改憲と労働運動」と題し講演しました。「憲法は政府に対する国民の命令である」(ダグラス・ラミス)ことを述べた上で、「憲法9条に自衛隊が明記されれば、国会、内閣、裁判所と同格の存在に格上げされる。そうなれば憲法の下位の自衛隊法の下で活動してきた自衛隊の立憲的コントロールが失われる」と警鐘を鳴らしました。また、「専守防衛や非核三原則などの国是が変更され国のかたちが変えられる」として特定機密保護法の運用変更や徴兵制が合憲とされる恐れを強調しました。そして、「平和なくして労働運動なし」であり、「何故、憲法制定より先に労組法が制定されたのかを考え、労働組合こそ平和と民主主義の担い手として奮闘しよう」と呼びかけました。 
その後、11産別の代表が決意表明を行うとともに、「憲法発議を許さず政治を変えよう」と訴える集会アピールを満場の拍手で採択し、熱気ある集会を終えました。
労働組合への期待を伝える宮里弁護士


インフラも未来も売り飛ばされる日本の危機

大阪地連 権藤さん
水道民営化が話題になっていた昨年の11月、出張先の書店でこの本を手に取り、その驚くべき内容に衝撃を受けて直ちに購入した。
今、安倍政権の下で日本のかけがえのない水や種や漁業が次々に儲け主義の外資に売られる。そして、外国のハゲタカに売りに出されるのは公共インフラや自然だけではない。労働、学校、医療、老後等、日本人の未来も売り飛ばされる。この本では、その衝撃の「売られる現場」が何例も具体的に紹介されている。法律が変えられ、大事なものがどんどん売られる恐るべき現実に気づかずに「ボーッ」と生きてるとチコちゃんに叱られるだけでは済まない。日本は急速に「誰も住めない国」になってしまうのだ。この先も日本で生きていこうと考えているのであれば、この本はまさに「必読の書」。
「今だけカネだけ自分だけ」の強欲資本主義が世界を席巻していく。しかし、この現象は生命力尽きた資本主義の末路としか私には思えない。歴史的な低金利が示すように、もはや資本にとって利潤を生む投資先がどこにもなくなってきている。バブルを繰り返しながら破滅的危機を深め、公的資金で救済される腐れ切った資本。そしてついに、公共の財産である「命のインフラ」や生物が生きる前提たる自然を金儲けの手段に変えながら限りなく破壊していく。これはもはや「経済」とは呼べない。
資本主義のおぞましい劣化がここまで来ると「勝手に壊すな!」「勝手に決めるな!」と民衆の「生きるための抵抗」が広がる。未来を真剣に考え、強欲資本主義から抜け出す動きが加速する。この本を読んで危機の深刻さを知り、そして闘い、意義ある年にしよう。(M・T)


9−12月議会で前進、137議会が提出

東京都議会、愛知・三重・山口・愛媛の各県議会等で採決進む

地方自治法第99条に基づくライドシェア導入反対(慎重審議含む)の意見書が2018年12月19日までに、全国137の地方議会で採択され、衆・参議長や関係大臣に意見書が提出されました。9~12月の地方議会で採択が進み、東京都議会、愛知・三重・山口・愛媛の各県議会等、新たに29の意見書が採択・提出されました。


全自交組織内議員・青森県八戸市

全自交労連は12月4日、第1回中央執行委員会を全自交会館で開き、2019春闘方針や白タク合法化阻止に向けた政策闘争を討議するとともに、2019年春の次期統一地方選挙と2019年7月の参議院議員選挙への対応を協議しました。
次期統一地方選挙では、全自交青森地連(三八五交通労働組合)の組織内議員である山名文世八戸市議の推薦を決定しました。また、次期参議院選挙の全国比例区について3人の予定候補者の推薦を決定し、安倍政権の暴走政治を止めるために奮闘します。
山名文世八戸市議会議員







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