全国自動車交通労働組合連合会はハイタク産業に従事する労働者で構成する労働組合の連合体です。本ホームページは、どなたでも自由に全てご覧いただけます。


ホーム > ニュース > 2017年10月3日掲載




Ⅰ.春闘を取り巻く情勢

(世界経済)
2016年7月にIMFは、イギリスのEU離脱が経済・政治・制度の各面で大きな不確実性をもたらしていることを指摘し、2017年の世界経済成長予測を0・1%下方修正して3・4%としました。欧州を中心とする金融ストレスの激化の影響で円高が進み、内需の勢いが弱い日本の成長率も引き下げ予測となり、米国についても据え置きました。先進諸国の政治的亀裂や保護主義の台頭に警鐘を鳴らしています。また、中国経済については膨大な企業債務や過剰な生産設備が足かせとなり景気減速は止まらないと分析し、急激な減速や金融危機の恐れもあると警告しています。

(日本経済)
2016年11月、日銀は「経済・物価の現状と見通し」で、「わが国の景気は、新興国経済の減速の影響から輸出・生産面で鈍さがみられものの、基調としては緩やかな回復を続けている」としました。また、設備投資はオリンピック関連需要の本格化を受け増加基調を維持すると予想し、個人消費も雇用所得の改善が続き、緩やかに増加するとされていますが、雇用所得の改善は一部大企業に留まっており、業種間・企業規模間・地域間の格差が拡大している状況にあるために、内需を押し上げるに至っていないのが現状です。

(雇用情勢)
2016年9月の完全失業率は3・0%と昨年より改善しているものの、雇用の改善は主に非正規労働者の増加によるものです。また有効求人倍率が1・38倍で労働力不足が顕著になっています。
安倍政権は「働き方改革」を政策の柱に据え、「同一労働同一賃金」や「長時間労働の是正」を口にするものの、財界と一体となって配転・残業に応じ成果を上げる者をだけ正社員とし、それができない者には非正規として賃金格差を許容させようと狙っています。その上で「正社員として理由なく高い賃金分」を可視化させ、正社員の賃金を引き下げることで非正規労働者の賃金改善をはかるというものでしかないのです。また、「解雇の金銭解決」で労働組合の弱体化と不安定雇用を拡大させ「残業代ゼロ法案」で過労死を誘発させる政策を進めようとしていることを許してはなりません。

(勤労者の生活実態)
2015年の世帯所得は平均542万円となり、前年を上回ったものの過去最高だった1994年の664万円からは122万円以上も低下しています。日本は企業数の99・7%が中小企業で構成されており、全従業員数の70%を雇用するこれら中小企業の経営基盤の安定と、そこで働く労働者の労働条件の向上および人材の確保・育成は、日本経済の「底上げ・底支え」と健全な成長の基盤となってきましたが大企業優先の政策で規模間格差は拡大しています。
ワーキングプアの比率も高く、生活保護受給者は過去最多を更新しており、社会の劣化を象徴しています。産業、企業規模、雇用形態、地域の枠を超えた全般的な賃金の回復・改善こそが日本経済・社会に必要不可欠であり、傷んだ雇用を取り戻し、賃金の底上げを実現するために闘います。


Ⅱ.ハイタク産業の動向

全国のタクシー事業者数と車両数は、2015年3月末現在の法人事業者数(福祉輸送限定事業者除く)は6390社、19万1363台、個人タクシーは3万6962台となっており、対前年比で減少が続いています。
日車営収は、2015年度の全平均で2万8950円となり5年連続の改善になっていますが、リーマンショック前の水準をやや上回ったものの規制緩和前の3万951円を依然として下回る水準で推移しています。
また、地域間格差も深刻で、東京都平均4万6968円を最高に、神奈川、埼玉、千葉の3県で3万円を超えている一方、宮崎県の1万5735円等、15県で2万円を割り込んでいます。
輸送量は最近10年間で3割以上も落ち込み、どの交通モードよりも大きく減少しています。タクシーにおける労働生産性については、全産業平均を下回っており、賃金水準はバス・タクシーともに1990年代半ばに減少に転じ、足元では微増していますが全産業平均を大きく下回っています。
タクシー事業においては費用に占める人件費の割合が高く、かつ運転者の賃金が歩合制となっていることが大きな特色ですが、このため需要が減少局面にある場合も、車両数を増やして売上を確保しようとする結果供給過剰となり、その状態が長期化しやすい事業特性があります。
2015年度のタクシー運転者の年収は309万円で他産業の格差は238万円に拡大しています。このため若年労働者の雇用が進まず、高齢化が年々進行するとともに、運転者数は減少の一途を辿っています。
国土交通省が実施した「タクシーに関するアンケート調査」(2017年2月)によると、利用者はタクシーに対して「安全性」「丁寧な応接」「車内の清潔性・快適性」を求めており、普及を望むサービスとして「子育てタクシー」「マタニティータクシー」「スマートフォンアプリの配車サービス」「観光ガイドタクシー」をあげました。
また、都市部では「安全・安心な輸送サービス」や「近距離でも利用しやすいタクシー」を求める声が多く、地方部では、バスの本数が少ない地域における輸送や「乗り合いタクシー」が強く求められています。タクシー事業の経営基盤の悪化や、人口減少・高齢化の下での運転者不足が輸送サービスを滞らせ、経済活動・国民生活に支障を及ぼす可能性が高く、これを未然に防ぐことが急務です。地域のニーズに即したサービスを提供するためにも運転者の確保にとどまらず、労働条件を改善し若年層の運転者を取り込む努力が必要であり、それができなければタクシー基盤はますます縮小していくという危機感を持たなければなりません。
(●白タク合法化反対への徹底した闘い●初乗り距離短縮運賃導入反対●新潟カルテル問題●運転代行の適正化推進と違法行為の根絶は紙面の都合上省略します)


Ⅲ.春闘の取り組みの基調

1.公共交通にふさわしい賃金水準の確立

歩合給制度に依存したタクシー職場においては、国会附帯決議にもある「固定給と歩合給のバランスの取れた賃金体系の再構築」が最重要の課題です。全てのタクシー運転者が安定した制度の下で労働条件の改善を実感できる状況をつくり、若年者や女性にも魅力ある労働条件として社会的に認識されるよう全力をあげなければなりません。ハイタク労働者の高齢化と乗務員不足を解消していくためには、公共交通を現場で担う労働者として、誇りが持て魅力ある労働条件の整備が不可欠であり、これを実現できなければタクシー産業に未来がないことを強く訴えて闘います。
多数の国会議員が参加した
市民会議のシンポジウム(東京)
2.格差是正し生活できる賃金の確保

2017春闘は、生活が極度に脅かされている現状を突破する春闘として闘います。
ハイタク運転者の年収は、2015年度推計で309万円であり、全産業男性労働者の年収547万円との格差は238万に拡大しました。年収250万円未満の地域も15道県存在し、生活保護にも満たず、地域の法定最低賃金をも割り込む事態が続いています。深夜勤務を含む長時間労働にさらされていながら生活が維持できない程低い労働条件を背負わされているタクシー労働者の厳しい現状を全力で突破しなければなりません。格差是正し人並みの生活ができる賃金を確保するために闘います。

3.白タク合法化阻止に向けた取り組み

国交省は2016年8月にライドシェアについて、安全確保と利用者保護の観点から適切と言えないとして「対応不可」を規制改革ホットラインを通じて内閣府に回答しました。
また、3月8日に日比谷公会堂でハイタク労働者総決起集会を開催したのに続き、8月に「交通の安全と労働を考える市民会議」を立ち上げ、東京と大阪でライドシェアを考えるシンポジウムを開催し、ライドシェアの危険性や無権利労働の拡大が社会を蝕むことについて広く市民に訴え、白タク合法化を阻む大きな世論を作り出す取り組みも進められています。
しかし、竹中・三木谷ら規制緩和論者は、規制改革推進会議で国家戦略特区におけるライドシェア合法化を再度要望するなど働きかけを強めるとともに、ウーバーは「合法的」に過疎地での有償運送やボランティア輸送を実際にスタートさせており、過疎地で風穴をあけ大都市部へ進出することを狙って準備を進めています。
この1年は白タク合法化を巡ってまさに正念場の年となることを確認し、タクシーだけでなく公共交通全体の存立基盤を脅かす白タク合法化を絶対に阻止するために政策闘争の最重要課題と位置づけて全力で行動します。

4.適正需給・適正運賃の確立

現在、特定地域の指定は僅か27地域だけです。供給過剰に苦しみ、賃金が低下している地域が放置されることがないよう、特定地域と準特定地域の指定基準を変更させるために全力をあげます。特定地域の指定を受けた6地域で供給力削減を柱とした地域計画が策定され供給過剰の是正に向けた努力が重ねられています。今後とも労働条件改善につながるよう働きかけを強めます。運賃面では、7地域で公定幅運賃の下限引き下げが行われ、新たな低運賃競争を誘発する事態になっています。また、東京で初乗り短縮運賃の実施が迫っていますが、労働条件へのしわ寄せが懸念されるとともに、隣県や全国への波及で大幅な減収を招き経営悪化と雇用不安を招くことが無いよう闘います。


Ⅳ.賃金・労働条件改善の要求

1.2017春闘の賃金要求

①改正タクシー特措法の施行時の附帯決議を完全に履行させ、公共交通を担う労働者にふさわしい労働条件を築くために全力をあげます。
②他産業との格差是正と公共交通労働者にふさわしい賃金水準を原則的に要求するとともに、ハイタクで家族を養い生計を立てられる生活賃金を確保するために固定給中心の月例賃金、世間並みの一時金や退職金の整備等、総合的な年間所得の引き上げに奮闘します。
③賃金の統一要求は賃金体系にかかわらず、生活維持分と賃金回復分として月額1万円を要求します。また、他産業との格差是正分として、賃金要求とは別に一時金の改善や退職金制度の新設・改善等を要求します。
④運転者最低賃金の創設に向けて、時間額1千円以上の企業内最低賃金を要求します。
⑤ハイタクA型賃金と観光バスにおける一時金の獲得目標は年間100万円とします。
⑥退職金は要求基準額は5年=50万円、10年=100万円以上とします。中小企業退職金共済制度への加入を促進します。

2.生活安定型賃金制度の確立

(1)累進歩合制の排除
改正タクシー特措法の施行直後の2014年1月に国土交通省は各地方運輸局、厚生労働省(平成元年3月基発第93号の再指導)は各都道府県労働局に対して、累進歩合制の廃止について、改善指導を強化する通達を出しました。営収額によって階段式に非連続的に歩合率が変動するのが累進歩合制です。一時金の塁審歩合も含めて全ての職場から一掃するよう闘います。

(2)固定給中心の生活安定
型賃金の追求全自交労連の賃金方針の基本である生活安定型賃金を目指して、産業実態(流し営業・非流し営業の実態)を踏まえ、歩合給割合を抑えた固定給を中心とする、いわゆる「A型賃金」制度の再確立を追求していきます。時給1、000円以上の基本給を目指し、さらに定昇制度や諸手当の充実を求めます。

(3)不当な運転者負担や賃金カットの排除
GPSやカードリーダー等の機器使用料、無線配車料、チケット手数料など設備投資費用や営業費用などを運転者負担させることは許されません。これらの経費を会社経費として扱うことは社会常識上当然のことです。不当な運転者負担をハイタク産業から早期に一掃する取り組みに全力をあげます。

(4)過度な遠距離割引の是正
特措法改正時の附帯決議で「過度な遠距離割引の是正」が賃金制度の改善の一つとして謳われましたが、大阪を中心に拡大した「5千円超5割引」は未だに継続されています。会社が営業上の理由で大幅な割引を導入しておきながら、その割引分を営収額に加算せず、結果的に歩合給賃金の運転者に負担させることは言語道断です。

(5)過労防止対策の推進
タクシーの供給過剰対策、運転者の健康を観点から休日確保等の過労防止策を推進します。

(6)適正な賃金計算、最低賃金の確保
法定最低賃金(地域別最低賃金)は全国平均で822円(2016年改定:加重平均)になり前年より22円引き上げられました。近年、経営側の最賃違反逃れの策動が露骨になっています。3時間を超える時間休憩時間の設定は改善基準通達に違反しますし、労働者の生活困難を顧みず、安易に労働時間削減で最賃違反をかわそうとする経営姿勢は断じて容認することはできません。職場の違法行為を一掃するために闘います。

(7)雇用形態の違いによる差別禁止と「同一労働・同一賃金」の推進
正社員と有期雇用契約社員(定年後の再雇用者含む)との不合理な差別は労働契約法20条で禁止されています。正社員と同じ業務内容でありながら雇用形態の違いだけで不当な差別的賃金が支払われることがないよう労働組合としてしっかり点検し、「同一労働・同一賃金」の原則に照らして改善を図ります。


Ⅴ.ハイタク産業の再生に向けた制度要求

1.特定地域の指定基準見直しによる指定拡大

改正法の目的は、規制緩和によって極限まで悪化したハイタク労働者の賃金・労働条件を回復・改善させることにあります。労働条件が低下したままとなっている地域をすみやかに特定地域に指定し、労働条件改善に向けた実効性ある強力な対策を取らせなければなりません。そのために、供給過剰や運転者の賃金とは無関係な「人口30万人以上」の指定基準や実働実車率、協議会合意の指定基準を削除した上で、運転者の労働条件や日車営収を柱とする指定基準に見直しをさせるために闘います。
青森交通圏の適正車両数(上限)との乖離率は23%を超え、東北運輸局管内の中で最も供給過剰な地域です。また、青森県のタクシー運転者年収は、2014年度で177万円まで低下し全国最低を記録しました。倒産・廃業が多発して産業が成り立たない状況も拡大しているにも関わらず、国交省は「人口30万人の要件を満たさない」として青森交通圏を特定地域の指定候補地から除外しました。青森地連の仲間は、国に対して損害賠償を求める行政訴訟を行い指定基準の不当性を訴え、11月に最終弁論を終えました。判決日は2017年2月17日です。この闘いは特定地域の指定候補地から除外された全ての準特定地域の労働者を代表した闘いであり、全自交労連として最後まで支援していかなければなりません。

2.安全と労働を破壊する白タク合法化阻止

「ライドシェア」と称する白タク合法化は、公共交通の産業基盤を奪いタクシー事業の存続を危うくするだけでなく、移動に関する安全と利用者保護をないがしろにするものです。
そして何より、働く運転者を労働規制から除外し、無権利状態に突き落とすものです。国家戦略特区を利用した過疎地でのライドシェア合法化は都市部での展開を可能にするための「アリの一穴」を狙ったものであり絶対に許してはなりません。ライドシェア特区の申請やウーバーと連携した過疎地輸送を阻止するために、地域公共交通におけるタクシー活用とあわせて関係機関に以下の要望を伝えながら運動を強化します。
①道路運送法は、利用者へのサービスを確実に提供するとともに、輸送の安全、利用者利益の保護、利用者利便の増進と道路運送の総合的発達を図り、公共の福祉を増進することを目的としており、当然全国一律の運用が求められる。利用者の安全低下に直結する白タク合法化を国家戦略特区における例外としても認めないこと。
②改正タクシー特措法が成立したことに鑑みれば、現在においてもタクシー車両は全国的に供給過剰状態であることは国が認めている。国のいう「交通空白地」を大義名分とした「白タク特区」に整合性はなく、当該地域住民の移動が困難であればあるほど、自治体が交通事業者に補助などをし、有資格者による安全で安心な移動手段を継続して提供することにしなければならないはずである。したがって、地方自治体と交通事業者との協議の場を全国的に創設し、白タクなど危険な運送を排除するよう尽力すること。

3.営収低下を招く初乗り短縮運賃導入反対

①台数の適正化が進まない中で、初乗り距離短縮運賃導入することは、一台当たり・一人当たりの営収を低下させる恐れがあるとともに、多重運賃となることによる運賃競争や乗り場問題等、輸送秩序の混乱が懸念されることから、初乗り距離短縮運賃の導入は行わないこと。
②タクシー労働者の賃金・労働条件が歩合給賃金として営収額に連動しているとともに、改正法の趣旨・目的が運転者の労働条件の改善にあることから、初乗り額・初乗りじご距離・爾後運賃その他の運賃設定については、現場で働く運転者の意見が充分に考慮されるよう、労働組合との協議機関を設け真摯に協議を行うこと。

4.労働条件改善に向けた政策要求

①特定及び準特定地域において、国が示した適正車両数に達するまで強力な指導を行うとともに、監査指導体制の充実・強化をはかること。
②全ての地域で、消費税の増税分が確実に転嫁された適正な地域統一運賃とすること。
③改正法成立時の国会附帯決議の通り、固定給と歩合給のバランスの取れた賃金体系の再構築、累進歩合制度の廃止、運転者負担の見直し、過度な遠距離割引運賃の是正等、賃金制度を改善するよう強く指導すること。
④改正特措法の実効性ある運用を行い、供給過剰を是正させ、運転者が労働条件の改善を実感できるよう対策をとること。
⑤供給過剰対策や過労運転防止対策を推進するため、関係省庁連携の下、法令違反に対する監査指導体制の充実強化をはかること。
⑥タクシーは重要な公共交通機関であることから、公共的割引や免許返納者割引に助成措置を講じることのほか、タクシー活性化に資する対策を協議・実施すること。

5.運転代行と自家用有償運送の拡大阻止

①自家用有償運送に係わる運営協議会は、制度発足の原点に立ち返り適正な運営の徹底をはかること。また、運営協議会の公平性、透明性、チェック機能を確保する上で、地域公共交通に携わる労働団体と事業者が運営協議会において重要な役割を担っており、その立場を尊重すること。
②自家用有償運送については、福祉輸送や過疎地輸送で公共交通機関によりがたい場合に例外的に認められているものであり、その趣旨を逸脱した自家用有償運送の拡大を行わないこと。また、路線バス廃止後の代替輸送にタクシーを積極的に活用すること。
③運転代行の違法営業行為を根絶するため、取り締まりを強化し、代行要員の二種免許保有のチェック、AB・AC間輸送で随伴車に「客」を乗せるなど白タク行為の現認や告発があった場合には直ちに摘発すること。さらに、運転代行業の営業・運行管理などの実態調査を行い、運転代行業の適正化のために必要な法改正を行うこと。


Ⅵ.闘いの進め方

1.春闘体制の強化

(1)各地連・地本及び各単組・支部においては春闘討論集会や学習会、決起集会等の職場集会を開催し、春闘情勢、方針、要求事項について意思統一をはかります。また、ストライキ権を高率で確立し、闘争体制を築きます。
(2)組合の春闘ニュースとともに、団体交渉の内容を広く組合員に伝えるためのニュースの発行に各職場・地域で努力し、団体交渉の「ヤマ場」においては、全員参加の職場集会を開催して組合員と一体となって交渉を進めます。

2.要求の提出と妥結の集中化

(1)第94回中央委員会において2017春闘方針を決定し、それ以降は中央執行委員会のメンバーで中央闘争委員会を立ち上げ、春闘指導を強化します。
(2)すべての地連・地本及び各単組・支部は、要求提出日までにストライキ権(組合員の無記名投票による過半数の賛同)を確立します。
(3)要求提出は2月末日までには提出することとします。回答指定日は3月○○日とします。
(4)闘いのヤマ場には、ストライキを含む「統一行動日」「統一行動ゾーン」を設定して交渉を集中させ、解決を促進します。その日程は中央闘争委員会で決定します。
(5)春闘期間中に、ハイタクフォーラム構成組織をはじめ幅広い共同行動を組織し、改正法による労働条件向上、白タク合法化阻止、初乗り距離短縮運賃反対等々の行動に積極的に取り組みます。

3.春闘における組織拡大の行動展開

(1)地連・地本は、春闘時に地域の全自交未加盟組合や未組織の仲間と交流し、学習会への参加や情報交換、共同行動を重ねて全自交加盟や労組結成を働きかけます。また、アンケート等を通して対象職場の情報を得ながら、地域の賃金相場を伝え、職場課題の解決をサポートして、労働条件改善とともに、「公正競争確保」「同一地域における労働条件統一の重要性」訴えながら、信頼関係を築きます。
(2)各単組・支部は、職場の未加入者に対し、これまで以上に組合加入の働きかけを強化します。執行委員会等で具体的な加入拡大目標とオルグ担当を決めて加入促進をはかります。


ライドブッキングは事業規制も労働規制も全部吹き飛ぶ

危険性を指摘する中島弁護士
ライドシェア問題の裏に隠れている重要な真実を議論する「交通の安全と労働を考える市民会議」の公開シンポジウムが11月24日、大阪市の「エル・おおさか」6階会議室で150名が集まり開催されました。この市民会議は、9月29日に東京で開催したのに続き2例目となり、会場の定員100名を大きく超える人が集まるなど関心の高さが伺われました。大阪での市民会議代表は、以前全自交近畿が国に対して低額運賃認可取消訴訟を行った際、原告弁護団事務局を担った大阪労働者弁護団代表幹事の中島光孝弁護士で、東京の市民会議からは大妻女子大学の戸崎肇教授と労働政策研究・研修機構の山﨑憲氏、東京共同法律事務所の川上資人弁護士がそれぞれ講演ならびに問題点の整理を行いました。中島弁護士は、「ライドブッキング」という言葉を用い単なる仲介という無責任性を批判するとともに、導入されれば「積み上げてきた事業規制・労働規制が無くなる」と、根本の問題点を指摘しました。戸崎教授は「タクシー交通の実情とライドシェア」、山崎氏は「シェアリングエコノミーと壊れる雇用社会」という各々の視点で講演し参加者に訴えました。


組織拡大に向け積極的に行動する

組織拡大を訴える溝上委員長
全自交関東地連は11月11日、全自交会館で第3回定期大会を7地連・地本の代議員ら総勢60名の参加で開催し、組織拡大に向けた行動を積極的に取り組むことを柱とする新年度運動方針を確立するとともに新役員体制を決定しました。
溝上委員長は挨拶で「地域によって課題は様々だが、関東地連に結集する仲間が同じ方向を向いて運動することが重要だ。組織拡大に繋げる運動に全力をあげよう」と参加者に訴えました。
来賓には全自交労連の伊藤実中央執行委員長と関東交運労協の七島副議長が駆けつけ、参加者を激励しました。
直井書記長が運動方針と会費値上げを提案し共に承認されました。新役員に神奈川地連の水野潔氏と群馬地連の生澤清孝氏の両名が新たな副委員長に選出されました。


春闘・総選挙・白タク阻止で勝ち抜く

全自交富山地連は10月31日、富山交通福祉棟会議室で代議員ら30人が参加し第37回定期大会を開き、秋闘・春闘・選挙・白タク阻止の全てに勝ち抜くための運動方針を決定しました。
主催者を代表して挨拶に立った石橋委員長は「特区制度を活用し既成事実を積み重ねることでライドシェアの合法化が狙われている。各支援団体と連携しながら全自交が主体になり白タク合法化を食い止めていきたい」と参加者に呼びかけました。
その後、活動報告・会計報告・新年度運動方針・予算順に提案されました。新年度の方針は、全自交労連本部方針を中心に富山地連方針を掲げ、中でも、本年2月に実施された運賃改定に労働条件改善原資が多く含まれていながら下限運賃を採る事業者が拡大したこと受け、旧態依然とした運賃競争に引き戻す動きに警笛を鳴らすとともに、歩合制賃金に胡坐をかき労働者にしわ寄せを転嫁させないことや、賃金・労働条件改善が実感できる労使交渉を粘り強く行うことを確認しました。
秋闘と2017春闘の勝利を誓う


進出を止めるには世論形成が最重要

連合主催による「シェアリングエコノミー」学習会が11月24日、東京・連合会館で開かれ、構成組織や地方連合から70名が参加。全自交の仲間も積極的に参加しました。
講師にUCLAアンダーソン経営大学院のサンフォード・Mジャコビー教授を迎え、「アメリカにおけるウーバー」と題する80分の講演を行いました。
講演でジャコビー氏は「ライドシェアという言葉は使わない」と宣言し「ギグ・ジョブ」(仕事がある時のみの不定期労働者・請負契約)の解説から始まりました。「ギグ・ジョブ」は全雇用者の16%に達し、ウーバーとリフトだけで全体の3%を占めています。
ウーバー運転者の一週間の就労時間は15時間未満が51%で、35時間長が81%を占めるタクシー運転者とは対照的です。また、ウーバー運転者の離職率も高く、新規参入者の45%が1年以内に離職するのが実態です。最低賃金に満たない収入しか得られない地域も複数あると指摘しました。
講演に聞き入る参加者
ニューヨークではタクシーから65%の乗客を奪い、郊外では35%の新規需要を生み出しています。ウーバーの世界的な事業戦略としてアメリカ以外では、欧州と中国で既に失敗しているため、ターゲットをインド・東南アジア、日本に絞っていると述べ、日本への進出を止めるには世論形成が最重要であることを強調しました。


適正化推進・白タク合法化阻止し労働条件改善へ

新体制確立し結束した闘い誓う
全自交大阪地連は11月13日、和歌山県白浜「旅館むさし」で第71回定期大会を開き、「改正タクシー適正化特措法の実効運用と白タク合法化絶対阻止で運転者の労働条件抜本改善」を目指した運動方針を決定しました。
加藤委員長は、「白タク・ライドシェアが及ぼす影響はハイタク産業に限らず地域の公共交通を衰退させ、果ては労働者の働き方を破壊する。
請負契約に基づく無権利労働者が全国に拡大することになる」と白タク合法化への危機感を強調しました。
来賓として全自交労連の伊藤実中央執行委員長、関西地連の北坂委員長、蒲生副委員長ら5名が出席し、連帯の挨拶を行いました。
本大会で新たな役員体制を次の通り確立しました。
執行委員長・加藤直人。副委員長(2名)・山里広明と権藤輝雄。書記長・庄司洋一。書記次長(2名)福盛稔哉と鳥山栄一。


団結力発揮で賃金改善勝ち取ろう

ガンバロウ三唱し闘う決意を固める
山形地本は11月15日、山形市・大手門パルズを会場に第59回定期大会を開き、全県から代議員ら・役員が出席し、新年度運動方針と予算を決定しました。
主催者を代表して挨拶した遠藤委員長は「白タク合法化はタクシー産業の存立を脅かす。絶対に阻止しよう」と参加者に呼びかけるとともに、団結力を発揮して低下している労働条件の改善に奮闘することを訴えました。
大会には全自交労連の高橋書記次長、東北地連の鈴木委員長と連合山形、山形県平和センター、山形県交運労協の代表らが駆けつけ激励の挨拶を行いました。
島貫書記長は運動方針案を提案し「県内には交通空白地も多く特区申請しないよう取り組む」と述べました。
方針・予算の採択後、高橋書記次長が講演し参加した9支部から職場の課題を出し合い解決に向けた活発な討論を行いました。


ライドシェア・民泊反対動議が採択

ITF(国際運輸労連)のアジア・太平洋地域総会が11月28〜30日の3日間、東京・ビッグサイトを会場に開かれ、全自交も伊藤委員長ら4名が出席しました。ITFは153カ国の交通運輸関係で組織する690の労働組合が加盟しています。この総会において全自交労連とサービス連合の連名でライドシェアや民泊などのシェア・エコノミー(共有型経済)が推進されることに反対する動議を提出し、採択されました。
大会2日目の29日、大妻女子大学の戸崎肇教授が自家用車を使用したライドシェア問題について講演し「2020年の東京オリンピックを理由にシェアリングエコノミーの導入を性急に進めるのは疑問」「ライドシェアの形態で乗客の安全は担保できるのか、必要に応じた安定供給が可能か」「地域交通を確立するためには交通政策基本法を活かした取り組みが重要となっている」と述べました。その後、参加した各国の代議員らと質疑応答し、意見交換・情報交換を行いました。
分科会及び総会で松永書記長が「日本におけるシェアリングエコノミー推進政策の導入に反対する動議」を提案。
「公共交通や観光サービス産業の健全な発展を確保し、労働者と利用者を保護するために導入に強く反対する」との動議を採択しました。
総会で戸崎教授がライドシェアの問題点について講演


電話と街頭のテントで悩みを受け付け

兵庫地連は11月17日に組織拡大行動の一環としてJR伊丹駅、川西駅、宝塚駅、三田駅など9箇所の駅構内のタクシー乗り場でビラ配りを行い4名の役員が参加しました。
午前10時にJR伊丹駅のタクシー乗り場近くに街宣車を止めて、兵庫地連ののぼりを立て、街頭演説を行うとともにタクシー運転手向けに、兵庫地連が作成したビラとティッシュを配布し「タクシーなんでも労働相談の開設」を呼びかけるとともに「ライドシェア反対、白タク合法化阻止」を訴えました。
「タクシーなんでも労働相談」は、電話受付が11月19日と20日両日の10時から18時まで行い、街頭受付はJR元町駅前のテント内で、11月19日の10時から17時まで開設し相談を受け付けました。
タクシー乗り場で労働相談を呼びかける仲間


全国自動車交通労働組合連合会
〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-7-9
TEL:03-3408-0875 / FAX:03-3497-0107
E-MAIL:zenjiko-roren@zenjiko.or.jp
Copyright(c) Zenjiko-roren.National Federations of Automobile Transport workers Unions.ALL RIGHTS RESERVED.